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テカポ星空撮影旅行 「南十字星を撮影しよう」
ニュージーランド南島にあるテカポ湖周辺のエリアは、綺麗な星空が見られる場所として世界的に知られています。
テカポ周辺なら、南十字星をはじめとした日本では見ることができない南天の星座もよく見えます。
「天頂付近で輝く南十字星を観望・撮影しよう!」と、ニュージーランドのテカポまで出かけてきました。
ちなみに現地のリーフレットによれば、「テカポ」と言う名前は、 マオリ族の二つの言葉「Taka」と「Po」が組み合わされてできたものだそうです。 Takaは「眠る場所」という意味で、Poは「夜」という意味だそうですから、「夜、眠るための場所」ということでしょうか。 満天の星空が広がる静かな町という印象です。
このページでは、ニュージーランドのテカポ湖へ星空撮影に出かけたときの様子を旅行記としてまとめています。 南天の星空撮影に役立つ情報も載せていますので、 テカポ湖へ星空撮影旅行をする際に、参考にしていただければ幸いです。
ニュージーランドへのアクセス
テカポに行くためには、まずは日本からニュージーランド南島に飛ばなければなりません。
今回はニュージーランド航空を利用して、成田空港からオークランド国際空港(北島)に飛び、
それから国内線でクライストチャーチ(南島)に移動しました。
オークランドでは一度手荷物を受け取り、入国審査並びに検疫検査の後、
再び国内線カウンターで荷物をチェックインする必要がありました。
シーズンによっては、成田空港からクライストチャーチへの直行便も運行されているようですので、そちらの方が便利だと思います。
ところで、ニュージーランドやオーストラリアは検疫検査が厳しいことで知られています。 私は食べ物を持参していたので、入国審査カードの食料持ち込み欄にチェックを入れた後、 検疫検査で持参した食べ物について検査官に説明しました。 質問は口頭による簡単なもので、何の問題もなく通過できました。 検査官によるチェックの後、手荷物と預け入れ荷物共にX線検査されますので、 食料を持ってきているなら、検査官に正直に申告した方がよさそうです。
オークランドで入国審査が終わった後、空港内のカウンターで円をニュージーランドドルに換金しました。 現地の通貨換金コーナーのレートは、成田空港の銀行カウンターよりも数円レートが良かったです。 ニュージーランド旅行に行くなら、現地で換金した方がよさそうですね。
今回の旅行では、オークランド空港で飛行機のエンジン点検のため、フライトが予定より90分ほど遅れました。 この時は事情説明のアナウンスが何もなく、搭乗口に係員さえ来ないので不安になりました。 でもニュージランド現地の乗客の方々は、皆フライトの点検が終わるまで静かに座って待っていました。 フライトの遅れはよくあることなのかもしれません。
飛行機の点検が終わると、搭乗口に係員が現れて機内への搭乗が始まりました。 このとき驚いたのは、搭乗口のすぐ横に体重計が置かれていて、大きな手荷物を持っている人は、バッグを計量させられていたことです。 私は小さなカメラバッグで出かけたので計量を免れましたが、 大きなボストンバッグを持った中国人らしき観光客達が計量させられ、係員に搭乗を待つように指示されていました。 持ち込み手荷物の大きさや重さには注意した方がよさそうです。
※ニュージーランド航空のエコノミークラスでは、預け入れ手荷物は23キロ以内のものを1個(総寸法158cm以内)。 機内持ち込み手荷物が、7キロ以内(118cm以内)となっています(2013年現在)。
![カメラバッグ](image/laketekapo/tekapo03.jpg)
オセアニア便は制限が厳しいので、いつものテンバ製カメラバック(左)をやめて、
右のカメラバッグ(アマゾン製)で渡航
クライストチャーチでレンタカーを借りる
クライストチャーチ空港に90分遅れで到着すると、外は快晴で気分が高まります。
ここからテカポまでは、車で3〜4時間ほどのドライブです。
