彼岸花星雲と出目金星雲
NGC6357 & NGC6334
Takayuki Yoshida
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彼岸花星雲と出目金星雲
夏の代表的な星座と言えば、さそり座です。 そのさそり座の尾の部分で輝いているのが、彼岸花星雲(NGC6357)と出目金星雲(NGC6334)です。 どちらも赤い散光星雲で、星雲の広がった形が、それぞれ彼岸花や出目金の形に似ていることからこの愛称が付けられました。 写真の中では、左上の星雲が彼岸花星雲、右下の星雲が出目金星雲です。
どちらも比較的明るい天体ですので、フィルターを換装したデジタル一眼レフカメラを使用すれば、写すのは容易です。 しかし赤緯マイナス35度前後の天球で輝いているため、大阪での南中高度は20度前後と低く、クリアに写しだすのは簡単ではありません。 高品質な写真を得たいなら、低空まで空気が澄み渡った、透明度の高い夜に撮影する必要があるでしょう。
この彼岸花星雲と出目金星雲の写真は、ニュージーランドのテカポ湖で撮影した作品です。 南半球まで出かければ、さそり座は天頂付近で輝きますので、日本と比べてずっとよい条件で撮影することができます。 残念ながら途中から曇ってしまいましたので、十分な露出時間をかけることができませんでしたが、 日本で撮影するよりもコントラスト良く仕上がりました。 また、気温が0度以下と低かったので、デジカメのノイズの発生が少なかったです(カメラの冷却はOFF)。
この彼岸花星雲と出目金星雲のすぐ西側には、散開星団のM6とM7が輝いています。 どちらも見事な散開星団で、肉眼でもぼんやりと位置がわかり、双眼鏡を使用すれば星の集まった様子まで確認できます。 もう少し短い焦点距離のレンズを使って横構図で撮影すれば、星雲と一緒に写しこめるでしょう。 また、構図をずらして数枚撮影し、モザイク合成しても面白そうです。 ただし南中高度が低いので、モザイク合成するには素早く全コマを撮影する必要があります。 できるだけ明るい光学系を使って、地平線近くで輝く魅力ある天体を撮影してみてはいかがでしょうか。
※銀塩写真ギャラリーに中判カメラで撮影した散開星団M6とM7の写真を載せていますので、 構図の参考にしてください。
Imaging information
撮影光学系: キヤノンEF200mm F2L IS USM
使用カメラ: Astro60D(キヤノンEOS60Dフィルター換装、冷却改造モデル(冷却OFF))
赤道儀: タカハシP-2赤道儀にて恒星時追尾
カメラの設定: ホワイトバランスプリセット、F2.5、ISO1250、RAWモード
露出時間: 130秒×4コマ
画像処理ソフト: ステライメージ7、PhotoshopCC
撮影場所: ニュージーランド テカポ湖