LRGBカラー合成 画像処理編
モノクロ冷却CCDカメラを使用した、LRGBカラー合成の処理方法について面白おかしく紹介しています。 このページの内容は、LRGBカラー天体撮影編の続きになります。 LRGBカラー天体撮影の各ページには、左の実践編「LRGBカラー天体撮影」の中のリンクからアクセスして下さい。
このLRGBカラー合成の処理方法のページは、天体写真の画像処理経験がある程度ある方向けに記載しています。 初めての方向けには、画像処理の基礎ページを設けていますので、そちらもご覧下さい。
まずは撮影した画像を開いてみよう
「ふぅ〜、久しぶりの登場だ。」
「やっと前回撮ってきたM33を処理できるぜ。」
「まったくいつまで待たせるんだ。」
「今回もバシッと決めて、入選ゲットしてやるからみてろよ〜。」
「あと舞台設定は秋ってことでよろしくな。」
撮影してきた画像を一度ステライメージで開いてみましょう。 今回はL画像が8枚、RGB画像がそれぞれ2枚ずつありますので、全部開くと結構迫力です(下図)。
この画像一覧を見ると「よっし、やる気出てきた。やってやるぞ〜!」と思ったり、 「えぇ、こんな多くのファイルから一つの画像を作るのぉ・・・大変そう。」と思うかもしれません。 私もどちらかと言うと後者ですが、一つずつ順を追って処理すればそれほど大変な作業ではありません。 ゆっくりやっていきましょう。
L画像を完成させよう
「オレはこういうのを見ると 『燃えてくるぜー!』 タイプだな。」
「よっし、パパッと処理してやるぜ。まず何するんだ?」
まずはじめに、最終画像において解像感や明暗調子の要となる「L画像」を仕上げましょう。 L画像の処理は、前回書いた「Hαの画像処理編」と全く同じです。 ですから、細かい部分はそちらを参照して頂き、ここでは簡単にその流れだけを箇条書きにしておきます。
@それぞれのL画像の前処理(ダーク/フラット処理)を行います。
※ステライメージのバッチ処理を使うと一度で処理できますAその後、クール・ホットピクセル除去コマンドを軽くかけて、 突発的なノイズ分を除去しておきます。
B前処理を行ったL画像をすべて開き、基準点を設けてコンポジットを行います。 これもバッチの中にある「コンポジット」を使うと簡単に出来ます(位置合わせのチェックを入れるのを忘れずに)。 方法は加算平均もしくは加算でよいでしょう。
※ステライメージ7なら自動で位置合わせができます。Cコンポジットしたファイルをfts形式で保存した後、レベル補正コマンドを使って、L画像の調子を整えます。 淡い部分を表現しようとしすぎると画像が荒れてきますので、 ハイライト部分が多少飛ぶ程度に抑えておきます。
Dレベル補正で飽和してしまったハイライト部分を復活させるため、デジタル現像処理を行います。 デジタル現像処理では、デフォルトよりも少し効き目を弱めた方がコントラストがほどよくつき、自然な仕上がりになります。 また、デジタル現像の中にある「エッジ」はシャープ感を増す効果があるので、少しだけスライダを上げておきましょう。
Eデジタル現像コマンドのに一番下にある「ガンマ」ですが、 これは簡単に言うとレベル補正の中間スライダの位置に相当するものです (ステライメージのレベル補正にはありませんが)。
ステライメージの場合、この数値を大きくすると中間スライダが右に移動し、 中間調が暗くなります。数値を小さくすると、左にスライダが移動し中間調が明るくなります。 この辺りは好みで数値を入力するとよいでしょう。
L画像のチェック
さぁ、綺麗なL画像はできましたか? L画像は最終画像のクォリティを左右する大切な画像ですから、 一度ここでチェックしておきましょう。
Q:ダークノイズはしっかり除去されていますか?
