天体観測に必要なアイテム
天体望遠鏡や双眼鏡を手に入れたら、是非、星空の綺麗な郊外に望遠鏡を持ち出して、 星空観望・天体観測を楽しんでみましょう。 星空観望や天体観測をより快適に行うためのアイテムを、 使用感を交えながら、このページでご紹介します。
手元を照らすライト
街灯が立ち並ぶ都会の明るい夜と異なり、野山の夜は真っ暗ですので、手元を照らすライトは必須です。
懐中電灯でも大丈夫ですが、両手が自由になるヘッドライトが便利です。 また、ライトの光が明るすぎると、せっかく暗闇に慣れた目が明順応して、星空が見えにくくなってしまうので、 目への刺激が少ない、赤色のライトがお勧めです。
右上の写真は、私が長年、愛用しているヘッドライトです。 元々は、白色LEDが使われたライトでしたが、自分で赤色LEDに交換して使用しています。
昔は赤色ライトのヘッドライトは少なかったのですが、最近は、 天体望遠鏡メーカーなどから、LEDの光の色を赤色に切り替えられるヘッドライトが販売されていますので、 天体観測や星空観望には、そのような製品がお勧めです。
なお、ヘッドライトの中には、赤色の半透明のプラスチックをライト部分に被せることで、 白色LEDの光を赤色に替えるモデルがありますが、このようなモデルは、 電池が少し減るとすぐに暗く感じてしまうので、避けた方がよいと思います。
折りたたみイスとテーブル
屈折式天体望遠鏡を覗くときは、しゃがむような姿勢になるため、椅子がないと、とても疲れます。 また、双眼鏡で天頂付近を観望するときも、椅子に座った方が快適に楽しむことができます。
また、天体望遠鏡のアイピース等を置くための折りたたみテーブルもあると便利です。 もし、流星群の日に流れ星を観測に出かけるなら、アウトドアキャンプなどで使用する、 銀マットがあれば、寝転んで夜空を見渡せるので、快適に流れ星の観測ができると思います。
私は、折りたたむとコンパクトになる踏み台(セノビー)を椅子として使っています。 晴れた夜、椅子をずっと屋外に置いておくと、布の部分が夜露で濡れてしまうことがありますが、 プラスチック製の踏み台なら、すぐに夜露を拭き取ることができるので重宝しています。
防寒着
星空観望は快晴の夜に行うため、真夏の夜でも放射冷却で気温が下がって、肌寒く感じることがあります。 空気の澄んだ晩秋や冬の頃は、気温が氷点下まで下がることも多いので、 しっかりと防寒対策をしましょう。
防寒着というと、登山用の高価な製品を思い浮かべるかもしれませんが、 星空観察は、登山のように運動するわけではないため、通気性にはそれほどこだわらなくて大丈夫です。
天体観測用として、比較的安価で人気があるのが、釣具店で販売されている釣り用の防寒着です。 冬場の釣りは、仕掛けを投げて当たりをじっと待つカレイ釣りが人気です。 釣りもそれほど身体を動かさないので、釣り用の防寒着は、天文用としても適していると思います。
また、真冬に天体観測に出かけるときは、足元の防寒にも注意しましょう。 ずっと星空を見ていると、足の先から徐々に身体が冷えてきて、足が寒さで痛くなってしまうことがあります。 分厚い靴下とスノーブーツのようなものを履くと、快適に星空観察を続けることができます。
真冬になると、私は、フリースの上に、 防寒ベンチコートと呼ばれる丈の長いコートを羽織って、天体撮影を行っています。 右上画像のように、丈が長いので動きは若干妨げられますが、脚まで温かいので、寒がりの方にお勧めです。
星座早見盤や星図
星空観察に慣れてくると、星座の位置や形が自然とわかるようになりますが、 満天の星空を見始めたばかりの頃は、星が多くて、どれが何という星座かよくわかりません。
このようなときには、日付と時刻を合わせると、そのときに見える星空が表示される星座早見盤が便利です。 スマートフォンの星空アプリも便利ですが、明るい画面を凝視すると、 目が明順応して星が見えにくくなってしまうため、 星座早見盤の方が良いと思います。
また、天体望遠鏡や双眼鏡を使って星団や星雲を観望するなら、 星座早見盤の他に、星図も用意しておきましょう。 星図には様々な種類がありますが、本格的な星図よりも、 ガイドブックのような写真入りの本の方が使いやすいと思います。
夜露除けヒーター
晴れた夜、星空撮影を楽しんでいると、いつのまにか望遠鏡のレンズに夜露が付着し、 レンズが結露してしまうことがあります。
結露すると望遠鏡の像はぼやけてしまい、星々を鮮明に観察することができなくなりますので、 長時間、天体望遠鏡を使って観望する場合は、露除けヒーターを用意しましょう。
露除けヒーターには、いろいろな種類がありますが、USBバッテリーを使用するタイプが便利だと思います。 詳しくは、天体写真撮影方法ページの「星空撮影時の結露対策」のページをご覧ください。
カメラレンズ用のヒーターには、いろいろな長さの製品があるので、 お使いの望遠鏡の筒の長さに合う製品を選びましょう。 なお、反射望遠鏡の場合は、ヒーターを巻きにくいので、鏡筒の先にフードを取り付けることをお勧めします。
