ブラックホール 暗黒の世界
地球の重力を振り切って宇宙に飛び出すためには、約秒速11キロメートルで物体を打ち出さないとなりません。 この速度は脱出速度と呼ばれていて、星の質量が大きいほど、また星の大きさが小さいほど、この速度の値は大きくなります。
もし、星がとっても小さい割にとっても重かったら、その星の重力は凄まじく大きくなります。 あまりにも重力が大きいと、その脱出速度は光の速度を超えてしまうことになります。 これが光さえ脱出できないブラックホールです。
ブラックホールができるまで
太陽よりもずっとずっと大きい星が年を取ると、超新星爆発という壮絶な最後を迎えます。 こうした大きな星は重力が強いので、爆発後は中心に向かって収縮が始まります。この収縮は重力崩壊と呼ばれ、どこまで も続いていきます。そうなるとその中心では重力がとても強くなり、あるときに光も脱出できない天体になってしまいます。 これがブラックホールの誕生です。
星の質量によって、星をここまで小さくするとブラックホールになるという大きさが決まっています。 これが有名なアインシュタインの一般相対性理論から導き出された、シュバルツシルト半径と呼ばれる計算式です。 地球はブラックホールになる天体ではありませんが、もしこのままの質量で直径18mmまでに小さくで きれば、ブラックホールになってしまいます。
ブラックホールを探す宇宙の揺らぎ
ブラックホールは光さえも脱出できません。ですから真っ暗です。どんなに目で探しても見つけることは不可能です。 そのため、近くの星の動きやエックス線を観測することで、ブラックホールを探索しています。
ブラックホールは強いエックス線を出しています。最初に発見された有名なブラックホール、はくちょう座X1は、強力な エックス線を放出しています。ブラックホールは見えないですが、こうして捜索が行われています。
巨大ブラックホール
渦を巻く銀河の中には、強力な光や電波を放射している天体があります。 これらの銀河の中心には、質量が太陽の何百万倍もある巨大なブラックホールが存在していると考えられています。
巨大ブラックホールがあることで有名な天体の一つには、左のM106銀河があります。この銀河の中心からは、電波 やガスが放出されており、私の撮ったこの写真でも赤いガスがうっすらと写っています。
これはM106銀河の中心に巨大ブラックホールが存在していて、その重力にひかれたガスが高温になって電波やジェットが 出てきているためと考えられています。