「余裕余裕・・・って、拡大したらポツポツ白いの残っているよ。」
「ちょっとまずいんじゃないか?」同じ温度で撮影したダークフレームを使ってダーク減算していますか。 ダークフレームは元画像から減算処理するわけですから、 ある程度の数をコンポジットしてSN比を上げておくのがベストです。
しかしそれでも小さなノイズは残ってしまうことがあります。 その時はクールホットピクセル除去で消してあげましょう。
Q:コンポジットした星は、2重になったりしていない?
「ずっとオートガイド撮影してたんだから、ずれるわけあるかよ。」
「コンポジットの時の基準点設定なんて、面倒だから無視無視!」
「・・・あれ?よく見ると星が回転してないか?これ?」オートガイドを使った連続撮影でも、フィルター交換時などに星が少しずれてしまうことがあります。 基準点はなるべく2点ずつ設定し、しっかり星が重なるようにしましょう。
Q:処理したL画像は荒れていませんか?
「処理したL画像はオレの素肌のようにスベスベだぜ〜。」
「っていきたいとこだけど、鏡で見ると結構荒れているよなぁ。もう年か?」淡い部分がよく写る冷却CCDカメラでも、 強力な処理を施すと画像が荒れてしまいます。 レベル補正前に戻って、淡い部分の強調を荒れない程度にしておきましょう。
星雲自体がとても淡くてどうしても荒れてしまうときは、 撮影時から撮影枚数を増やしてコンポジット枚数をかせぐのがベストです。 画像処理の行程では、少し軽めにバックグランドスムースなどをかけてやるのもよいでしょう。
次はRGB画像だ!
さぁ、肝心要のL画像は完成しました。あとはそれに色を付けるカラー画像、RGB画像の作成です。 私の処理の場合「L画像は明暗調子を与えてくれる画像」、「RGB画像は色情報を載せるための画像」とわけて考え、処理しています。 人によってはちょっと違和感がある処理方法かもしれませんが、 こちらの方が頭が混乱しにくいので、これから冷却CCDの画像処理をはじめる方にはお勧めだと思います。
何はともあれ、まずはRGBフィルターを通して撮影したそれぞれの画像を開いてみましょう。
「よし、いよいよカラー画像の作成だ」
「とりあえず撮影したRGB画像を開いたけど、どれも同じように見えるなぁ」
「2×2ビニングで撮ったから、L画像の4分の1の大きさだけど、大きさが同じだったら見分けつかないぜ。RとGなんてどこが違うんだって感じ。」「とりあえずは言われたとおり、RGB各画像2枚ずつ撮ってきたから、それぞれ前処理(ダーク・フラット補正)した後コンポジットしておかないとな。」
「えっと、まずはRからと・・・」
・・・・・・
「よっし終了。RGBそれぞれ2コマコンポジットした画像が出来上がったぞ!」
今回の題材は、連続光で輝いているM33銀河ですから、RGB各画像とも同じように写っています。 しかしもちろん同じ画像ではなく、Rはレッドフィルター(Red Filter)を通ってきたR成分だけが写っています。 散光星雲などを写すと、RGBの違いが明らかにわかり 「あぁ、この星雲はほんとに赤く輝いているんだなぁ。」と感慨に浸ることが出来ます(笑)。
RGB各画像の前処理、コンポジット方法はL画像の時と同様です。 RとGを間違えたりしないように、一つずつゆっくり前処理からコンポジットしていきましょう。
RGBカラー合成の前に頭を整理しよう
RGB画像それぞれの処理が終わり、後はRGB合成を行ってカラー化するだけとなりました。 「よっしゃー、ステライメージのRGB合成コマンドでカラー化だ!」といく前に、 ここで少し頭を整理してみましょう。
まずはCCDの感度特性(量子効率曲線)を思い出して下さい。 下の図は私のST2000XMの波長に対する感度のグラフですが、 これを見てもわかるとおり、波長が長くなるにつれて感度がググッと落ちています。 それを考えると、一見同じような写りに見えるRGB画像も、実際に蓄えられている情報の量には差がある可能性があります。
また、低空や光害地での撮影では、ある色だけが極端に写りが悪くなることが起こります。 そのようなことを考えても、RGBを撮影してすぐにそのまま合成しただけでは、 自然な色合いにならないことがわかるでしょう。
