さそり座アンタレス付近

The Antares and Rho Ophiuchi Region

さそり座アンタレス付近

Takayuki Yoshida

さそり座アンタレス付近

さそり座は、夏の代表的な星座です。 さそり座の中で最も明るい恒星がアンタレスで、太陽の約700倍の大きさの赤色巨星だと考えられています。 写真の中央に写っている黄色い星がアンタレスです。 肉眼では赤っぽく見えますが、写真では黄色に写っています。 アンタレスの周囲には赤・黄・青の色鮮やかな星雲も輝いており、 夏の夜空の被写体として、天体写真ファンに大変人気のある星域になっています。

この写真は、開放F値の明るい中望遠レンズと、天体撮影用にフィルター改造したデジタル一眼レフカメラ、 キヤノンEOS60D(ASTRO60D)を使って撮影しました。 また、今回は、赤い星雲の写りを向上させるため、IDAS HEUIB-IIフィルターを使用しました。 アイダス HEUIB-IIフィルターを使用しなかった写真と比べると、 アンタレスから左下に広がる赤い星雲の写りが良くなっていることが確認できました。 黄色い星雲や青い星雲の写りも良好でしたので、今後はこの組み合わせでアンタレス付近を撮影したいと思います。

さそり座が南中する時期になると、毎年のようにアンタレス付近を撮影していますが、 なかなか良い条件に恵まれず、満足できる元画像を得ることができませんでした。 今回ようやく、透明度の良い冬空の日に巡り合え、時間をかけて撮影することができたので、 この星域のカラフルな色合を表現することができました。

今回は明るい単焦点の200ミリレンズで撮影しましたが、風景や人物撮影に人気のある、 70〜200ミリの望遠ズームレンズ等でも、アンタレス付近の撮影を楽しむことができます。 アンタレスがよい目安になって、比較的、構図合わせをしやすい対象ですので、 天体撮影をしたことがないという方でも撮影しやすいと思います。 透明度の良い新月前後の日を狙って、一度、天体撮影にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。


Imaging information

撮影光学系: キヤノンEF200mm F2L IS USM

撮影カメラ: Astro60D(キヤノンEOS60Dの天文用フィルター換装・冷却改造モデル)

フィルター: IDAS HEUIB-IIフィルター使用

赤道儀: タカハシP-2Z赤道儀、AMD-1モーターにて一軸オートガイド追尾

カメラの設定: ホワイトバランスプリセット、F2.5、ISO800、RAWモード

露出時間: 300秒×16コマ

画像処理ソフト: RStacker、ステライメージ7、PhotoshopCC 2014

撮影場所: 和歌山県東牟婁郡串本町、2015年撮影