イータカリーナ星雲
The Eta Carinae Nebula, NGC 3372
Takayuki Yoshida
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イータカリーナ星雲
イータカリーナ星雲は、りゅうこつ座のη星の周りに広がる巨大な星雲で「エータ・カリーナ星雲」とも呼ばれています。 イータカリーナ星雲は、みなみじゅうじ座の西側に位置していて、肉眼でも中心部が明るく輝いているのがわかります。 双眼鏡を向けると、星が集まっている様子がよくわかり、星雲もうっすらと広がっているように見えます。 イータカリーナ星雲とみなみじゅうじ座との位置関係は、 南十字星の写真をご覧いただくとよく分かると思います。
りゅうこつ座のη星は6等星前後の暗い星ですが、大質量の星として盛んに研究されている恒星です。 1843年にはマイナス0.8等星まで増光したことがあり、この時はカノープスを抜いて、夜空で2番目に明るい恒星になったという記録が残っています。 η星はこの前にも数度の増光を繰り返しており、不思議な天体として注目されています。
イータカリーナ星雲の中心付近には、キーホールと呼ばれる暗黒星雲が存在しています。 ドアの鍵穴に形が似ていることから付けられた呼び名で、口径の大きな望遠鏡で観望するとその様子がわかります。 ニュージーランド、テカポ湖畔のマウントジョン天文台の40センチ望遠鏡でこれを観望したところ、 キーホールという愛称そっくりの暗黒星雲が見えて驚きました。 キーホールの周りには淡い星雲が広がり、美しいながめを楽しめました。 オリオン大星雲と並んで、夜空で最も美しい星雲の一つではないでしょうか。
このイータカリーナ星雲は、西オーストラリアのパース郊外にある牧場で撮影した写真です。 500ミリのテレフォトレンズとニコンD810Aを使用して、南半球を代表する星雲を画面一杯に捉えました。 天候が悪く、撮影画像の4枚のうちの1枚は薄雲越しの撮影になってしまいましたが、 発色豊かな作品に仕上がりました。
Imaging information
撮影光学系: コーワ PROMINAR 500mm F5.6 FL (マウントアダプター TX10使用, 500mm F5.6)
撮影使用カメラ: ニコンD810A
赤道儀:ビクセンAP赤道儀、M-GENにてオートガイド追尾
カメラの設定:ホワイトバランスマニュアル、ISO1600、RAWモード
露出時間: 540sec×4コマ、ISO1600
撮影場所: 西オーストラリア州 スプリングヒルズファーム、2016年撮影