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2008年ゴールデンウィークの星空撮影情報

2008年のゴールデンウィークは、新月の時期と重なっているので、星雲などの天体写真撮影には最適の時期です。 この5月の新月の時期を逃すと、日本は長い梅雨空が続くことが多いので、この間に夏の星雲星団を撮影しておきた いところです。

今回のゴールデンウィークは、4月26日から29日の期間と5月3日と6日の2つの期間に分かれていますが、 5月5日が新月なので後半がベストです。

薄明終了と開始の時間

天体写真撮影に最適なのは、天文薄明が終わってから天文薄明が始まるまでの間です。 太陽の沈む時間と上ってくる時間は、観測地の経度や緯度に関係しますから、場所によって少し ずつ変わってきます。 以下の表で2008年5月3日の各地の時刻を見てみましょう。

場所 日の入り 天文薄明終了 天文薄明開始 日の出
大阪市 18:45 20:18 3:34 5:07
札幌市 18:38 20:31 2:34 4:26
東京 18:30 20:06 3:14 4:49
沖縄県那覇市 19:03 20:26 4:28 5:52

北海道は薄明開始が早くて撮影時間が短いですね。それに比べて沖縄は朝が遅くて、ゆっくり撮影できそうです。 お金に余裕があれば、ゴールデンウィークは沖縄に出かけるとゆっくり星空を撮影できるかもしれません。

今月の月

今月の新月は5日月曜日こどもの日です。満月は20日火曜日。

上弦の月となるのは、12日月曜日。下弦の月が28日の水曜日です。

月齢から見た撮影期間

月の様子 5月5日が新月ですが、その前後も撮影に適した時期です。私の場合は、月齢が24を過ぎた頃から、晴れれば撮影に 行くのがいつものパターンです。そして月齢が5ぐらいになるまでは、天気と睨めっこの毎日です(笑)。

今回のゴールデンウィークは、4月26日に始まります。この日の月齢は約20と下弦の月にもなっていません。 太い月が0時過ぎに東の空から上ってきます。

月齢が約24になるのは4月30日です。この頃になれば、月が昇ってくるのは午前2時頃になりますので、 ゆっくり撮影ができそうです。

ゴールデンウィークの後半、5月3日から6日にかけては、月の心配をほとんどしなくてよさそうです。 一晩中撮影できるでしょう。もちろん天気が良かったらという大前提があります。

また、新月を過ぎて月齢が約5になるのは5月10日です。この頃になれば、空が暗くなったときには、 まだ半月に近い月が南の空に残っていて、午前0時前に西の空へと沈んでいきます。それからが撮影開始というわけです。

撮影する天体選び

現地に着いてから撮影プランを考えていると、あっという間に撮影時間がなくなってしまうものです。 特に慣れない内は、前もってある程度調べておくのがよいでしょう。 その下調べが案外と楽しかったりするので、二度お得だと思います。 ステラナビゲーターやtheSKYなどの星空シミュレーションソフトがあれば、構図まで考えることができて 便利です。

薄明終了直後

天体の写真 近畿地方の2008年5月3日の薄明終了後の南の空には、 アンテナ銀河、ソンブレロ銀河(M104銀河)、M83銀河、オメガ星団、ケンタウルスA(電波銀河)が見えています。

南半球の天体が好きでたまならい方は、迷わずオメガ星団とケンタウルスAを狙いましょう(笑)。 普通の方は、渦巻きが綺麗 なM83銀河がお勧めです。南の視界が良くない場合 はソンブレロ銀河がねらい目でしょう。 私はまだ撮れていない南中直前のアンテナ銀河を狙いたいです。

有名な天体は嫌いという方は、NGC5078はいかがでしょう。M83銀河の少し上で輝いています。また、おとめ座銀河団も ちょうど南中前ですから、焦点距離の短い望遠鏡をお使いの方にはこちらが一押しです。

北の空には北斗七星が天高くかかっています。M81とM82銀河は、南中を過ぎたので諦 めて、M101銀河M51銀河を 狙われてみるのはいかがでしょう。その他にも、ひまわり銀河や黒眼銀河も狙えそうです。

東の空には、春で一番出足が遅いヘルクレス座がのそのそと上ってきています。ヘラクレス座と言えば、 球状星団のM13です。北天最大の球状星団を撮ってみましょう。観望しても楽しいM13星団です。

夜半頃

星空の写真 はっきり言って日本は光害が多いので、野山に行っても夜空は夜半までは明るいことが多いです。 ですから、これからの時間が天体写真撮影の本番とも言えます。 普通の人は床につく時間ですが、天体写真ファンは俄然元気が沸く時間です(笑)。

この時期のこの時間と言えば、さそり座や天の川周辺の星雲がねらい目です。アンタレス付近の星雲を始め、 天の川の中のM16M17、それにM8M20も撮影することができます。 夜の時間が短いので、一晩で全て撮影は難しいでしょうから、お気に入りの対象から撮影していきましょう。 私は今回はアンタレスの星雲と、M8をじっくり撮影したいと考えています。

また、忘れてならないのは、北よりの空から上ること座やはくちょう座です。南側に光害がある観測地なら、 東から上ってくるはくちょう座の星雲を狙うのもよいでしょう。また、長焦点ならこと座のリング星雲も撮ってみたいですね。

明け方

明け方の様子 夜半頃にシャッターを切ると、すべてのコマが撮影終了したときには、天文薄明が始まるかどうかの時間になって しまっています。5月ともなると朝が早いですね。じっくり撮ると、一晩に1対象か2対象がいいところです。

薄明直前の南の空を見上げると、さそり座もやや西に傾いて、天の川が南中しているはずです。 また、東の空からは、ペガサス座の四辺形も顔を出しています。まだ夏はこれからですが、ペガサス座が 見え出すと秋の星座に想いが馳せてしまいます。双眼鏡を使えば、東の空低くにアンドロメダ銀河も見えるかもしれません。

この時期の惑星

惑星一覧

土星

薄明が終わった頃には、土星はほぼ真上に見えています。しし座のレグルスのすぐ隣で輝いているので、 二つの明るい星が見えれば、その片方が土星です。 土星は視直径(見た目の大きさ)が、18秒前後と少し小さくなってきていますがまだ見頃です。 今月を過ぎると西に傾いて見づらくなりますので、今月中に観望しておきたいところです。

木星

木星は太陽系最大の惑星で、明るさもマイナス2等級と明るいため、夜空に見えていれば、すぐにそれとわかります。 今年はいて座に位置しているので、南天低くて条件が悪いですが、これからが観測好機です。

今月の木星は、真夜中頃に東の空から昇ってきて、薄明が始まった頃に南の空に南中します。 7月9日の衝に向けて、少しずつ視直径が大きくなってきているので、だんだんと大きく見えるようになります。 今月あたりから見頃なので、朝早く起きて観望してみるとよいでしょう。

その他の天体

火星は薄明終了した頃に西空に見えていますが、視直径も小さいので見づらくてシーズン終了です。 ただ、5月23日にプレペセ星団と接近するので、その様子を双眼鏡で見てみると面白いでしょう。

金星は太陽に近くて今月は観測するのが難しいです。

水星は14日に東方最大離隔となるので好条件です。夕方の西空を探してみましょう。

流星群

5月5日にみずがめ座η流星群が極大です。