早速、預け入れた荷物を受け取り、予約していたレンタカーを借りにいくことにしました。
大手レンタカーの受付カウンターは、荷物引き取りエリアのすぐ隣にあって便利ですが、 私が予約したのはエースレンタカー(Ace Rental Car)というレンタカー会社です。 こちらは大手の半額程度のレンタル料金が魅力ですが、クライストチャーチ空港から、車で数分離れたところに事務所があります。 まず事務所に電話して、無料シャトルバスを呼ばなければなりません。
私はクライストチャーチ空港内にある普通の公衆電話からレンタカー会社のフリーダイヤルに電話し、 クライストチャーチ支店を呼び出してシャトルバス送迎を依頼しましたが、 帰りに空港内をよく見てみると、無料シャトルバスを呼ぶ専用コーナーがありました(右上写真)。 こちらから電話をかけると、すぐにクライストチャーチのレンタカー事務所に電話が繋がるようですので、 次回からはこちらを利用しようと思います。
無料送迎を依頼すると、空港を出たすぐ外にある「Courtesy Bus Pick-Up」という場所にシャトルバスが迎えに来てくれます。 空港の表示に従っていけば、間違うことはないと思います。
エースレンタカーの事務所に着くと、若い女性がてきぱきと応対してくれました。 手続きは一瞬で、書類にサインしたらキーを渡され、「さぁ、行ってらっしゃい」と言った感じでした。 借りる車の外観チェックもアバウトで、バンパーに傷があったので指摘すると、 「こんな傷は問題ない」という返答でした。 おおらかな国柄なのでしょうね。
今回借りたのは、ニッサンティーダという車です。 オートマチック車で、室内も広く、なかなか快適でした。 冬だったので、タイヤチェーンも一緒に借りました。 また、ニュージーランドでは対向車がはねた石でフロントの窓ガラスが割れる事が多いそうなので、 「Windscreen Cover」という保険をつけました。 エアコンやオーディオは付いていましたが、カーナビは付いていませんでした。
![エースレンタカーのクライストチャーチ事務所](image/laketekapo/tekapo05.jpg)
エースレンタカーの事務所。手前の車が今回借りたニッサンティーダです
テカポ湖へのアクセス
レンタカーを借りた後、いよいよテカポまでのドライブがはじまりました。
ニュージーランドは日本と同じ左側通行なので、違和感なく運転することができます。
レンタカー事務所を出てすぐにラウンドアバウトがあったのですが、注意して走行すれば問題ありませんでした。
もたもたしていてもクラクションを鳴らされることはありませんでしたので、落ち着いて運転できました。
クライストチャーチ市内を抜けると、すぐに制限時速が100キロになりました。 街を出るととたんに制限速度が高くなるのは、アメリカの道路と同じような感じです。 この日は横風が強かったので、速度を控えめに走行しました。 1号線には数キロごとに追い越し車線が設けられていたので、制限速度以下で走っていても すぐに追い越していってくれました。
クライストチャーチからテカポまでの道程はそれほどややこしいものではありません。 クライストチャーチから南西に延びる1号線を走ると、アッシュバートン(Ashburton)という街に到着します。 この街を抜けて西側に延びる79号線に入り、それからフェアリー(Fairlie)という街で8号線に合流すれば、あとは道なりでテカポに到着です。
クライストチャーチを抜けて1号線をドライブしていると、ニュージーランドの広々とした景色に魅了されました。 道路もほぼ真っ直ぐで気持ちが良いです。 ニュージーランドはドライブするだけでも楽しいですね。
今回の旅行の宿はキッチン付きのコテージタイプを借りていたので、途中のアッシュバートンで見つけたスーパーマーケットで買い物をすることにしました。 これはNew Worldというニュージーランド各地にあるスーパーで、いろいろな食材が揃っていて見ているだけでも楽しかったです。 買い物が終わって外に出ると、もう日が沈んで辺りは暗くなっています。 気温も下がってきたようで、道路の凍結などが心配なので先を急ぐことにしました。
