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天文書籍と星図

星空や天文関係の書籍は数多く出版されているため、 はじめて天体観測に興味を持ち出した方は、どの本を選んでよいか迷ってしまうかもしれません。

そこで、私が使っている星図や書籍の中で、初めて天体望遠鏡を使う方、 天体写真を撮る方にお勧めできる星図や天文書籍を使用感と共に載せてみました。 天文書籍を選ぶ際の一つの参考にしていただければ幸いです。 なお本の名前はAmazonのサイトにリンクしています。


多種多様な天文書籍と星座早見盤

様々な天文書籍 天文関係の本と言っても、科学的な天文計算を記載したものから、星にまつわる神話を書いたものまで、 その内容は多岐に渡っています。 天体観測を始める際、まず手に入れたい書籍は、天体の位置や姿を星図と共に示した図本ではないでしょうか。 そういった星空のガイドブックを探してみてはいかがでしょうか。

ところで、昔ながらの星座早見盤は、現在見えている星空がすぐにわかって非常に便利なアイテムです。 天体望遠鏡に付属する簡単なもので十分ですから、一つは手元に置いておきましょう。 シンプルな星座早見盤は、ベテランになってもよく使うアイテムです。


星座を楽しむ本

全天星座百科 改訂新版 古代から人は、夜空に輝く星を結んで様々な星座を作ってきました。 星座にはギリシア神話との結びつきが強いものも多く、神話を知ることでより夜空で輝く星々を楽しめるともいえます。

星座の形や見頃を知る目的なら星座早見盤で事足りますが、 星座を構成する星々の名や伝承、それにギリシア神話について知りたければ、 星座に関する書籍を一冊手に入れておくとよいと思います。

私が今まで読んだ星座の本の中で最も好印象だったのは、 藤井旭氏が書かれた「全天星座百科 改訂新版」です。 南天を含めた全ての星座が網羅されているだけでなく、 美しい写真とわかりやすい文章が魅力の好書籍です。 この本を読めば、星座や星空への興味が増すこと請け合いだと思います。


月の星図

天体望遠鏡を購入して初めて観望するのは、夜空で輝く月ではないでしょうか。 視界の中に広がる月面クレーターを眺めるだけでも、月の観望は楽しめるものですが、 クレーターの名前を調べながら観察すると、より一層興味がわいてきます。 今日は「コペルニクスクレーターがよく見えた」のように日記にまとめると、 よい思い出になるかもしれません。

月面を観望する際には、月面ガイドブックが一冊あると役に立ちます。 月のガイドブックは、あまり出ていませんが、図説月面ガイドと いう本が月観望派に人気があります。月の写真や地形のできた歴史などにも書かれているので、月を丸ごと楽しむことができる一冊です。 価格も比較的リーズナブルです。

また、高価になりますが月面ウォッチングという ガイドブックも定評があります。この本は分厚くて本格的なガイドブックなのですが、月面の地形が地域ごとに詳細なイラストで詳しく載っているので、 実際に視野内に広がる月面と見比べることができます。高価ですが一冊あると重宝する本で、私も愛用しています。


星空のガイドブック

星座早見版でも有名な天体は載っていますが、見え方や細かい位置までは載っていません。そういう時には星空のガイドブックが役に立ちます。 自動導入できる天体望遠鏡をお持ちの方でも、ガイドブックを一冊持っていると「次はこれを見てみよう」と計画が立てられて、より星空観望が楽しくなると思います。

この手の星空ガイドブックで、とても人気があるのが星雲星団ウォッチングと いう本です。少し本格的な本ですが、天体観測をはじめた方から、天体写真を撮る人にも大変人気があるガイドブックです。

この本の美点は、探したい天体を含む広い範囲の星図と、詳細星図、それにその天体の写真が載っていることです。このため、探したい天体の周囲の星の並びがよくわかり、 天体を見つけるときのよい足がかりになります。また、7度のチャート図がかかれていますので、天体写真を撮るときの構図決定にも役立ちます。 読み物としては少し寂しい本ですが、満天の星空の下で天体観測するときには隣に置いておきたい一冊です。


星図は欲しくなってから

ポケットスカイアトラス 天体望遠鏡を買って天体観測はじめると、星の位置が示された本格的な星図(標準星図第2版など)が欲しくなるかもしれません。 しかし、星図を初めから購入するのはあまりお勧めできません。 というのは、本格的な星図の使用頻度はそれほど高くないためです。 天体観測したい天体を見つける用途なら、星座早見版やガイドブックの方が役立つと思います。

従って、変光星の位置が知りたいとか、各星の系列を細かく調べたいということがなければ、星図の必要度はそれほど高くないでしょう。 天体観測をずっと続けられて「こういうことがもっと知りたい」と目的ができてから買われるのがベストと思います。 それに星図は、海外の方がいろいろなものが揃っています。 日本の書店だけでなく、海外のサイトなどでも調べてから購入されることをお勧めします。

天体撮影用に、右上のポケットスカイアトラスという星図を購入しました。 今まではA3判のスカイアトラスという海外の星図を使っていましたが、A3版は大きく持ち運びに不便です。 それに比べてポケットスカイアトラスはコンパクトで見やすく、色取りもされています。 マイナーな星雲や銀河も掲載されていますので、ディープな天文ファンにもお勧めできる星図です。


天体写真にチャレンジするなら

驚きの星空撮影法 デジタルカメラの性能が向上し、天体撮影は身近になりました。 それにつれて様々な天体撮影のハウツー本が発売されるようになりました。 その中で興味深いと思ったのは、 地人書館から発売されている「驚きの星空撮影法」という本です。

