NGC6960付近

NGC6960,NGC6979,NGC6974,Pickering's Triangle

NGC6960付近

Takayuki Yoshida

はくちょう座 NGC6960付近

はくちょう座で輝く網状星雲の西側部分を捉えた写真です。 網状星雲は、約2万年前に、太陽の約25倍もの質量のある大きな恒星が爆発したときの残骸だと考えられている天体です。

写真の右端に写っている明るい星は、4.2等星のはくちょう座52番星です。 この恒星と重なるように存在している星雲が、NGC6960というナンバーが付けられている天体で、その星雲の形から「糸状星雲」や「魔女のほうき星雲」等と呼ばれています。 NGC6960の左側に、三角形を逆にしたような形の星雲がありますが、この部分は、ピッカリングの三角形(Pickering's Triangle)と呼ばれています。

今回の撮影には、ビクセンの新しい天体望遠鏡VSD90SSを使用しました。 VSD90SSは、5群5枚のレンズ構成が採用された高性能な望遠鏡で、 凸レンズにSDレンズ2枚と高屈折率EDレンズ1枚を使用し、凹レンズには新開発の高性能ランタン系ガラスが使用されています。 その贅沢な光学系のお陰で、色収差はほとんど皆無で、眼視でも鋭い焦点像を結びます。 今回は、このVSD90SSに冷却CMOSカメラ、ASI2600MMProDuoを取り付け、ナローバンド撮影しました。

VSD90SSのF値は5.5です。 前機種のVSD100F3.8と比べると絞り1段以上も暗いので、露出時間を延ばす必要があるかなと思いましたが、480秒でも十分淡い部分が出てきました。 時折突風が吹くあいにくの天候だったため、よく見ると星が少し流れて写っていますが、画面全面にわたって星像は非常にシャープで、光学性能の高さを感じることができました。


Imaging information

撮影鏡筒:ビクセン VSD90SS

望遠鏡架台:ZWO AM5赤道儀

撮影カメラ:ZWO ASI2600MM Pro Duo 冷却CMOSカメラ

カメラの設定:ゲイン100、オフセット50、センサー温度マイナス10度

露出時間:Ha=OIII=480sec×4枚、Chroma社フィルター使用

画像処理ソフト:PixInsight、ステライメージ9、PhotoshopCC 2020

撮影場所:岡山県備前市吉永町八塔寺、2024年8月撮影