ニコン天体望遠鏡について
ニコン天体望遠鏡を使用した印象や、販売していた当時の様子をまとめたページです。 個人の見解や印象などが大いに入っていますので、軽い気持ちで読んでいただければ幸いです。
天体望遠鏡も作っている株式会社ニコン
ニコンと言えば、銀塩フィルム時代の一眼レフカメラや、 高性能デジタル一眼レフカメラのイメージが強いですが、 天体望遠鏡も製造している光学機器メーカーです。
現在は、大型天体望遠鏡を受注で生産しているだけですが、 昔は、個人用の小型天体望遠鏡を量産していたことがあり、天文ファン憧れの機材でした。
中古市場で人気があるニコン製天体望遠鏡
ニコンが小型望遠鏡の製造を終了したのは、20年以上も前ですが、 ニコン製の天体望遠鏡は現在でも人気が高く、中古市場などでは高値で取引されています。
ニコンの小型天体望遠鏡の中でも特に人気があるのが、EDレンズを使った口径10センチの屈折望遠鏡です。 口径10センチで焦点距離1200ミリというF値に余裕を持った設計で、 今でもこの天体望遠鏡の恒星像が最も綺麗と評する天文ファンもいるほどです。
ちなみにニコンED10cm屈折望遠鏡は、当初は赤道儀でセット販売されていましたが、 分割でも購入できるようになりました。
右上の画像は、その当時販売されていた、ニコンED10cm屈折望遠鏡の鏡筒です。 立派な木箱に入れられているのが、歴史を感じさせますね。 ファインダーに暗視野照明装置が付けられているのが、当時としては先進的に感じられました。
ニコン製天体望遠鏡は、日本だけでなく、海外でも人気があります。 ニコンのED10センチとタカハシのフローライト鏡筒等と比較したレビュー記事もあり、 ニコンファンにとっては興味深い内容だと思います。
ニコン天体望遠鏡が人気があるのは、性能面だけでなく、 日本光学工業が造った望遠鏡への憧れもあると思います。 東京天文台木曽観測所をはじめ、ニコン製の大型天体望遠鏡は、日本各地の天文台に納入されています。 ニコンブランドへの憧れと信頼は、日本人天文ファンにとってはとても大きなものだと思います。
ニコンと言えば双眼鏡
個人用の天体望遠鏡の製造は終了してしまいましたが、双眼鏡は現在も製造・販売が続けられています。 ニコンの双眼鏡は星空観望の分野でも定評があり、昔から人気があるメーカーです。
ニコン双眼鏡の豊富なラインナップの中でも、昔から変わらず人気があるのが、 プロフェッショナルシリーズの「ニコン 7X50SP」です。 ニコン7x50 SPは、写野周辺まで鋭い製造を結び、双眼鏡の比較記事でもよく取り上げられている名機です。
ただニコン7x50 SPは、現在の他の双眼鏡と比べると、大きく重いので、 よほど本格的に星空を観望する人以外には、お勧めしにくい機種かもしれません。 アダプターを使って三脚に固定して、じっくりと星空観望を楽しみたい方向けの双眼鏡です。
ニコンD810A
天体望遠鏡を製造販売しているニコンですが、天体写真撮影用のデジタルカメラの分野では、 キヤノンに遅れを取っており、ニコン天体望遠鏡ユーザーとして残念に思っていました。
しかし、2015年5月末に天体撮影専用のデジタル一眼レフカメラ、ニコンD810Aが登場し、 徐々にですが、天体写真分野でのニコンカメラの人気が復活しつつあると感じています。
ニコンD810Aの成功をきっかけにして、ニコンが再び小型の屈折望遠鏡を製造・販売し始めれば、 天文界も大いに盛り上がることと思います。 ミラーレスカメラなどの台頭で、経営的には厳しい局面にあるとは思いますが、 是非、ニコンならでは新しい切り口で、魅力溢れる製品を作っていただきたいと願っています。
ニコン WX 7×50IF、10×50IF
ニコンが創立100周年記念として、新しい双眼鏡WXシリーズとして、 口径50mmの7倍と10倍の二機種を発表しました。
ニコンWXシリーズの特徴は、広い見かけ視界と周辺までの良好な星像です。 特に星空観望用として、最高の性能を目指したということですが、その分、 価格は非常に高価で、メーカー小売価格は60万円を超えています。 ツアィスやスワロフスキー製の高級双眼鏡が2台買えてしまう価格です。
ニコンWXシリーズは、非常に重く、重さは2,500g弱もあります。 「大きくて重いが、高性能」と評されるニコン7x50 SPの重さが1500g程度ですから、 同じスペックで、どれだけ重くなっているかがよくわかるでしょう。
ピント合わせ機構はIFで、価格も重さもかなりマニアックな性能ですが、 現在、私が知りうる限りは世界最高の双眼鏡のように思います。 60万円の価格ですので、それほど販売台数が伸びると思いませんが、 WXシリーズのような尖がった製品を世に送り出せるのは、優れた技術を持つ、ニコンだからこそ可能なことでしょう。 これからも、私たちを驚かせ、世界の注目を集めるニコンであって欲しいです。