この本には、デジタル一眼レフカメラの超高感度設定を利用して、星空を固定撮影で撮影する方法がまとめられています。 これから天体撮影にチャレンジする方にとって、高価な赤道儀ははじめから手に入れづらいものがあります。 そうした時にこの本が役立ちます。 まずは固定撮影で様々な天体を撮影し、それから赤道儀を使った本格撮影にステップアップしてみてはいかがでしょう。

天体望遠鏡を使用した天体撮影のガイドブックにはいくつかの書籍があります。 そんな中で「プロセスでわかる はじめての天体写真」という本は写真が豊富で人気があります。 内容は銀塩フィルム時代の書物ですが、順序よく話が組み立てられているのでわかりやすいです。 初めて撮影にチャレンジされる前には、一度は目を通しておきたい書物です。

デジタルカメラを使った本格的な天体写真の撮り方が載った本は、あまり出版されていないようです。 あっても内容が古かったり、銀塩写真の内容を一部変更したものばかりです。 こういうときには、このサイトの天体写真の撮り方も参考にしていただけると幸いです。


ディープな天体写真ファンの構図決定に

星雲星団フォトアルバム 本格的な天体撮影を行う際、構図決定の参考として広視野を写した天体写真集があると便利です。 そんな用途に最適なのが、シュミットカメラによる星雲星団フォトアルバムです。

この天文書籍はガイドブックと言うよりも、銀塩フィルムとシュミットカメラで撮った星雲の写真集のような書籍です。 広い写野を明るい光学系で撮影しているので、構図決定の時にとても役立ちます。 あまり知られていない淡い星雲まで掲載されているので、ベテラン天体写真ファンにもお勧めできる本です。


天体望遠鏡を自作するなら

天体望遠鏡を夏休みに自作してみようという方には、天体望遠鏡の作り方という本がお勧めです。 反射望遠鏡のミラーの磨き方から、鏡筒の製作方法まで載っています。 その他には全天円形写野カメラの作り方など、星空撮影に役立つパーツの作成方法も載っています。 最後にはドームの作り方まで掲載されていて、ちょっとビックリするかもしれません。

この本は好評だったようで、天体望遠鏡の作り方2という続編が作られました。 こちらには、ポータブル赤道儀の作り方や、よりマニアックな内容がたくさん載せられています。 スカイセンサー2000を使った自作例が沢山載っていて、当時のスカイセンサー2000の人気ぶりが伺えます。


天体望遠鏡のカタログ

天体望遠鏡ガイド 天体望遠鏡の各メーカーから製品カタログは出版されていますが、望遠鏡ショップに足を運ばない限り、カタログはなかなか手に入れられません。 そんなときに役立つのが、出版社が出している天体望遠鏡カタログです。 安価な製品から高価なものまで、たくさんの機材が載っていまて、スペックの比較も容易です。

この手の本で昔からの一番の定番は、 地人書館が出している望遠鏡・双眼鏡カタログです。 ユーザーのコメントも載せられていて、読んでいるだけで興味がわいてきます。 また、私の記事が連載中の月刊誌星ナビからも星ナビ別冊 望遠鏡カタログが出版されています。 載っている機材の数は少ないですが、読みやすく仕上がっていると思います。 ただどちらの本も出版されたのが2008年前後なので、内容が古いのが残念な点です。 最近はネットで十分な情報が得られますが、やはり書籍で読みたいと思う方も多いのではないでしょうか。 そろそろ最新版が出て欲しいところです。

天体望遠鏡の構造や性能を詳しく知りたい方には、天体望遠鏡徹底ガイドブックがお勧めです。 天文ガイドで連載されている光学テスト記事をまとめたもので、望遠鏡の光学テストの結果が詳しく載っています。 また、同じ著者の書籍で、2012年に発売された「デジタル天体写真のための 天体望遠鏡ガイド」もお勧めです。


星空のビジュアル本

ビジュアル星空案内 写真と共に宇宙の姿を紹介した図鑑のような本は、眺めているだけで楽しいものです。 こうした本を見て、天文に興味を持った方も多いと思います。

こうしたビジュアル本はいろいろ出ていましたが、バランスが取れた本が見あたりませんでした。 そんな中、アストロアーツ社から「ビジュアル星空案内」という本が 発売されました。 私の写真も掲載されているので自画自賛になってしまいますが、綺麗な写真にわかりやすい説明が載せられていて、 眺めているだけでも楽しい天文図鑑に仕上がっています。

この本には、写真と説明だけでなく、天体望遠鏡の使い方や、天体写真の写し方の説明も載せられていて、バランス良くまとまっています。 星空に興味があるけど、天体望遠鏡はまだ持っていないという方にもお勧めできるガイドブックです。

メシエ天体ビジュアルガイド
メシエ天体ビジュアルガイド: 星雲・星団110個すべてを写真と星図で見せる

110個あるメシエ天体の全てを、写真で紹介しているビジュアルガイドブックです。 見開きの右側1ページを使ってメシエ天体の写真を載せ、その左側ページで被写体について解説しているので、 とても見やすい構成になっています。

メシエ天体を観測しようと思っている初心者の方だけでなく、ベテランの方にも重宝する本だと思います。 また載せられている写真は大きく綺麗ですので、天体撮影時の参考にもなりそうです。 こうした写真が豊富に掲載されたガイドブックがあると、 天体観測がより楽しくなると思います。

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