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しらびそ高原 天文ファンが集う星降る聖地
しらびそ高原は南アルプスの中に位置する高原です。 しらびそ高原は標高が約2,000mと高いので、低地よりも透き通った星空を見ることができます。 よく晴れた夜、南から北まで繋がる天の川の輝きは素晴らしく、標高が高い場所ならではの星の輝きを肌で感じられます。 乗鞍岳が一般車通行禁止となった今、澄んだ星空を求める天文ファンにとっては聖地とも呼ばれる貴重な天体観測地です。
しらびそ高原へのアクセス
しらびそ高原は長野県飯田市上村の中にある高原です。 中央自動車道飯田ICから東に1時間半ほど車で走ったところに位置しています。
飯田ICからは、国道153号線から県道を経由して、東にある三遠南信自動車道 を目指します(この辺りは最近高速道路が開発されていますので年々便利になっていくと思います)。途中、天竜川を渡った辺りから 山道になりますが、道幅は広く走りやすい道です。三遠南信自動車道は大きなループ橋(喬木インター)がある自動車道で、 近くにくればすぐにわかると思います。 この自動車道の矢筈トンネルを抜けると一気に山の中へと入ります(通行料は無料でした)。
中央自動車道飯田インターチェンジからの道のり
トンネルを抜けたらすぐ大きく右へと曲がって、しらびそ峠へと向かいます。 しらびそ峠の看板を見ながら下の地図のように、山道をクネクネと走れば、赤い屋根が特徴的なハイランドしらびそ山荘に到着です。 途中の道は、白樺林の間を抜ける爽やかな道ですが、狭いので車のすれ違いには注意してください。
しらびそ峠への道のり(地図提供:えすさん)
なお、飯田ICからしらびそ高原に向かう国道153号線沿いには、SATYやコンビニエンスストアがあります。 しらびそ高原には、ハイランドしらびそ山荘以外には何もないので、ここで滞在中の食料品や 備品を購入しておくとよいと思います。
しらびそ高原の天体観測場所
しらびそ高原は、辺り一帯が高原ですから唯一決まった観測場所というのはありません。 天文ファンもお気に入りの場所に散らばって撮影しています。その中で私が前回利用したのは「クレーター跡」や「土捨て場」 と呼ばれている場所です。他にも「しらびそ山荘前(使用料を徴収されます)」や「電波塔」と呼ばれる場所で、みなさん撮影されているようです。
その土捨て場の様子は下のような感じです。地面は土ですが比較的固くしまっています。広さはかなり広く、車が100台ほどは 止められそうです。この日もゴールデンウィークでしたので、たくさんの天文ファンが集まっていました。
しらびそ高原土捨て場
この土捨て場は、ハイランドしらびそ山荘を少し越えたところに位置しています(上地図の矢印)。 山荘から車で5分ぐらい走ったところに下のクレーター跡の案内看板が立っています。 ここがその土捨て場の入口です。初めて来ると不安な小さな目印ですが、 道路の左側に立っていますので、ゆっくり走れば看板を見落とすことはないと思います。
クレーター跡の案内看板
南アルプスの絶景
しらびそ高原は星空が素晴らしいのはもちろんですが、周りの景観も素晴らしい場所です。南には3,000mを超す南アルプスの 山々が連なり、晴れた日には山々の尾根まで綺麗に見えます。5月頃なら山々の頂に積もった雪が輝いて美しさが際だちます。 星と景色とを合わせた星景写真を撮られる方にとっても、最高の撮影場所の一つでしょう。また朝になるとクレーター跡に霧が立ちこめて 絶景と出会えることもあります。
しらびそ高原の霧景
しらびそ高原の星空
しらびそ高原は標高2,000mと高いので、星々を平地よりもクリアに見ることができます。 特に天頂付近の星空は素晴らしく、わし座からはくちょう座に至る天の川は、星々のざらつきまで感じられて素晴らしいです。 ただ南天は、名古屋方面の光害の影響があるためか、いて座辺りまでは少し明るいです。しかしデジタル撮影に支障をきたすほどで はなく、全天撮影が楽しめる素晴らしい空です。視界も北天の低いところを除いては、全天良好です。
下の写真は、そのしらびそ高原で撮影した「いて座周辺の天の川」の写真です。銀塩フィルムで撮影した作品ですが、元ポジは 下3分の1ほどが緑に被っていました。こんな山奥まで離れても光害からは逃げられないとは、凄まじい都市の光の量です。
しらびそ高原で撮影した、夏のいて座付近の天の川の様子
天体写真ファンが集まる新月期
ゴールデンウィークなどの長期休暇と新月が重なると、たくさんの天文ファンがこのしらびそ高原に集まります。 私が訪れたときにも20台ほど天文ファンの車が止まっていました。来られている方は、やはり 東京方面の方が圧倒的に多いですが、遠くは中国方面から来られている方もいらっしゃいました。 しらびそ高原の星空が天文ファンを魅せてやまないのでしょう。