それではどうしましょう。方法としてはいくつかあります。 撮影時にRGBそれぞれの露出を変えて撮るのも一つの方法ですが、これではダークフレームが余計に必要になり、手間がかかります。 冷却CCDの量子効率特性を考慮に入れた、LRGBカラーフィルターも販売されていますが、 高価ですし、大気の錯乱などによるB画像の落ち込みには対処できないこともあります。
となると一番手っ取り早いのが、ステライメージなどのソフトウェア上で補正をかける方法です。 これには「演算処理」を使う方法が簡単だと思います。 しかし初めての方には少々取っつきにくいので、以下の章ではイメージしやすいレベル補正だけを使った方法で書いています。 でも「演算処理」も便利な機能ですので、ここに使うときの各ポイントを書いておきます。 ご興味ある方はご覧になってください。
[演算処理]
加算:
画像の各ピクセル情報に入力した値を加算します。 この場合、ダイナミックレンジの幅は変化せず、ヒストグラムが右に移動した形になります。
乗算:
画像の各ピクセル情報に入力した値をかけます。 この場合、各ピクセル値に一定の値がかけられるので、ダイナミックレンジが広がります。 感度不足などによるレンジの拡大に有効な方法です。
除算・減算:
それぞれ乗算、加算の逆になります。
いよいよRGB合成
前置きが長くなりましたが、それぞれ2枚をコンポジットしたファイルを開いてRGB合成を行ってみましょう。 まずは開いた3つの画像をステライメージ上で並べてみましょう。 こうするとRGBそれぞれの画像の差異が感覚的に見分けやすくなりますので、是非行ってみて下さい。
並べることができたら、次はRGBそれぞれのヒストグラムを見てみましょう。 ヒストグラムはレベル補正コマンドを開けば見ることが出来ます。 このとき、レベル補正画面の右下にある「最小値とレンジ」のチェックボックスにそれぞれチェックを入れておきましょう。
ヒストグラムが表示されたでしょうか。 ヒストグラムを見るときのポイントは、どのくらいのレンジに渡って、情報が記録されているかということです。 きっとRGBの各画像によって、少しずつレンジ幅が異なっていると思います。 狭くなっている画像は写りが悪く、広い画像はよく写っているということです。 この差異があるので、後から補正が必要になってくるのです(このヒストグラム、RGB3つとも同時に表示できればよいのですが、一つずつしか見ることが出来ないのが残念ですね)。
さぁ、RGB各画像の特徴がおおよそわかりました。 「言っていることが、よくわからないよ。」と思われた方もいるかもしれません。 でも何回もやっているとわかってきますので、 とりあえずは「ふ〜ん、そんなもんかな。」程度に聞き流して、同じようにやってみて下さい。
「いよいよRGB合成だ。」
「まずはさっきコンポジットしたRGB各画像を開いて並べる、と。」
「オレのモニタは古いから画面が狭いんだよなぁ。ナナオの24インチワイドが欲しいぜ」
「とりあえず、それぞれ50%表示にして並べてやるか。お、綺麗に画面に収まるようになったぜ。」
「次に各画像のヒストグラムを見て『最小値とレンジ』にチェックを入れるんだな。」
「なんだかわからないが、B画像だけレンジ幅が狭いような気がするな。ブルーが写りが悪いってことなのかな。」「次は何するんだ?ん。RGBそれぞれの画像のレンジ幅を一定にするのか。」
「初期状態だとR画像のレンジ幅は2600。Gが3100。Bが2500だから・・・間取って3000に合わせるか。」
「それぞれもう一度レベル補正コマンドを立ち上げて、レンジの所に3000を入れたらOKと。」「あ、それとついでに各画像の、見た目の背景の明るさを合わせておくんだっけな。」
「これはオレも方法知っているぜ。レベル補正の最小値を変えることで明るさが変わるんだよな。」
「『最小値とレンジ』にチェックが入っているから、表示されるレンジ幅は変わらないから便利だよな。」
「よし、前処理終了〜。いよいよRGB合成だな!」
ヒストグラムの特徴がつかめたら、次は上でも出てきたとおり、各画像の表示レンジ幅を合わせておきます。 そしてその作業のついでに、背景(バックグランド)の明るさもおおよそでよいので、合わせておきましょう。 これらの作業は必須ではありませんが、RGB合成後の作業を感覚的に行いやすくするためのものです。 ですからあまり考え込まずにアバウトな感覚で行ってみて下さい。
RGB画像が出てきたぞ!
