天体写真の世界 > 天体写真の撮影方法 > 固定撮影の撮り方

固定撮影で星空を撮ってみよう

まずはカメラを三脚に取り付けて、固定撮影で星空を写してみましょう。 デジタル一眼レフカメラを使えば、30秒程度の露出時間でも星空がモニターに映し出されます。 これなら手軽に星空の撮影を始められますよね。 デジタル一眼レフカメラをお持ちでしたら、是非、星空にもレンズを向けてみてください。


撮影に必要なアイテム

固定撮影の様子 星空を固定撮影するのに絶対に欠かせないアイテムは、カメラ三脚です。 三脚さえあれば、デジタル一眼レフカメラを取り付けて、星空の撮影を楽しむことができます。 カメラ三脚を既にお持ちでしたら、まずはそれを使って星空の撮影を始めてみましょう。

もしこれからカメラ三脚を購入されるのでしたら、長い時間露出してもぐらつかないしっかりした三脚を選んでおきましょう。 三脚は風景写真や集合写真を撮影するときにも使うことができます。 丈夫な三脚は、双眼鏡で星空観望するときにも使えますので、無駄な出費にはならないと思います。 また、三脚に付属する雲台も、固定力が強いものを選ばれた方がよいでしょう。

あと用意しておきたいアイテムとしては、デジタル一眼レフカメラのシャッターを切るレリーズがあります。 星空を撮影するときには、シャッターを数十秒から数十分開けっ放しにする必要があります。 バルブという機能を使って撮影することになりますので、露出時間中はシャッターボタンをその間押しておく必要があります。 シャッターを手で押しているとカメラがぶれる原因にもなりますので、こうしたレリーズ、もしくはリモートスイッチを使うとよいでしょう。

タイマーリモートコントローラー 私は右写真のようなタイマー付リモートコントロールスイッチを使用しています。 左がキャノン純正のEOS5DMarkIIなどに使えるTC-80N3というモデル。 右は中国JJC製TM-CというEOSKissシリーズ用の廉価版コントローラーです。

どちらも時間を設定しておくと、自動的にシャッターが切れ、指定のインターバル時間で連続撮影してくれますので、とても便利です。 こうしたコントローラーは、赤道儀を使った追尾撮影や夜景撮影にも使えますので、この機会に一つ準備しておいてはいかがでしょうか。 なお、このTMシリーズは、純正のコントローラー並みに機能が充実している割りに、 Amazon.co.jpなどで廉価で販売されていますので、お買い得感があります。

※デジタル一眼レフカメラの機種ごとに、対応しているリモートスイッチが異なりますので、 購入前にはメーカーのホームページや対応表で確認しましょう。 特にJCC製の製品は、様々なモデルが販売されていますので、 ご自分のカメラに合うかよく確認された上で購入されることをお勧めします。


写し方は風景写真と一緒

撮影している様子 旅行やキャンプで星空の綺麗な場所に出かけたら、気軽に星空を写してみましょう。 写し方は風景写真とほとんど同じです。 ピントを合わせて、絞りを調整してからシャッターを切ります。

ただし星空は暗いですので、デジタルカメラのAE機能(自動露出機能)は一般的に機能しません。 カメラの撮影モードをマニュアルモードに切り替えて、星空の撮影を行いましょう。 デジタル一眼レフカメラなら、撮影結果を背面モニターで確認することができますので、 まずは、感度ISO3200の露出時間10秒前後で撮影してみて、その写り具合を見てからシャッター速度を変更していけばよいでしょう。

また、カメラのレンズも絞りすぎないようにしましょう。 上記のように星空は非常に暗いので、カメラレンズの絞りをあまり小さくしすぎると、レンズから入ってくる光が少なくなって何も写ってくれません。 レンズの開放絞りで写すか、絞っても1段ぐらいにしておきましょう。 撮影に使うレンズも、できれば開放F値が明るいレンズを用意しておきたいところです。


面倒なピント合わせ

ピント合わせ 星の写真は風景写真と同じと書きましたが、風景撮影と違って一つ難しい点があります。 それはピント合わせです。 風景写真の被写体は明るいので、たいていの場合はカメラのオートフォーカス機能が作動します。 しかし星空は暗いため、AF機能は動かず、星もカメラのファインダー越しではよく見えません。

