IC59とIC63

IC59,IC63

IC59とIC63

Takayuki Yoshida

カシオペア座のIC59とIC63

写真の中央付近で一際明るく輝いている星は、カシオペア座のγ星です。 カシオペア座は、Wの形で知られている星座ですが、γ星はその真ん中で輝く星です。 IC59とIC63は、このγ星にまとわりつくように輝く星雲で、γ星の上側部分にIC59、 左側にIC63の番号が割り振られています。

淡い星雲のため、天体望遠鏡を使用しても肉眼で確認することは難しいですが、 写真写りは比較的良い天体です。 そのため、200ミリ前後の望遠レンズでもγ星に寄り添うように輝く星雲を捉えることができます。 この写真のように天体望遠鏡を使って、星雲をクローズアップ撮影すると、 星雲がギリシア文字の「Ω(オメガ)」の形をしているのがわかります。

IC59とIC63星雲は、マゼンダ色をした色合いが美しく、魅力的な被写体ですが、 星雲のすぐ側に明るいγ星が輝いているため、ゴーストやフレアが発生しやすく、 少々撮りづらい天体です。 光学系やカメラの組み合わせによって、ゴーストやフレアの発生量が異なるので、 本撮影前にテスト撮影を実施して、ゴーストの発生具合を見てから撮影することをお勧めします。

この写真は、久しぶりに大型機材を八塔寺に持ち出して、撮影した作品です。 残念ながらこの夜は、時折強い風が吹きぬけたため、撮影したコマの3分の1ほどが星が流れて使い物になりませんでした。 淡い星雲ですので、できれば16枚程度は撮影して滑らかに仕上げたい対象ですね。 200〜300ミリ前後の焦点距離で撮影すれば、以前撮影したIC59の写真のように、 広範囲に広がった淡いガスも表現することができると思います。


Imaging information

撮影光学系:タカハシε-250

撮影カメラ:Astro6D(キヤノンEOS6D、フィルター換装・冷却改造カメラ)

赤道儀:ヘラクレス赤道儀、M-GENオートガイダーにて追尾

カメラの設定:ホワイトバランスマニュアル、ISO1250、RAWモード、HEUIB-IIフィルター

露出時間:300秒×10コマ

画像処理ソフト: ステライメージ7、PhotoshopCC 2015

撮影場所: 岡山県備前市吉永町八塔寺、2016年撮影