アッシュバートンではまだ晴れていましたが、79号線に入って西方向にある山脈に近づくにつれ、空模様が怪しくなってきます。 しばらくすると雨が落ちてきて、やがて風が加わり、暴風雨へと変わりました。 運転するのも危ぶまれるような天気で、速度を落として慎重に運転しました。 やっとのことでレイクテカポに到着しましたが、暴風雨で何も見えません。 とりあえずホテルのフロントでチェックインして、この日は星空は諦めて寝ることにしました。
![New Worldスーパー](image/laketekapo/tekapo07.jpg)
滞在中に何度か利用したスーパーマーケット「NewWorld」。
他にも「CountDown」という大手スーパーがありましたが、こちらの方が好印象でした
レイクテカポのホテル
レイクテカポは観光地として人気スポットのようで、テカポ湖の周りにはたくさんのホテルが建ち並んでいました。
しかしどれもホテルというよりモーテルのような感じで、二階建てくらいの建物なのでそれほど目立ちません。
テカポの美しい景色に配慮しているのでしょう。
今回レイクテカポで利用したのは、「ザ・シャレー・ブティックモーテル(The Chalet Boutique Motel)」というコテージ型の宿泊施設です。 この宿泊施設には6つのコテージがあり、どのコテージからもテカポ湖の景色を眺めることができます。 レイクテカポでは人気のある宿泊施設のようで、繁忙期にはすぐに満室になってしまうようです。 幸い私がでかけた7月は空いているようで、予約したときにはまだ空室がいくつかありました。
コテージにはいろいろなタイプがありますが、私が利用したHenkel Hutというコテージの室内は広く、 電化製品もそろっていて便利でした。 冬なので建物の外は寒いのですが、室内には各種暖房設備がそろっていて暖かく、快適に過ごすことができました。 ただテカポは空気が乾燥しているのしょう、ひどい肌荒れに悩まされました。 紫外線も強いですし、日焼け止めや肌荒れ対策グッズは持って行った方がよさそうです。
レイクテカポの他のホテルとしては、ザ・ゴッドレー・リゾート(The Cogley Resort Hotel)が古くからあって定番の宿となっているようです。 このホテルはレイクテカポのビレッジセンター沿いに建っていて、テカポ湖にも歩いていけるなど、 大変便利な立地条件です。 ただ建物が古いせいか、外観の見た目は少々さびれた印象を受けました。
他には、テカポに新しく「ペッパーズ ブルーウォーター リゾート(Peppers Blue Water Resort)」というホテルができていました。 テカポで知り合った日本人の方が宿泊していたのですが、 新しいホテルだけに部屋もフロントも大変綺麗です。 建物は2階建てのモーテルタイプで、部屋の広さによっていろいろなグレードがあるようです。 ホテルはビレッジセンターの道を挟んだ向かい側に建っていて、小高い丘のようになっています。 残念ながら道の向こう側に高い木があるため、部屋によってはテカポ湖を見ることはできないようですが、 新しい施設を望むならお勧めホテルでしょう。
![レイクテカポ Peppers](image/laketekapo/tekapo09.jpg)
レイクテカポに数年前出来たペッパーズ ブルーウォーター リゾート。人気施設のようです。
テカポの観光スポット
テカポ湖周辺の観光スポットと言えば、善き羊飼いの教会が有名です。
テカポ湖畔に建てられた小さな石造りの教会は、1935年にヨーロッパから来た開拓民によって建てられたものだそうです。
ニュージーランドのテカポに来たら、この教会を見ないわけにはいかないでしょう。
善き羊飼いの教会は、もう少しゴテゴテした教会かと思っていましたが、 シンプルで本当に小さな教会でした。 テカポ湖の雄大な景色の中にぽつんと建っているという言葉がぴったりで、 観光客に人気の理由が分かるような気がしました。