「待ちに待ったRGBカラー合成コマンドを使うときが来たぜ〜。」
「前処理完璧。RGB画像も完璧間違いなし!」「まずは忘れちゃいけない基準点の設定だ。RGB各画像も位置がずれているかもしれないからな。」
「それぞれ基準点を2点設定して、”合成”の中にある”RGB合成”コマンドを実行だ!」
「表示されたダイアログボックス内で、RGB各画像をそれぞれ選択して・・・」
「出てきたぞ〜。RGB画像が出てきた!」
「やっとカラー画像の完成!やったぜ、ってちょっと色おかしいよな?」
RGB合成は上手くいきましたか?
運が良ければ、色合いも完璧なカラー画像ができていることでしょう。 しかしたいていの場合は、上のように少し色カブリしたような画像が表示されることと思います。 これは上でも書いたとおり、色によって写り方が異なっているからです。
これの補正方法は簡単です。 完成したRGBカラー画像を念のため一度保存した後、レベル補正コマンドで修正を行います。 例えば上の例のようにG要素が強い場合は、レベル補正コマンドでGのヒストグラムを表示させて、 Gのヒストグラムのレンジ幅を広げてやります。 こうするとG要素が弱くなり、全体の色合いが整ってきます。
逆にGをそのままにして、RとBのレンジ幅を狭めてやることでRとBを強めて補正することも出来ます。 どちらにしてもレンジ幅は広める方向にするとその色は弱まり、狭める方向に動かすと強まります。 それだけ覚えておいて、じっくり補正してあげましょう。 前述した演算処理よりも画像を見ながら行えますので、こちらの方が感覚的にわかりやすく、簡単な方法だと思います。 カラーバランスが崩れているときは、是非やってみましょう。
RGBカラー画像の完成へ
「レベル補正を使ってグリーンだけ弱めてみたら、ナチュラル色なM33の画像が出来上がったぜ。」
「で、よく見たらちょっと迫力がなかったから、RGB画像で全体のレンジ幅を狭めてコントラストを上げてみたぜ。」
「我ながら、なかなか見事な画像処理ぶりだな。」
「あとはこれをLRGB合成すればいいのか?」
「でもL画像はハイライトまで綺麗に表示されてるけど、RGBカラーはハイライトが飛んでしまってるなぁ。こんなんでいいのか?」
RGBの写りの差も補正された綺麗なRGBカラー画像ができました。 しかしハイライト部は飽和してしまって真っ白になっています。 これをL画像でも用いたデジタル現像処理で補正してあげましょう。
「やっぱりデジタル現像処理を行うんだな。」
「これは何度もやったから簡単簡単。」
「ハイライト部分も出てきて綺麗になってきたぜ。」
「下の右にある”色彩強調マスク”ってなんだ?」
「触ってみると色が強調されたり弱まったりするんだが・・・使ってみていいのかな?」
デジタル現像処理には「色彩強調マスク」というコマンドがあります。 これは色彩を強調したり弱めたりするもので、使うことにより色合いが派手になったりおとなしくなったりします。 色合いが少ない銀河の処理などでは、有効に働くコマンドですので使ってみるのもよいでしょう。
ただ使うにあたっては、原理的なことも知っておいた方が無難です。少しややこしい話になりますが、 行われている処理を簡単に考察してみましょう。
まず、デジタル現像処理というのは、飛んでしまったハイライト部分を圧縮するためのものです。 どのように圧縮しているかというと、フォトショップでも使われるマスクを用いた処理が行われています。 デジタル現像を実施すると、明るくなったハイライト部分だけ保護するマスクを作成し、 それ以外に強調処理(レベル補正処理)が施されるように処理されています。 ですから上のM33画像の場合は、腕の淡い部分は前処理で行ったレベル補正コマンドが生きていて、 中心部のハイライト部分は、 レベル補正の表示レベル幅をずっと広げた補正がされているのです。
