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天体撮影用ソフトウェアについて

スタンドアローンで動作するデジタル一眼レフカメラやミラーレス一眼と異なり、 天体撮影用カメラ(冷却CMOSカメラなど)を使うには、パソコンと対応した制御アプリケーション(ソフトウェア)が必要です。

冷却CMOSカメラの普及が進むにつれ、様々な撮影用ソフトウェアが登場しました。 このページでは、天体写真ファンが良く使用する撮影用ソフトウェアを紹介しつつ、使用感をまとめています。 なお、使用感はあくまで個人的な感想ですので、その点ご了承上、ご覧ください。

ステラショット2

ステラショット2は、日本のアストロアーツ社が開発・販売している天体撮影用の統合アプリケーションです。

前バージョンのステラショットは、天体撮影用統合ソフトウェアの日本での草分け的存在で、 デジタル一眼レフカメラのコントロールだけでなく、赤道儀の自動導入やオートガイド制御も可能ということで、 天体写真ファンの注目を集めました。

2020年冬にバージョンが2が発売され、デジタル一眼レフカメラの他に、ZWO社やQHY CCD社の冷却CMOSカメラにも対応しました。 撮影の機能も更新され、前バージョンに比べて更に使いやすくなりました。

ステラショット2には、日本語対応のマニュアルが付属し、 操作パネルがシンプルなので、初心者でも使いやすいアプリケーションなのが美点でしょう。 また、他の統合アプリケーションと異なり、 星図やオートガイド操作画面も同一ソフト内に含まれているため、 操作時の混乱が少なく、動作がスムーズなのも良い点です。

一方、他のソフトウェアでは可能な冷却CMOSカメラのオフセット設定ができない、電動フィルターホイール未対応、 統合ソフトなのにフォーカサーには対応していないなど、 ベテランユーザーには不満を感じる面もあります。

Pros(良い点)
完全日本語
わかりやすい操作パネル
日本語マニュアル付属
ステラナビゲーター譲りの見やすい星図
導入補正(Plate Solving)の精度と速度
優秀なモザイク撮影機能
日本語サポート


Cons(悪い点)
電動フィルターホイール未対応
フォーカサー未対応
対応カメラが限定的
カメラの設定画面が簡略化されている
GearBox使用時のWifi動作が不安定

N.I.N.A

Nighttime Imaging 'N' Astronomy、略してNINAは、天体撮影用の統合アプリケーションです。 設定画面で赤道儀やカメラ、フォーカサーをはじめとした撮影機器を繋ぐことで、 天体撮影機材を統合管理します。

NINAはオープンソースのフリーソフトで、海外の天文ファンが撮影によく使用しています。 日本語に対応してからは、日本のユーザーも徐々に増えています。

画面構成がシンプルで使いやすいのがメリットです。 同じ統合ソフトのステラショット2とは異なり、星図やPlate Solving(天体位置解析)のデーターは、 パソコンに入っている他のアプリケーションから所得します。

そのため、NINAの全機能を使用しようと思えば、対応したソフトウェアをインストールし、 使用時もプラネタリウムソフト等を立ち上げておく必要があります。 オートガイドもPHD2と通信して実行する方式です。

オートガイドに定評のあるPHD2を使用できるのはメリットですが、 稀にアプリケーション間でエラーが発生することがあります。

Pros(良い点)
日本語対応
シンプルな操作パネル
対応カメラが豊富
他のソフトウェアと連携して統合制御
オートフォーカス対応


Cons(悪い点)
英語マニュアル
他のソフトのインストールや設定が必要
プラネタリウムやPlate Solver等のインストールや設定が必要
マニュアルフォーカス画面が見辛く感じる

APT

Astro Photography Tool、略してAPTは、天体撮影用の統合アプリケーションです。 設定画面で赤道儀やカメラ、フォーカサーをはじめとした撮影機器をAPTと繋ぐことで、 天体撮影機材を統合管理します。

APTはシェアウェアですが、試用期間でもほぼ全機能を使えるため、 日本の天体写真ファンに広く使用されている天体撮影用アプリケーションです。

機能としてはNINAと同等ですが、操作パネルの位置が若干わかりづらく、 久しぶりにAPTを使用すると混乱してしまうことがあります。

APTもNINAと同様、星図やPlateSolvingは他のソフトウェを使用するので、 APTに対応したソフトウェアをインストールしておかなければなりません。 オートガイドもPHD2を使う方式です。

