ティモカリスクレーターと雨の海
Timocharis Crater
Takayuki Yoshida
ティモカリスクレーターと雨の海
写真の中央左下寄りに写っているのがティモカリスという名前のクレーターです。この辺りは雨の海の南東部に当たり、 ティモカリスはその中に浮かんだ孤島のように存在しています。 直径が約34キロの中規模のクレーターですが、周壁は高くて3000メートル以上もあります。 このティモカリスクレーターの周囲には、コペルニクスクレーターに見られるような段丘が見られます。小さなクレーターですが、 なかなか目立つティモカリスです。
クレーターの周りの雨の海には、しわ状の尾根が見られます。リンクルレッジと呼ばれている皺ですが、海から打ち寄せる波のようにも 見えます。また、望遠鏡で注意深く観測すると、ドームと呼ばれる石の塊のようなものも見えます。溶岩が溶けて固まった構造とも言われており、 斜めから光が当たっているときには、深い影を雨の海に落とします。有名なクレーターなどがないので見逃してしまいがちですが、 このあたりも観測してみると面白いところです。
Imaging information
撮影機材: タカハシミューロン300天体望遠鏡, ペンタックスMS5赤道儀
使用カメラ: ST2000XM, テレコンバーターにて像を拡大
露出時間: 1/10秒
撮影場所: 兵庫県宝塚市,2008年