ちなみに、夜露が付いたレンズをそのまま長時間放置すると、 レンズにカビが生える原因になります。 もし夜露が付いてしまった場合は、帰宅後、陰干しするなどして、 レンズに付いた夜露を乾かしてから保管するようにしましょう。
接眼レンズ
天体望遠鏡は、接眼レンズ(アイピース)を交換することによって、倍率を変更することができます。 たいていの天体望遠鏡には、アイピースが1〜2個付属していると思いますが、 焦点距離が異なるアイピースを全部で3種類ほど用意すると、天体観望をより深く楽しめると思います。
広い視野から高い倍率まで楽しむために、 天体望遠鏡に接続したときに、低倍率、中倍率、高倍率となる3つの焦点距離のアイピースをそろえるのがお勧めです。
例えば、口径8センチで焦点距離910ミリの望遠鏡の場合、 低倍率用として、焦点距離25ミリ前後のアイピースを、 中倍率用として、焦点距離12ミリ前後のアイピースを、 高倍率用として、焦点距離6ミリ前後のアイピースを用意すれば理想的でしょう。 なお、3種類の中で、星空観望に最もよく使用するのは、低倍率用のアイピースです。
また、焦点距離が同じであれば倍率は同じですが、製品によって、視界の広さが異なります。 広い視界をもったアイピースほど、天体望遠鏡を覗きこんだときの視界が広く、 より快適に天体観測を楽しむことができます。
ただ、視界が広いアイピースほど、一般的に価格が高くなり、超広角となると天体望遠鏡が買えるほどの価格になってしまいます。 最初は、あまり高価なものは必要ないと思いますので、 まずは、見かけ視界70度前後のリーズナブルな製品を選び、 天体観測を長く楽しみたいとなったときに、視界の広い超広角アイピースを検討されてみてはいかがでしょうか。
ポータブル電源
ポータブル電源は、天体観測に必ず必要なものではありませんが、一つあると重宝するアイテムです。
右写真は、私が使用しているメルテック社のポータブル電源です。 DC12Vのシガライターソケットの他に、AC100VとUSB電源が付いており、 天体観測の際に必要な電源を得ることができます。
なお、このようなポータブル電源の容量はあまり大きくはありません。 自動導入機能の付いた赤道儀に露除けヒーターを併用して、気温の低い冬場に一晩中観望すると、 途中で電圧が下がって、赤道儀が停止してしまうことがあります。 本格的な天体観測や天体撮影用に電源を用意する場合は、容量の大きなディープサイクルバッテリーをお勧めします。
デジタルカメラとカメラ三脚
星空の綺麗な場所に出かけたら、 記念に星空の写真を撮影してみてはいかがでしょうか。
星空撮影に必要なのは、デジタルカメラとカメラ三脚です。 カメラは、デジタル一眼レフカメラがベストですが、30秒以上の露光時間を設定できる機種なら、 ミラーレス一眼やハイエンドコンパクトカメラで撮影することもできます。
星空を綺麗に撮影するには、少し慣れが必要ですが、 天体観測の合間に何度か撮影していると、コツがわかってきて、ある程度の写真を撮ることができるようになります。 星空撮影についての詳しい情報は、天体写真撮影方法のページをご覧ください。
まとめ
天体望遠鏡や双眼鏡を使った星空観望や天体観測に必要なアイテムをまとめました。 他にも便利な機材がみつかれば、追記していきたいと思います。
ところで、天体観測や星空観望を楽しむに当たって、ご自身の安全にも十分注意していただきたいと思います。 星空の綺麗な場所というのは、真っ暗な野山という場合が多いので、 初めての場所に出かけるときは、明るいうちに現地に行き、 危険な箇所がないかチェックしてから、星空観望を楽しみましょう。
また、野生動物との遭遇にも注意しましょう。 特に鹿は多く、真っ暗闇の中で突然に目の前に現れるとびっくりします。 携帯ラジオをつけるなどして、動物が近づかないようにすることも大切です。
星空観望や天体撮影に熱中していると、ついつい周りのことが見えなくなってしまいますが、 天候の変化や体調、周囲の安全に気を配って楽しみましょう。
ビクセン 天体観測用ライトSG-L01 赤色LED天体望遠鏡メーカーのビクセンが製造している、天体観測用のヘッドライト「SG-L01」です。 赤色LEDが採用されているので、目への刺激が少なく、星空観望・天体観測用途に適しています。 赤色照明の明るさも可変できるので、状況に合わせて適当な照度を選ぶことができます。 また、サブライトに電球色のLEDが搭載されているのも良い点です。 天体望遠鏡の設置、撤収時には、赤色LEDでは暗すぎて、白色LEDのヘッドライトに付け替えるときがあるのですが、 電球色LEDなら目への刺激も少なめなので、使いやすいと思います。 一般的なヘッドライトと比べると、若干高めの値段設定ですが、 天体観測用として必要な機能を押さえたヘッドライトと思います。 |