教会の中に入ると、湖側の正面が小さな祭壇になっていて、このガラス越しにテカポ湖とサザンアルプスを見ることが出来ます。 小さな空間ですが、どこか神聖な気持ちにさせてくれる場所で、しばらくその美しい風景に見とれていました。
ターコイズブルーの水をたたえたテカポ湖とこの教会の景色は、絵から飛び出してきた景色と言われるだけあって、 風景と建物が調和しています。春にはルピナスの花が咲き誇るそうなので、より一層美しいことでしょう。
善き羊飼いの教会のすぐそばには、バウンダリー犬の像が建っています。 これは開拓時代の境界線を守った犬たちの働きをたたえたものだそうで、1968年に建てられたそうです。
テカポ湖の西側にある標高1031mのマウントジョンの山頂にある、 マウントジョン天文台も是非訪れたい観光スポットです。 夜になると山頂へと続く道路は閉鎖されてしまいますが、昼間なら車で山頂まで上がることが出来ます。 マウントジョンの山頂からは、テカポ湖とレイクテカポの町並みを楽しめます。 雄大な展望ですので、テカポに行ったら忘れず訪れたい場所です。
![マウントジョン天文台](image/laketekapo/tekapo11.jpg)
マウントジョン山頂には大きなドームがいくつも建っていて、雄大な眺めを楽しめます。
テカポの星空ツアー
ニュージーランドのテカポと言えば美しい星空ということで、レイクテカポの町では、星空を見るツアーがいくつか開催されています。
中でも人気があるのは、現地在住の小澤さんが経営する「アース&スカイ(Earth&Sky)」のスターウォッチングツアーです。
アース&スカイのツアーでは、夜にマウントジョン天文台に上がって、
星空ガイドの説明を聞きながら、南半球の星空を天体望遠鏡で見ることができます。
今回、この星空ツアーに参加してみると、思った以上に多くの観光客が参加していて驚きました。 特に中国からの観光客が多く、マイクロバス2台に分かれてマウントジョン山頂に向かいました。 星空ツアーでは、英語以外に日本語や中国語でも説明が行われていますので、 英語が苦手な方でも大丈夫ではないでしょうか。
夜、マウントジョン山頂に上がると、レイクテカポの町の夜景を見ることが出来ます。 ナトリウムランプで輝く夜景は、日本の夜景とはまた趣が違っていて興味深いです。 頭上には満天の星空を見ることが出来ました。 グリーンレーザーを使った南天の星座の説明を受けた後は、 口径40センチの天体望遠鏡で南半球の主要な天体の観望が始まりました。
天体望遠鏡を使った観望では、エータカリーナ星雲やタランチュラ星雲、オメガ星団などを見せていただきました。 口径が大きいので、雲のような星雲の中に細かい模様まで見えてきて、複雑な星雲の様子に圧倒されました。 こんな大きな望遠鏡を南半球まで持ち込むことはできないので、貴重な体験でした。
星空ツアーでは、山頂でガイドの方に星空の撮影を依頼することもできます。 マウントジョンで南半球の星空を撮影できれば、テカポを訪れたよい記念になるのではないでしょうか。 なお、星空ツアーに参加すると大きなダウンジャケットを無料で貸してくれますが、 マウントジョンの山頂は寒いので、暖かいインナーウェアを着こんで参加する方が安心だと思います。
![アースアンドスカイの星空ツアー](image/laketekapo/tekapo13.jpg)
星空ツアーの様子。寒くなったら左に写っているアストロカフェの中に入って休憩も可能
テカポの星空と天候
今回テカポに出かけた主な目的は、南天の星空の観望と撮影です。
以前からテカポは晴天率が高いと聞いていましたので、月明かりの影響が少ない新月を挟んだ時期を選んで訪れましたが、
今回のテカポの撮影旅行では残念ながらあまり天候に恵まれませんでした。
テカポに到着した日は強風と大雨でした。 2日目も風はおさまったものの、やはり雨。 3日目になってやっと晴天が広がり、美しいテカポ湖の景色を楽しめましたが、夜は22時頃までは星空を楽しめたものの、 それを過ぎると曇空に。 4日目の日中は曇で夜は降雪。5日目になってやっと一晩中快晴という天候でした。 というわけで、テカポで一晩中ゆっくりと星空を見られたのは、5日目の夜になってからでした。