わかりやすいように下に画像を示してみました。 デジタル現像処理とは、左の画像の明るい部分を除いた画像に、右の画像の適合する部分を合成しているような感じなのです。
さて、それでは色彩強調コマンドとはどうなっているのでしょう。 この上述のデジタル現像コマンドはRGB各画像に施されています。 つまり元画像で明るく写った赤い星があったとします。 これはR画像には明るく記録されていますが、G画像やB画像には暗く記録されています。
デジタル現像処理をかけるとその明るい赤い星は、R画像では明るく写っているので大きくマスクされてしまい、 暗くなってしまいます。 しかしGやBに写った画像はそれほど明るくないので、 マスクはR上と比べると小さく施されていて、GやB上ではそれほど暗くなっていません。 こうなるとRとGBとの明るさの差が小さくなり、デジタル現像後では赤い星の色が薄くなってしまう現象が起こるわけです。
それを改善するために設けられているのが「色彩強調処理コマンド」です。 R画像をもしGやB画像のマスクを用いて処理してみるとどうでしょう。 先ほどまで大きなマスクを使われて薄くなってしまった明るい赤い星ですが、 B画像のマスクを使うように変換すれば、マスクの大きさはずっと小さくて済み、 明るさはそれほど暗くならずに赤さも保てるはずです。 もしより明るく赤くしたければ、GBの画像のマスクをRに変えれば、 GとBの画像は大きくマスクされるので、RとGとBの明るさの差は大きくなり、 ずっと明るく赤く輝く星になることでしょう。
少々ややこしい話になりましたが、色彩強調の方法について少しわかっていただけたでしょうか。 「ややこしいなぁ」と思われる方は、とりあえずは原理は気にせずに、色々使ってみるのが一番だと思います。 適当に「今回はrをgにしてみるかな」「お、色がいい感じになったな」という具合に楽しんでみましょう。 ちなみに「s」というのは、rgbの各マスクを平均したマスクで表示するものです。 「ちょっと強調したいけど、どれがいいだろう。」というときは「s」を選ばれるのがよいと思います。
RGBカラー画像をなめらかに
「なんだかややこしい説明だったが、とりあえずは色彩強調コマンドを軽く使ってみたぞ。」
「sを使うといい感じに仕上がったな。これでRGBカラーは完成。あとはLRGB合成を残すのみ!」
長かったですがRGBカラー画像が完成しました。ふぅ。私もここまで書いてきて疲れ気味です。 お茶でも飲んで休憩しましょう(笑)。
さて次はいよいよLRGB合成ですが、その前にRGBカラー画像を綺麗にしておきましょう。
RGB画像は短い露出で時間をかけずに撮ってきたので、きっと荒れているはずです(RGB画像もそれぞれ10枚ずつ撮ってきたよ、という方は無視してくださいね)。 今回はL画像と同じく、ステライメージの「バックグランドスムース」コマンドで綺麗にしてあげましょう。 もし色むらなどが背景に残るようでしたら、トーンカーブの左端を持ち上げてやれば綺麗になります。 「RGB画像は色だけ綺麗ならいいんだ」と割り切って、いろんな手法を試してみましょう。 ノイズ除去ソフト「NeatImage」やPhotoshopのCameraRAWソフトを使うのもいいかもしれませんね。 いい方法がみつかったら私にも教えて下さい。
LRGBカラー合成だ!
