しし座の三つ子銀河 Tidal Tail
- Previous photo:NGC1788 狐の顔星雲
しし座の三つ子銀河 Tidal Tail
しし座に位置する「しし座の三つ子銀河(Leo Triplet)」は、3つの美しい渦巻銀河——M65、M66、NGC3628——が重力的に結びついた小規模な銀河群です。 それぞれの銀河が持つ独自の構造と色合いが特徴的で、宇宙の深淵に浮かぶ不思議な景観を作り出しています。 三つ子銀河は地球から約3500万光年の距離にあり、銀河どうしの重力的相互作用によって星形成が活発化している痕跡も観測されています。
上の写真に写っているNGC3628は、その広がったダストレーンから「ハンバーガー銀河」とも呼ばれています。 NGC3628の暗黒帯は、銀河円盤をほぼ真横から見る格好になっており、周囲の淡い潮汐構造(tidal tail)は、過去の相互作用を物語っています。 M65とM66はともに比較的対称的な渦巻構造を持ちつつも、銀河中心部にはわずかな非対称性が見られ、これは過去の重力的なかかわりによるものと考えられています。
今回の撮影には、タカハシ製の反射望遠鏡「ε-160ED(口径160mm)」を使用しました。 ε-160EDは、高橋製作所独自のε光学系を採用しており、シャープで明るい光学系が特徴です。 今回はモノクロ冷却CMOSカメラを用い、L(ルミナンス)・R・G・B各フィルターで撮影し、合計約12時間にわたる露光を重ねて、 銀河とTidal Tailの構造を浮かび上がらせました。
Imaging information
撮影鏡筒:タカハシε-160ED
望遠鏡架台:ビクセンAXD赤道儀
撮影カメラ:ZWO ASI2600MM Pro 冷却CMOSカメラ
カメラの設定:ゲイン100、オフセット50、センサー温度マイナス10度
露出時間:L:300秒X60枚、R=G=B=各300秒X30枚、Chroma社フィルター使用
画像処理ソフト:PixInsight、ステライメージ10、Affinity Photo2
撮影場所:N.N.R.V.リモート観測所、2025年4月撮影