アンタレス付近のカラフルな星雲

The Antares and Rho Ophiuchi Region

アンタレス付近のカラフルな星雲

Takayuki Yoshida

アンタレス付近のカラフルな星雲

さそり座のアンタレス付近は、全天の中でも特に色鮮やかな星雲がひしめいているエリアです。 この写真の中央下寄りで明るく輝いているのが、さそり座のα星アンタレスで、約550光年離れたところで輝いている赤色巨星です。 このアンタレスの周りには、黄色や赤色の星雲が広い範囲に広がっており、大変カラフルな色合いをしています。

アンタレスの右隣で輝く星の集まりは、球状星団のM4です。 視直径が20分前後と大きいので、双眼鏡でも星団であることが容易にわかります。 条件のよい星空なら、肉眼もぼんやりとその存在がわかるほどです。 なお、青い星雲の中で輝く星は、へびつかい座のρ星です。 この付近は、さそり座へびつかい座の境界にあたります。

この写真は、天体用に改造したデジタル一眼レフカメラEOS60D(ASTRO60D)と、明るい中望遠レンズを使って撮影した作品です。 デジカメのISO感度を上げて短時間露出に設定したので、星の追尾にはオートガイダーを使わず、赤道儀に任せて撮影しています。 撮影の際は構図を横向きにして、2写野をずらして撮影し、最終的にそれらの画像をモザイク合成して仕上げています。 春霞の影響が残る星空でしたので、柔らかく処理して、全体の調子と色合いを表現しました。


Imaging information

撮影光学系: キヤノンEF200mm F2L IS USM

架台: タカハシP-2赤道儀にて自動追尾

使用カメラ: キヤノンEOS60D(冷却改造,フィルター換装)

カメラの設定: ホワイトバランスプリセット, ISO1250, RAWモード, 絞りF2.5

露出時間: 3分×6, 2フレームモザイク合成, 総露出時間36分

画像処理ソフト: ステライメージ7, PhotoshopCS5

撮影場所: 奈良県十津川村