「やっとここまでたどり着いたぜ。苦節3時間。大変だったなぁ・・・。」
「最後に残すはLRGBカラー合成のみ!」
「最初に作ったL画像と滑らか仕上げのRGB画像と、準備はバッチリ。」
「あとはコマンド実行するだけだぜ。」
さぁ、最後のLRGB合成まで来ました。 あとはL画像とRGB画像を合成して解像度の高いカラー画像を作成するだけです。 ちなみにLRGB合成とは、RGBカラー画像の輝度情報だけを高解像度のL画像で置き換える手法です。 難しいことは置いておいて「高解像度でなめらか仕上がりのL画像に、RGBの色を乗せるんだな。」程度に考えておいて下さい。
「ここからは、バテバテのRyutaoに代わって、オレが説明してやるぜ。」
「まずは作ったL画像とRGB画像を開く。」
「そうしたらいつものコンポジットするときと同様、基準点をそれぞれの画像に設ける。」
「L画像と比べてRGB画像は小さいから、同じ星を気を付けて選べ。間違ったら滅茶苦茶な画像になるからな。」
「次にL画像の方を選択した状態にしてから、LRGB合成コマンドを実行する。」
「RGB画像を選んだ状態のまま実行すると、サイズがおかしくなるから気を付けろよ。」
「でLRGB合成コマンド上で、それぞれの画像を選択し”OK”を押す。」
「そしたら出来上がり。完成だぁー!!!」
やっとLRGBカラー画像の完成です。
LRGBカラー合成時に出てくる階調調整ボタンは、L画像とRGB画像の調子が大きく異なっているときに使います。 もし全体の調子がかけ離れていたら使って補正してみて下さい。 またその下のボカシ設定は、RGB画像をぼかしてより滑らかにするコマンドです。 あまりぼかしすぎると、せっかくの色合いまで失われがちですので、ぼかす場合は1〜3程度の値を入力するのがいいでしょう。
時間をかけて仕上げたあなたの作品の完成です。 LRGBカラー合成後の仕上がりはいかがですか? 「完璧だ」なら申し分ないでしょう。 「少し色が薄いなぁ」ということでしたら、Lab色彩強調コマンドを使って少し色を強調してみるとよいでしょう。
情報がたくさん詰まった冷却CCDカメラのカラー画像ですから、 少々調整しても画像が破綻してくることはありません。 「もう少しこうしたいなぁ。」と思ったら、手を加えて自分好みに仕上げてやりましょう。 そして美しい画像に完成させてあげましょう。
最後にプリントアウトだ!
せっかく完成させた画像です。是非プリントして部屋に貼ったり、コンテストに応募したりして楽しみましょう。
プリントは家庭用のインクジェットプリンターで十分です。 ステライメージの画面から直接プリントしてもよいですし「プリントはいつも他のソフトで行っているから。」と言うことでしたら、 一旦、TIFF形式で保存した後、フォトショップやペイントショップで開いてプリントするとよいでしょう。 とにかく、自分が行って良好な結果が得られている方法が一番ですから、 他の人の意見にあまり惑わされずに、まずは楽しんでプリントしてみましょう。
「プリント開始!」
「おぉー、出てきた出てきた。」
「なかなかいいんじゃないか、これ。」
「こんなM33銀河の写真見たことある?いやオレはないね。うんうん。」
「A4プリント完成ぃ!」
「見事だ。見事過ぎる。」
「Hαのときも感動したけど、こっちはレベルが違う。天にも昇る気持ちだぜ。」
「よっし。今度はこれを天ガに応募してやるぜ!見てろよ〜。」
1ヶ月後・・・本屋で・・・
「よっしゃぁ!天ガ入選達成ぃ!」
「天ガ初入選だぜ。でも初入選手記がなくなったのは寂しい限りだなぁ。」
「オレの姿を全国デビューさせるいい機会だったのになぁ。」
「ま、仕方あるまい。最優秀取って誌面デビューとするか。」「いよいよ次は星ナビ、そして最優秀を取るぞー。」
「今度は『オレの最優秀までの足取り』って伝記がスタート予定だ!」「・・・え、そんなのない? これで終わり?」
「嘘だろー! やっとノリノリになってきたとこなのに、オイオイ続編頼むぜー。」
「ね、ね、お願いします。オレの活躍ぶりを全国ネットで・・・」
というわけで一旦ここで終了です。続編はあるかどうかわかりませんので悪しからず〜