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夏休みの星空撮影情報

8月といえば、夏休み真っ最中の時期です。 学生さんは約1ヶ月間学校がお休みで、星空観察に最適な時期です。 社会人も長期休暇が取りやすい時期ですので、こうしたチャンスを生かして、星空の綺麗な野山に出かけたいところですね。 ペルセウス流星群の時期に星空キャンプなんて、天文ファンには最高のイベントかもしれません。

夏休みに満天の星空を楽しまれるご予定なら、新月前後の2週間がお勧めです。 満月の日は月明かりで、天の川や暗い星々が見えなくなってしまうからです。

薄明終了と開始の時間

天体写真撮影に最適なのは、天文薄明が終わってから天文薄明が始まるまでの間です。 太陽の沈む時間と上ってくる時間は、観測地の経度や緯度に関係しますから、場所によって少し ずつ変わってきます。 以下の表で2012年8月5日の各地の時刻を見てみましょう。

場所 日の入り 天文薄明終了 天文薄明開始 日の出
神戸市 18:58 20:32 3:38 5:13
札幌市 18:52 20:46 2:34 4:30
東京 18:43 20:19 3:17 4:54
沖縄県那覇市 19:15 20:38 4:34 5:58

北海道は薄明開始が早くて撮影時間が短いですね。それに比べて沖縄は朝が遅くて、ゆっくり撮影できそうです。 夜の一番短い6月と比べると、夜の時間が少しだけ長くなってきました。それでも、冬の半分ほどしか時間がありません。

なお、観測地の緯度が高くなるほど、夏至と冬至の日照時間の差が大きくなります。 北欧などでは、白夜という太陽が一日中沈まなくなる現象が夏至に起こりますが、これも緯度が高いためです。

撮影する天体選び

現地に着いてから撮影プランを考えていると、あっという間に撮影時間がなくなってしまうものです。 特にまだ星座の形に慣れていないうちは、前もってある程度調べておくのがよいでしょう。 その下調べが案外と楽しかったりしますので、二度お得だと思います。。 下調べは星図があればできますが、ステラナビゲーターやtheSKYなどの星空シミュレーションソフトがあれば、構図まで考えることができて 便利です。

薄明終了直後

天体の写真 近畿地方の8月の薄明終了後の南の空には、 さそり座といて座が綺麗に見えています。 もうさそり座は西に傾きつつあり、さそり座の撮影シーズンは終わり に近づいています。天の川銀河は南中近くで、薄明終了後が撮影に最適でしょう。

この時期の主なターゲットといえば、はくちょう座周辺の星雲です。 はくちょう座は北十字の名前で有名な星座で、 たくさんの星雲が輝いている星座です。 まだ南中前ですし、ゆっくりと時間を掛けて撮影することができます。

はくちょう座の中でも一番の狙い目は、北アメリカ星雲でしょう。 大きく明るい星雲ですので、案外と簡単に写し出すことができます。 100ミリ程度の望遠レンズでも大きく写りますから、手軽にチャレンジすることができます。

有名な天体は嫌いという方は、はくちょう座γ星周りの星雲や 、網状星雲を狙ってみてはいかがで しょうか。もっとマイナーなものでしたら、まゆ星雲などがお勧めです。 大きな望遠鏡をお持ちでしたら、子ギツネ座 の亜鈴星雲やこと座のリング星雲も狙うことが できます。

夜半頃

アンドロメダの写真 残念ながら日本は光害が多いので、野山に行っても夜空は夜半までは明るいことが多いです。 ですから、これからの時間が天体写真撮影の本番とも言えます。 普通の人は床につく時間ですが、天体写真ファンは俄然元気が出てくる時間かもしれません。

この時期のこの時間と言えば、東の空から昇り始めたアンドロメダ座 のアンドロメダ大銀河が ターゲットになります。まだ暑い時期ですが、この時期からゆっくり撮影しておくのもよいと思います。

また、忘れてならないのは、北よりの空から上るカシオペア座やケフェウス座周辺の星雲です。 南側に光害がある観測地なら、ケフェウス座 のIC1396アイリス星雲はよいターゲットです。 こうした星雲を狙うのも面白いと思います。

明け方

明け方の様子 夜半頃にシャッターを切ると、すべてのコマが撮影終了したときには、天文薄明が始まるかどうかの 時間になってしまっています。8月は夜が短いので、じっくり撮ると、一晩に2対象撮れるかどうかというところでしょう。

薄明直前の東の空を見上げると、すばるがもう見 えています。季節を先取って撮影してみるのも面白いでしょう。 その下にはオリオン座の一部も顔を出しています。 8月はまだまだ暑い日が続きますが、夜空は秋の気配を深めています。

この時期の惑星

惑星一覧

惑星は星空の中を黄道に沿って移動していますので、毎年見頃の時期が変わります。 2012年は、木星はおうし座、土星はおとめ座に位置していますので、少し見づらい時期です。

こうした星座の位置は、天文雑誌や国立天文台のHPで紹介されていますので、事前に調べてから星空を見に行くとよいでしょう。 なお、惑星は明るいですので、都会でも観察することができます。 天体望遠鏡をお持ちなら、ご自宅から観望してみてはいかがでしょうか。

天文現象

8月と言えばペルセウス流星群です。ペルセウス流星群は、最も活発に流星が飛ぶ三大流星群の一つで、 夏休みの時期に重なるので人気があります。 毎年の極大時期は8月中頃です。月が小さければ暗夜になりますので、数多くの流星が見られる可能性があります。 この夏は、是非このペルセウス流星を観察してみましょう。