明石市立天文科学館とプラネタリウム
兵庫県明石市は、日本標準時の基準となる東経135度の子午線が通っていることでよく知られています。 そのため、明石は「子午線のまち」とも呼ばれています。
プラネタリウムが設置された明石天文科学館は、子午線の上に建っています。 兵庫県を代表する大規模な天文館なので、子供のときは、しばしばプラネタリウム鑑賞や観望会に訪れていました。
明石天文科学館
右が明石天文科学館の外観です。子午線が通っているので、建物の一番高いところに大きな時計が付いています。 その横にはプラネタリウムのドームが設置され、立派な外観をしています。 デザイン的にも素敵な建物だと思います。
今回、科学館に訪れた日は、残念ながら雨模様でした。 しかしこの日はメガスターの投影日ということもあり、大変混み合っていました。 明石天文科学館に入ると、中では整理券が配られていてプラネタリウムの開場を楽しみに待つ子供達が一杯でした。
明石天文科学館の中は広く、この建物自体も16階建てと立派な構造になっています。 1階が玄関と受付になっていて、奥には資料室やシゴセンジャーのコーナーが設けられています。 プラネタリウムは2階に置かれていて、3階から上は天文資料室が併設されています。 13階と14階には、明石海峡大橋を見渡せる展望室もあります。
プラネタリウム
明石天文科学館の中でも有名なのが、写真のカールツァイス製プラネタリムです。 このツァイス製プラネタリウムは、製造が1960年と大変古いものですが、今でも元気に稼働しています。 プラネタリウムは大変大きく、歴史の重みを感じさせてくれる外観をしています。
カールツァイスと呼ばれているのは、旧東ドイツにあったカール・ツァイス・イエナ社の製品のことです。 一般的にはカールツァイス製プラネタリウムと呼んでいますが、 詳しい方の間では「イエナ社のプラネタリウム」と呼ばれることもあるそうです。
明石天文科学館のプラネタリウムは、イエナ社のものとしては38番目に作られたものです。 明石市は阪神大震災に遭いましたが、このプラネタリウムは無事でした。 震災復旧後、私もこのプラネタリウムの投影を見に出かけました。 昔と変わらぬプラネタリウムの光に感動したのを覚えています。
このプラネタリウムには、数百枚に及ぶ光学レンズが用いられています。 このレンズで電球の光を収束させ、ドームに星を映し出します。 プラネタリウムは星の日周運動を再現しなければなりませんから、200枚近いギアも使われています。 技術の結晶とも言えるのが、この明石天文科学館のツァイスのプラネタリウムです。
メガスター
今回訪れたときには、明石天文科学館にメガスターがやってきていました。 メガスターはプラネタリウムクリエイター大平さんが作られた、超小型で詳細な星空を映し出すプラネタリウムです。 メガスターで投影される星の数は数百万個と多く、リアルな星空を作り出してくれます。
プラネタリウムドームに入ると、明石天文科学館の大きなプラネタリウムの横にメガスターが置かれていました。 なんだかおもちゃのように見えましたが、 ツァイスのプラネタリウムから星の光が切り替わると、今までよりもずっとシャープな星がドームに映し出されました。
メガスターが投影する星は非常にシャープで鋭い光です。 実際の星空よりもシャープで、宇宙で星を見ているような感覚を覚えるほどでした。 天の川の星のざらつきも再現され、実際の星空以上に星がたくさん見えました。 プラネタリウムの技術の進歩に驚きました。
明石天文科学館の天体観望会
明石天文科学館の16階にある天体観測室には、西村製作所の口径40センチカセグレン望遠鏡が入っています。 毎月一回定例観望会がこの天体望遠鏡を使って行われていて、私が以前出かけたときには土星を見せていただきました。 残念ながら気流が悪く、40センチの実力を発揮できませんでしたが、視野の中で輝く明るい土星が印象的でした。
天文科学館のドームには、以前はニコン製の15センチ屈折望遠鏡が入っていました。 子供の頃、この望遠鏡にあこがれて、科学館に足を運びましたが、震災で大破してしまったそうです。 口径15センチの屈折望遠鏡と言えば、昔は天文ファンの憧れの機材でした。 白く輝く長い鏡筒を、いつかは所有したいと子供心に思っていたのを、ぼんやりと覚えています。