しかし一度晴れると、頭上には満天の星空が広がってくれます。 22時頃には天の川の最も濃い部分が頭上にかかり、日本では見ることが難しい太く美しい天の川銀河を堪能できました。 天空にかかるアーチのような天の川銀河。夢にまで見た光景です。 ホテルから車で数分走った荒野で星空を仰ぎ見ると、天の川銀河の雄大さに圧倒されて、 まるで他の惑星の地表に立って、星空を見ているような感覚に襲われました。 我々の住む天の川銀河は、とっても大きいのですね。
テカポの星空の見え方としては、標高の高い場所で見るようなギラギラした星空という感じではなく、 しっとりとした優しい見え方です。 天の川銀河の星々もザラザラしたようには見えず、ふんわりとした雲のように見えていました。 口径40センチの天体望遠鏡で土星を見せてもらったとき、低空にも関わらず気流がよいなと思いましたので、 そのような気流の良さが、星々の輝きを落ち着いた雰囲気にしているのかもしれません。
レイクテカポの街明かりが若干ありましたが、ホテルの前からでも十分星空を撮影することができました。 右上は善き羊飼いの教会前で撮影した天の川銀河ですが、レイクテカポの街中でもこのように夜空を横断する天の川を楽むことができます。 また、南十字星の名で知られる「みなみじゅうじ座」も綺麗に見えていました。 テカポは緯度が高いので、南十字星は南の空に天高く上り見やすいです。 ニセ十字と間違えないように注意して、テカポの夜空で輝く南十字星を探してみてはいかがでしょうか。
![南十字とニセ十字](image/laketekapo/tekapo15.jpg)
左上が本物の南十字星(みなみじゅうじ座)で、右下がニセ十字です
テカポの星空おすすめの時期
テカポ湖の星空で真っ先に思い浮かぶのは、「南十字星」と呼ばれている「みなみじゅうじ座」ではないでしょうか。
テカポ湖は、南極に近く緯度が高いので、南十字星はいつでも地平線上に見えていますが、
せっかくなら、見やすい時期に旅行プランを立ててみてはいかがでしょうか。
南十字星が見やすい時期は、4月から7月にかけてです。 4月上旬、テカポでは、南十字星は真夜中頃に南中します。 7月上旬になると、南十字星は太陽が沈んで夜空が暗くなった19時ごろに南中です。 この間の時期で、月明かりが少ない新月前後を選んでテカポ湖に訪れれば、 漆黒の夜空の中で輝く南十字星が、天高く見えるはずです。
天体撮影を目的にテカポに出かける場合、南半球の天の川と共に写しておきたいのが、大小マゼラン雲でしょう。 しかし、大小マゼラン雲は、夏の天の川に対して、天の南極を挟んで反対側に位置しているため、 ベストの位置で同時に見える時期はありません。 渡航時期を変えて、二度、南半球に訪れるのがベストですが、それが難しい場合には、 4月にテカポに訪れて、薄明が終わった早い時期にマゼラン雲を撮影するか、 7月の明け方に撮影するしかないと思います。
なお、現地在住の天文ファンの方のお話によると、テカポ湖付近は、9月末から10月にかけて雨や曇りがちのお天気になるそうです。 この時期は南十字星も見づらいので、旅行時期から外した方がよいかもしれませんね。
![大マゼラン雲と小マゼラン雲](image/laketekapo/tekapo27.jpg)
大マゼラン雲と小マゼラン雲。肉眼でもちぎれ雲のように見えます
テカポで南十字星を撮ってみよう
せっかくテカポまで来たのですから、ご自分のカメラで南十字星や南天の星空を撮ってみてはいかがでしょうか。
撮影方法は難しくありませんが、撮影にはちょっとしたコツと機材が必要です。
ここで南天の星空を撮影する方法を簡単にご紹介しましょう。
南十字星を撮影するカメラには、ノイズの少ないデジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラが適しています。 長時間露光するので、カメラ三脚は必須です。 荷物の多くなる海外旅行ですので、コンパクトなもので十分ですが、 重いカメラを載せてもグラグラしない三脚を選びましょう。 また手ブレを防ぐため、レリーズも用意しく方が安心です。
