ネオワイズ彗星
C/2020 F3 NEOWISE
Takayuki Yoshida
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ネオワイズ彗星 2020年7月31日の様子
ネオワイズ彗星(C/2020 F3)は、2020年3月、アメリカの赤外線観測衛星(NEOWISE)によって発見された彗星です。 当初、ネオワイズ彗星は、それほど明るくなるとは期待されておらず、天文ファンは、 アトラス彗星(C/2019 Y4)やスワン彗星(C/2020 F8)の方を注目していました。 しかし、アトラス彗星・スワン彗星は、近日点通過前に明るさが予想を下回ってしまい、その後も明るくなることはありませんでした。
一方、ネオワイス彗星は、近日点通過後に一気に増光し、長い尾を伴う見事な彗星に変化しました。 7月初旬には0等級に達し、長く伸びた彗星の尾が、世界中の天体写真ファンの注目を集めました。
しかし、大変残念なことに、今年の日本の7月は非常に天候が悪く、例年以上に梅雨が長引き、 星が見える日は全くと言っていいほどありませんでした。 例年は梅雨の期間中でも、数日程度は晴れることが多く、星空を見るチャンスもあるのですが、 今年に限って悪夢のような天候が続きました。 私の住む近畿地方の場合、梅雨が明けたのが7月31日で、何度か晴れ間を求めて郊外まで出かけたものの、 ネオワイズ彗星は常に雲の向こう側でした。
上の写真を撮影した日は、月齢10の月が夜空を照らし、ほとんど星の見えない夜でしたが、 口径5センチの双眼鏡を使うと、ネオワイズ彗星の核を確認することができました。 ただ、彗星の尾は全く見えませんでした。 大彗星と呼ばれた彗星の姿はもはやみじんも感じられず、非常に残念な思いを抱きながら双眼鏡で彗星を眺めました。
望遠鏡で写真に撮影すると、うっすらと尾を確認できました。 撮影した画像を重ね合わせた後、画像処理ソフトで強調すると、彗星らしい尾が画面に表れました。 尾はダストテイルだけでなく、イオンテイルも写り、暗いながらも彗星の尾が長く伸びていることをようやく確認することができました。
Imaging information
撮影光学系:ビクセン VSD100 F3.8鏡筒
撮影カメラ:キヤノンEOS6D(フィルター換装・冷却改造)
赤道儀:ビクセンSXP赤道儀
カメラの設定:ISO1600、マニュアルホワイトバランス、RAWモード
露出時間:45秒×18コマ
画像処理ソフト: ステライメージ8、PhotoshopCC 2018
撮影場所: 岡山県備前市吉永町八塔寺、2020年撮影