では、どのように星空にピントを合わせているのかと言うと、実際に星を試写して合わせています。 少々面倒ですが、デジタル一眼レフカメラなら比較的簡単です。

まずはカメラのフォーカスモードをMFモードに切り替え、手ブレ防止装置をオフにし、 レンズのピントリングを無限遠マークの近くまで回します。 次に明るい星をファインダー中心付近に入れて、数秒露出で撮影してみるのです。 写した写真はすぐにモニタで確認できますから、 デジカメの液晶モニタでその画像を拡大し、星像が呆けていたら少しだけピントリングを回すという手順です。

ピントが合うまで何度か繰り返す必要はありますが、実際の撮影画像で確認するため、 一番確実なピント合わせの方法です。 慣れないうちは大変ですが、何度かやっていると素早くできるようになります。

また、デジタル一眼レフカメラに、ライブビューモードが付いていれば、それを使ってピントを合わせるとよいでしょう。 カメラのファインダーの中央に明るい星を導入した後、ライブビューを起動します。 ライブビューの倍率を上げてモニターに映っている星を拡大し、 ピントリングを回して星が一番小さくなる点を探してピントを合わせます。 このライブビュー機能のお陰で、星の撮影は一段と簡単になりました。 星空撮影用のデジカメを選ばれるなら、この機能が付いた機種を選びましょう。

※新たに設けたピント合わせの方法というページも参考にしてください。


センスを活かして星景写真を撮ってみよう

星景写真の作例 最近のデジタル一眼レフカメラはISO感度を高く出来るので、想像していたよりも簡単に星が写ると思います。 銀塩カメラと違って、、撮影画像を液晶モニターですぐに確認できるので、とても助かります。 銀塩フィルムカメラのように、現像してからピントの失敗に気付くということがありませんから、 失敗をその場でフィードバックしながら上達していくことができます。

ピントが合った星空を写すことができたら、次はもっと印象的に星空を撮ってみてはいかがでしょう。 せっかく固定撮影で撮影しているのですから、星空と風景を組み合わせて、 その撮影場所の雰囲気を星空と共に表現されてみてはいかがでしょう。 被写体は同じオリオン座かもしれませんが、風景と組み合わせれば、十人十色の撮り方があります。 作者のセンスの見せ所です。

こうした星空と風景を合わせた写真は、星景写真と呼ばれて親しまれています。 銀塩写真時代にも素晴らしい作品が発表されていましたが、 デジタル一眼レフカメラの高感度特性が向上してきてから、星景写真を楽しむ方が一段と増えてきました。 最新のデジタル一眼レフカメラを使って、新たな星空表現に挑戦してみてはいかがでしょうか。
※星景写真という呼び名は、星ナビ編集長K氏が初めに提唱したと言われています。

※具体的な固定撮影の方法を説明した、簡単な星空撮影の方法のページも是非ご覧下さい。

撮影方法メニュー

天体写真の撮り方 デジカメの改造 ピント合わせの方法 固定撮影の方法 追尾撮影の方法 直焦点撮影の方法 月の撮影方法 惑星の撮影方法 彗星の撮影方法 流れ星の撮り方 天の川の撮影方法 星景写真の撮影方法 星空撮影のデジカメ設定 系外銀河の撮影方法 銀塩カメラの星空の撮り方 冷却CMOSカメラとは

ガイド撮影編

ガイド撮影の方法 ガイド鏡の支持方法 初めてのオートガイド撮影 オートガイドの方法 PHD Guidingの使用方法 ガイド撮影の失敗と対策 オートガイダーの種類 STVオートガイダー フラットフレーム撮影方法 ディザリング撮影とは 天体撮影用ソフトウェア

電視観望編

初めての電視観望

星空撮影の知識

撮影に必要な追尾精度 星空撮影方法の分類 星空写真の構図 夜露と結露防止対策 北極星の見つけ方 極軸の合わせ方 南半球の極軸合わせ よくいただくご質問 天文用語ミニ辞典

チャレンジ編

簡単な星空撮影の方法 ポータブル赤道儀で星空撮影 200mm望遠レンズで天体撮影

関連ページ

天体写真向き天体望遠鏡 天体写真向きデジカメ 冷却CCDモノクロ撮影 冷却CCDカラー撮影 デジ一眼の画像処理