まずカメラの設定をマニュアル、そしてシャッター速度30秒、ISO3200前後にします。 次にレンズをマニュアルフォーカス、レンズを広角側に合わせて、カメラを三脚に固定します。 次に星空の中で明るい星にレンズを向けて、ピントをマニュアルで合わせます。 この時、ライブビュー機能を使うと合わせやすいです。 ピントをマニュアルで合わせづらい場合には、 オートフォーカスで一度遠くの街灯に合わせてから、レンズのスイッチをマニュアルに戻すとよいでしょう。
あとは、南十字星の方向にレンズを向けてシャッターを切るだけです。 カメラのファインダーは暗いので星がよく見えません。 おおよその方向に向けて、何度かテスト撮影しながら構図を合わせるとよいでしょう。 露出時間は30秒を基本にしつつ、もう少し長くしてもよいと思います。 ただ露出時間を長くすると、それだけ星も流れますので注意が必要です。 ご自分で撮ったテカポ星空の写真は、きっと素敵な思い出になると思います。 是非チャレンジしてみてください。
もっと本格的に南十字星を撮影するなら、ポータブル赤道儀を持って行くと星空の動きを追尾してくれるので便利です。 ポータブル赤道儀を使用する際には、南半球モードにするのを忘れないようにしましょう。 赤道儀を使う場合には、天の南極に回転軸を合わせる必要があります。 みなみじゅうじ座の長い方の線を約4.5倍伸ばしたところに天の南極があります。 これを目安にするとよいでしょう。
![天の南極](image/laketekapo/tekapo17.jpg)
おおよそですが、みなみじゅうじ座の長辺を伸ばしたところに天の南極があります
テカポ湖の光害
星空が美しいことで知られるレイクテカポの村ですが、村の中心部のビレッジセンター周辺には、 夜になると街灯が点され、善き羊飼いの教会から街の方向を見ると、これらの街灯の光が思いの外目立ちます。
また、夜マウントジョンに登ってテカポ湖の夜景を見渡すと、 ナトリウムランプの明かりで街の形がはっきりとわかるほどです。 日本の街灯と違って演色性の低いナトリウムランプなので、街中にいても夜空がそれほど明るいとは感じませんが、 テカポにも確実に光害は存在しています。 光害についてシビアに考えるなら、レイクテカポの村から少し離れて撮影した方がよいかもしれません。
今回の撮影旅行では、周囲に光害がほとんどないレイクプカキの駐車場でも星空を撮影しました。 レイクプカキで撮影した画像を見比べてみましたが、レイクテカポ村内で撮影した写真と写りの大きな違いは見いだせませんでした。 低空を写した場合は光害の影響を受けてしまいそうですが、天頂付近の天体を撮影する場合なら、 直接街灯の光が入らない限り、レイクテカポ村内でも大丈夫そうな印象でした。
![テカポの光害](image/laketekapo/tekapo20.jpg)
マウントジョンから見たテカポの街明かり。人工の光で村が形取られているがわかる
レイクテカポのビレッジセンター
レイクテカポの村の中心部は、レストランや土産物店などが立ち並んでいて、ビレッジセンターと呼ばれています。 ここにはガソリンスタンドに併設された小さなスーパーもあります。 スーパーには生鮮・加工食品、シャンプーに乾電池など、生活に必要なものはおおよそ揃っています。 今回の旅行では自炊していたので、このスーパーには何度もお世話になりました。
日本食レストランの「湖畔」の隣には、お土産物店も併設されています。 こちらにはニュージーランドの名産のシープスキンブーツや、 この地方名産のメリノウールセーターなどが販売されていました。
ビレッジセンターには、他にもアース&スカイやテカポ・スプリング(温泉)の事務所などが並んでいます。 小さな村ですが、昼間のビレッジセンターはなかなか賑わっていました。
![テカポのビレッジセンター](image/laketekapo/tekapo21.jpg)