Pros(良い点)
日本語対応
対応カメラが豊富
他のソフトウェアと連携して統合制御
オートフォーカス対応
シェアウェアだが試用できる


Cons(悪い点)
プラネタリウムやPlate Solver等のインストールや設定が必要
PlateSolvingに時間がかかる(対ステラショット2)
操作パネルの位置がわかりづらく感じる

MaxIm DL

MaxIm DLは、Diffraction Limited社が開発・販売している天体撮影用アプリケーションです。 制御ソフトの中では歴史が古く、冷却CCDカメラユーザーが良く使用しています。

MaxIm DLのバージョンは多数あり、対応するカメラの範囲と価格($199〜$599)が異なっています。 最も安いバージョンはMaxImLTですが、対応カメラがSBIG製とWebカムに限られるので、 冷却CMOSカメラを制御するためには、最低でもMaxImDL Pro($499)を購入する必要があります。

MaxIm DLは、カメラやフォーカサー等のコントロールはもちろん、天体写真の画像処理も可能なソフトウェアです。 オートガイド機能も内蔵されており、PHD2などをインストールしなくてもオートガイド撮影が可能です。

昔から実績があるソフトウェアなので、ベテラン天体写真ファンからの信頼が厚く、 冷却CMOSカメラの撮影にも使用されています。

Pros(良い点)
画像処理が可能
オートフォーカスをはじめ多機能
動作が安定している


Cons(悪い点)
日本語非対応
冷却CMOS対応版は高価
PlateSolving(PinPoint)機能が使い辛い

SIPS

SIPSは、チェコの冷却CCDカメラメーカーMoravian Instrumets社が開発している天体撮影用アプリケーションです。 元々同社の冷却CCDカメラやCMOSカメラ用ですが、ASCOMに対応しているので、 他社製カメラの制御も可能です。

SIPSはフリーソフトですが、MaxImDLと同じく画像処理も可能で、オートガイド機能も有しています。 シーケンス撮影、ディザリング撮影など、撮影に必要とされる機能は有していますが、 PlateSolving機能には未対応です。

Pros(良い点)
画像処理が可能
オートフォーカス可能
オートガイド機能あり
天体観測(測定)に特化した機能(バージョン)がある
更新が頻繁に行われる


Cons(悪い点)
日本語非対応
冷却CMOSによっては動作が不安定になることがある
PlateSolvingに未対応

Fire Capture

Fire Captureは、ドイツの天文ファンが開発している天体撮影用アプリケーションです。 Windows版の他、MacOS Xにも対応しており、開発者のWebサイトからフリーでダウンロード可能です。

主に惑星撮影用に使用されているソフトウェアで、動画撮影に必要なパラメーターが豊富に用意されています。 星雲や星団の撮影にも使用することができますが、Plate Solvingなどの天体導入支援機能はありません。

惑星撮影用カメラとして人気のある、ZWO社、QHYCCD社のカメラはもちろん、 SkyrisやAltairといった動画撮影に向いたCMOSカメラにも対応しており、 惑星撮影には欠くことができないアプリケーションになっています。

Pros(良い点)
豊富な動画撮影用カメラに対応
惑星撮影に便利なパラメーター


Cons(悪い点)
日本語非対応
PlateSolvingに未対応

ASI Studio

ASI Studioは、ZWO社が製造しているASI冷却CCDカメラ制御用の純正アプリケーションです。

ASI Studioには、4種類のアプリケーションが入っていて、その中から撮影対象に合わせたアプリを選択します。

アプリケーションは、ゲイン設定が2種類になっている等、設定できる項目は限定されますが、 操作画面がシンプルなので簡単に操作できるのが魅力です。 カメラとネイティブで接続できるので、動作確認にも最適でしょう。

Pros(良い点)
純正ソフトなので非常に安定している
シンプルで分かりやすい
電視観望に使いやすい


Cons(悪い点)
設定項目が少ない
機能が少ない
ZWO社冷却CMOSカメラのみの対応

その他のソフトウェア

冷却CMOSカメラには対応していませんが、デジタル一眼レフカメラユーザーには、 BackYard EOSやBackYard Nikonも定評があるソフトウェアです。

どちらも名前から連想できる通り、キヤノンやニコンのデジタルカメラ制御用のソフトで、 PHD2と連携してディザリング撮影も可能です。

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