新月期の土捨て場の様子
しらびそ高原の土捨て場は上記したようにとても広いので、撮影場所に困ることはありません。どの場所からも彼岸花星雲や干潟星雲といった 南に低い天体を撮ることができます。でも広角星野写真や星景写真を撮る方は、撮影視野が広いので、なるべく南の端に陣取った方 がよいでしょう。南側はスロープになっていますので、邪魔な光も入らず、じっくりと構図取りすることができると思います。
しらびそ高原土捨て場の南方向の様子
携帯電話の繋がり具合
今回利用した土捨て場にいると、携帯電話の電波が届かないようで、携帯のアンテナは立ちませんでした。 私はドコモでしたがauの方も同様のようでした。
ハイランドしらびそまで戻ると携帯電話が使えるようです。 用事があるならハイランドしらびそまで戻るといいですね。
しらびそ高原のお店
しらびそ高原内にあるホテル「ハイランドしらびそ山荘」内には、レストランや売店が完備されています。 宿泊はもちろん日帰り入浴もできますので、天体観測で長期滞在する場合も安心です。 観光客もたくさん来られていて、なかなか人気のある観光スポットのようです。 日帰り入浴でお風呂を利用しましたが、風呂の中は広くて清潔で快適でした。
山から下りる必要がありますが、車で飯田市まで戻ればスーパーなどいろいろな量販店があります。 グループで長期滞在される場合は、買い出し組を作って行くのも楽しいかもしれません。 夏の昼間は日差しが強烈な上に日照時間が長いですから、夜を待って車の中にいるよりもどこかに出かけた方が楽かもしれません。
ハイランドしらびそ山荘
帰りに是非立ち寄りたいお店
せっかく長野県まで来たら、いろいろと立ち寄りたい場所があると思います。 大阪以西の方にとっては「信州」は遠くてなかなか行けない場所ですからね。
私は信州、特にしらびそ方面に出かけたときには、必ずソースカツ丼を食べるようにしています。 以前は、駒ヶ根IC近くにある「明治亭」によく訪れていたのですが、5月にしらびそ遠征でご一緒した方に「志をじ」というお店を教えていただきました。 早速この帰りに訪れてみると、ソースがたっぷり染みたカツ丼はボリューム満点で、とても美味しかったです。 しらびそ高原に行かれた際は、是非訪れてみて欲しい隠れた名店です。
おおよその場所は、飯田市から153号線をしばらく北上して飯島町に入ります。 そこから西側を走っている高速道路を越した場所に位置しています。「千人塚公園」の中にありますので、 その公園の看板を頼りに走られるとわかりやすいと思います。
ちなみに営業時間はAM11時〜14時、PM17時〜20時(月曜定休)だそうです。行かれる際にはお気を付けて。
※浜松のNさんからの情報で、志をじは場所を変えて営業されていることを知りました。 新しいお店は伊那市役所の近くのようです。住所は「長野県伊那市西春近2701-2」です(2012/06)。
志をじのソースカツ丼(並盛)900円也
しらびそ高原に行かれる方へ
しらびそ高原は標高2,000mほどの山の上にあります。 標高が高い山奥ですから、急な天候の変化などには気をつけなければなりません。 途中のアクセス道にも路側帯が不安定な箇所がありますから、土砂崩れなどの情報に注意して安全に訪れたい場所です。 できるなら単独行はやめて、何人かで訪れるとよいでしょう。 一人で行くとなんだか恐そうな場所だと思います。
しらびそ高原は、その標高のお陰で真夏も涼しく、長時間ノイズが気になるデジタル機材にとってはありがたい場所です。 その分、5月中旬でも現地の気温は氷点下を下回るほどですから、夏とはいえ真冬並みの装備が必要になってきます。 防寒対策はしっかりして行きましょう。 また、夏は日差しがきついですので、昼間も滞在する予定なら日焼け止めクリームや日よけターフ等を持って行かれることをお勧めします。
しらびそ高原の天候は、山岳地帯だけあって気むずかしい気候のようです。 しかし秋は比較的晴れやすいようで、大きな高気圧に覆われると何日も晴天が続くことがあるようです。 私が訪れたのは5月でしたが、幸運にも3日連続晴れてくれました。 しらびそ高原でこれだけ晴れるのは珍しいそうで、ちょっと得した気分になりました。 初めてのしらびそ遠征でしたからビギナーズラックでしょう。 私の住む兵庫県宝塚からは7時間近くかかるため、とても長い道のりでしたが、 最高の星空の下で楽しい3日間を過ごすことができ、満足度の高い遠征でした。
※毎年12月頃から4月頃までは積雪のため通行禁止です。現地情報をご確認されてから訪問されることをお勧めいたします。
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