ぎょしゃ座のM36,M38付近

M36,M38,IC405,IC410

ぎょしゃ座のM36,M38付近

Takayuki Yoshida

ぎょしゃ座のM36,M38付近

五角形をしたぎょしゃ座の中には、大きな散開星団と散光星雲が輝いています。 その散開星団と散光星雲を一つ構図に収めたこの写真は、 中判銀塩フィルムとイメージサークルが大きな屈折望遠鏡が全盛の頃、天体写真ファンの定番構図と言われるものでした。

現在は、機材のデジタル化が進み、APS-Cサイズのデジタル一眼レフカメラが天体写真の主力機種になった現在は、 デジタル一眼と天体望遠鏡と組み合わせると拡大率が高くなり、この構図は収まりきりません。 そこで、天体望遠鏡の代わりに焦点距離200ミリの望遠レンズを使って撮影し、昔ながらの構図をデジタルで再現してみました。

写真の左端に星の集まりが写っていますが、これは散開星団M36です。 M36の右上には、少し大きな散開星団M38が写っています。 二つの天体は、双眼鏡を使うと同じ視野内に入り、星の集まった様子を観察できます。

写真の右端に写っている赤い星雲は、「まが玉星雲」の愛称があるIC405です。 この写真ではわかりづらいですが、大きな望遠鏡で撮影したIC405の写真を見ると、 色の違いや興味深い構造が楽しめる散光星雲です。IC405の左下の赤い星雲はIC410です。 この二つの星雲の間には、4つの輝星がバランスよく輝いているので、この部分を拡大して撮影されることも多い星域です。

ぎょしゃ座のこの周辺は、種類の異なる天体が密集して輝いているので、写真栄えのする領域です。 望遠レンズでも手軽に撮影でき、かつ写真写りも比較的よいので、天体撮影を始めたばかりの方でも楽しめる対象です。 星空の綺麗な高原に出かけたら、撮影にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。


Imaging information

撮影光学系: キヤノンEF200mm F2L IS USM

撮影カメラ: Astro60D(キヤノンEOS60Dの天文用フィルター換装・冷却改造モデル)

フィルター: IDAS HEUIB-IIフィルター使用

赤道儀: タカハシP-2Z赤道儀、AMD-1モーターにて一軸オートガイド追尾

カメラの設定: ホワイトバランスプリセット、F2.5、ISO800、RAWモード

露出時間: 270秒×4コマ

画像処理ソフト: RAP2、ステライメージ7、PhotoshopCC

撮影場所: 兵庫県神河町峰山高原