レイクテカポ村の中心街。レストランやお土産屋が密集しています
レイクテカポの食事
テカポ滞在中はほとんど自炊していましたが、
一度、旅行ガイドブックでよく紹介されているレストラン「湖畔」に行ってみました。
湖畔レストランは、この辺りで養殖している新鮮なサーモンを使った丼で有名な店です。
湖畔レストランに入ると、日本人の店員さんが聞き慣れた日本語で席へと案内してくれます。 今回は特に予約をせずに訪れましたが、日曜日ということもあってか、窓際の席は予約で埋まっていました。 テカポ湖の眺めを楽しみながら食事をしたいなら、事前に予約をした方がいいと思います。 このレストランなら日本語が通じますので、電話予約が楽で助かります。
湖畔レストランでは、サーモン丼とラム肉のフライを注文しました。 サーモン丼に使われているサーモンは、日本で食べるサーモンの刺身と遜色ない味で、 ニュージーランドのレイクテカポでこのようなおいしいサーモン丼を食べられることに感動しました。 ただ、日本のサーモンの刺身よりスライスが薄く、少々ボリューム感が足りなかった点が残念でした。
ラム肉のフライも、肉が柔らかく、カリッと軽く揚がっていて、大変おいしかったです。 ただこちらもメインにするには少々ボリューム不足でした。 サイドメニューで楽しむのがいいかもしれません。
ちなみに日本人以外の観光客には、Bento(弁当)が人気があるようです。 弁当といっても、黒いお重に刺身や天ぷらなどがきれいに盛りつけられたもので、 ちょっとした会席料理のような感じです。欧米の人には、 いろいろな和食を一度に試すことが出来て魅力的なのでしょうね。
レイクテカポのビレッジセンターには、この他にもタイ料理や中華料理店があります。 訪れた方の話では、タイ料理店はなかなか良かったそうなので、今度テカポを訪れる機会があったら、 タイ料理にチャレンジしてみようと思っています。
![ラム肉のフライ](image/laketekapo/tekapo19.jpg)
ラム肉のフライ。ラム肉は柔らかくて味は良かったです。
プカキ湖
テカポから西に約50キロ離れたところに、プカキ湖(Lake Pukaki)があります。
プカキ湖はテカポ湖と同じような大きさの湖で、遠くにマウントクックが見える美しい湖です。
綺麗に晴れた日に、湖面の向こうのマウントクックの山頂を見るために出かけてみました。
テカポからプカキまでは約30分のドライブです。 レイクテカポの村を出ると、すぐ左手に遊覧飛行の発着場となっている飛行場があります。 そこからずっと荒野のような場所をドライブすると、突然目の前にブルーの水をたたえた大きな湖が目に飛び込んできます。
プカキ湖の南端には、綺麗に整備された広い駐車場があります(右上写真)。 この隅にはビジターセンター兼土産店が併設されていて、プカキ湖の運河で取れたサーモンの刺身やスモークサーモンを販売しています。 刺身には醤油にわさびと割り箸も用意されていて、購入してその場で味見することができます。 せっかくなので、テイスティング用と書かれた小さなパックを購入して、試食してみました。
サーモンの刺身は見た目も日本のお刺身と全く同じで、 食べてみると、日本のスーパーでよく売っているノルウェー産サーモンと同じような味と舌触りで美味しかったです。 ニュージーランドでこんな美味しいサーモンを養殖していたことを知り、驚きました。
この駐車場からプカキ湖の向こうにマウントクックを見つけることが出来ました。 マウントクックは、地元ではアオラキ山とも呼ばれていて、標高3754mのニュージーランド最高峰の山です。 その高さゆえに山頂は雲がかかることが多く、なかなか全景を見られる日は少ないようです。
![プカキ湖とマウントクック](image/laketekapo/tekapo23.jpg)
左よりの高い山がマウントクック。ニュージーランド最高峰の山です
テカポからの帰路について
テカポの最終日の前夜は雪が降り続き、朝起きると辺り一面銀世界になっていました。
白い雪に包まれたテカポは美しかったのですが、この日はレンタカーでクライストチャーチまで帰らなければなりません。
ホテルの駐車場から出るために、タイヤチェーンを巻く必要がありました。
しかし、レイクテカポの村から出ると、すぐに道路から雪はなくなり、タイヤチェーンを外して通常通り走行することができました。 「近頃のテカポは天候が悪く、大雪が降ることがある。」とホテルのオーナーが言っていましたが、 本当にテカポの周りだけ天気が悪いのかもしれません。 実際、テカポが曇っている日に山を越えると、綺麗に晴れていたことがありました。
帰りの飛行機の便が午前5時半頃クライストチャーチ発と早いので、 深夜に空港に到着して朝まで休憩することにしました。 レンタカーは、レンタカーの事務所が閉まっている時間帯なので、受付時に言われたとおり、 車を事務所の敷地内に停め、車の鍵をドロップボックス内に入れて返却しました。
クライストチャーチ空港には、5ドル払うと休憩できるエアーラウンジ(Air Lounge)という場所があります。 空港内の奥まった場所に用意された、長椅子が置かれた会議室のような部屋ですが、 他の場所と隔離されていて、照明も暗くなっているので、静かに休憩できました。 早朝便で帰る場合にはありがたい施設です。
クライストチャーチの早朝便に乗った後、オークランド8:15発の成田行きに乗り換えて日本に帰ってきました。 このオークランド発の便の時間がもう少し遅ければ、ゆっくりとニュージーランドから日本へと帰れるのに残念です。
ところで、クライストチャーチ空港でのチェックインの際、預け入れ荷物だけでなく、 人によっては、機内持ち込み荷物の重さもチェックされていました。 私は幸いチェックされませんでしたが、荷物が少しでも大きいと計量されて超過料金を取られるようです。 往路もそうでしたが、カメラなどの機材を機内に持ち込む場合は注意が必要ですね。
![雪に覆われたテカポ湖](image/laketekapo/tekapo25.jpg)
雪に覆われたテカポ湖。空から日が差してきて美しい景色になりました
テカポに訪れてみて
「頭上で輝く南十字星を見たい!」ということで訪れたニュージーランドテカポですが、天候が優れなかったのが残念でした。 しかし、晴れた夜には噂通りの雄大な天の川が天頂にかかり、南半球の星空を楽しむことができました。
星空の暗さだけを比べると、ハワイや南米の高山の方が透明度が高く、より星々が透き通って見えるかもしれません。 しかし、テカポではホテルの前からでもこの星空を楽しむことができ、快適な星空観望をすることができました。 観光客が増えるにつれ、テカポ湖周辺の光害がだんだんと酷くなっているということですが、 是非この星空環境を守っていってほしいと思いました。
また、星空だけでなく、昼間のテカポの景色も美しかったです。 ターコイズブルーの湖の向こうに見える山々を見ていると、都会の喧噪を忘れてゆったりした気分になれました。 善き羊飼いの教会では、大型バスで訪れる中国からの観光客の多さに驚きましたが、 それだけ世界中の人がテカポの自然に魅了されているということなのでしょう。 またテカポの星空に会いに出かけてみたいと思っています。
編集後記
私の撮影した天体写真が、
ニュージーランドの紹介本「Our New Zealand: A Celebration Of Our National Treasures and Pleasures(右写真の書籍)」に掲載されました。
この書籍は、出版会社のランダムハウス ニュージーランド支社が発行しているニュージーランドのガイドブックで、 ニュージーランドの美しい自然や動物、それにマオリ族の伝統的な様子が数々の写真と共に詳しく紹介されています。 欧米向けの書籍のため文章は英語ですが、この本を読むとニュージーランドの歴史や建国の様子がよくわかり、 また違った視点からニュージーランド旅行を楽しめると思います。 ニュージーランドに訪れた際、本屋に出かける機会がありましたら、ご覧になってみてください。
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