写真撮影便利グッズ
天体写真撮影に使用している、使って便利なグッズや小物、各種電気機器をページにまとめました。 まだ掲載数が少ないですが、新しいグッズを発見しましたらその都度追加していこうと思っています。 何かの参考になれば幸いです。
ポータブル電源
バッテリーにリチウムイオン電池を使ったポータブル電源です。 天体撮影用のバッテリーといえば、昔は鉛蓄電池しか選択肢がありませんでしたが、 今はリチウムイオン電池が使われたポータブル電源が、様々なメーカーから発売されています。
ポータブル電源は、キャンプ時の電源や災害時をはじめとした非常用にと、 様々な目的で購入・使用されています。
写真のJackeryは、ポータブル電源を作っている数多くのメーカーの中でも、 製品の信頼性が高いと評判のブランドです。 人気ブランドの分、写真の700Whモデルの場合、通常価格は79,800円(2020年10月現在)と、 他のポータブル電源と比べて高いですが、Amazonのプライムセール時は、62,243円まで安くなっていました。 セールの時に購入するのがお勧めですね。
700Whの容量があれば、ノートパソコンと赤道儀、冷却CMOSカメラを一晩使っても少し余裕があります。 ただリチウムイオンバッテリーは温度が下がると一気に出力が落ちるので、 冬場はバッテリーを保温するなどの対策が必要です。
※Jackeryポータブル電源700Whは、2021年4月に、Jackery ポータブル電源708Whにモデルチェンジしています。 モデルチェンジによって若干容量が増えるとともに、旧モデルにあったDC端子はなくなり、USB端子がPDに対応するようになりました。
DC/DC コンバーター 24V→12V
天体撮影時に使用している、DC/DC コンバーターです。 2つのディープサイクルバッテリーを並列に繋ぎ、このコンバーターを介して、DC12Vを得ています。
気温が下がる冬場は、バッテリーの出力が弱くなります。 そのため、DC12Vのバッテリーから、赤道儀やカメラ用のDC12Vを直接得ていると、 明け方になると動作が不安定になることがありました。 それを防ぐため、正弦波インバーターを介してから、AC100VからDC12Vを取っていたこともありますが、 この方法だと効率が悪くなってしまいます。
そこで、全く同じタイプのディープサイクルバッテリーを2個購入し、 DC24VからDC12Vを得るようにしたところ、冷却デジカメを使用しても、 2晩連続で撮影できるようになりました。 なお、私が使用しているDC/DCコンバーターは、アコン社の製品です。
精製水
反射望遠鏡のミラーを洗うときに使用している古河薬品工業の精製水です。 コンタクトレンズ用精製水と比べ、安くて容量が多いので愛用しています。
製品パッケージの裏側の用途欄に、光学レンズの洗浄用と書かれているのも安心できます。
なお、この精製水は、車のバッテリーの補充には使用できますが、 コンタクトレンズの洗浄には適しませんのでご注意ください。 私はミラーの洗浄以外に水性塗料の希釈水としても使用しています。
ヘリコイドグリス
望遠鏡のドロチューブのグリスが劣化し、動きが悪くなってきたので、 カメラレンズのヘリコイド部分に使用する、光学用ヘリコイドグリスを購入しました。
光学用ヘリコイドグリスには、粘度が異なる7種類のグリスが用意されています。 今回は、アマゾンのレビューを参考にして、#1500番の固めのグリスを購入しました。
購入後、早速、タカハシMT-200望遠鏡のドロチューブに塗布してみましたが、 純正の状態と比べて、ラック&ピニオンの動きが重くなりすぎました。 #1500番のグリスでは粘度が高すぎるようです。
ガタが大きな望遠鏡のドロチューブには適していそうですが、 タカハシ望遠鏡のしっかりとしたドロチューブには、#250番前後が適当だと思います。
植毛紙
天体望遠鏡の鏡筒内部に貼る植毛紙です。 植毛紙は、鏡筒内の乱反射や迷光防止に高い効果があることが知られています。
以前は、国際光器から販売されているオリジナル植毛紙を使用していましたが、 最近はアマゾンで販売されている、紙誠株式会社の植毛紙 短毛を使用しています。
この植毛紙には、粘着シール付きと、無しの製品が有りますが、 私は無しの製品を購入し、接着剤(セメダインX)で鏡筒内に貼り付けています。
右の写真は、植毛紙を斜鏡セルに半周だけ貼ったところです。 植毛紙を貼った部分が、より暗くなっているのがわかります。
USBリピーターケーブル
天体撮影では、デジタルカメラやオートガイダーをパソコンをUSBケーブルで繋いで制御しますが、 USBケーブルの長さが足りないことよくあります。 そのような時に使用しているアイテムが「USBリピーターケーブル」です。
USBケーブルの延長には、通常のUSB延長ケーブルもありますが、 ブースターが内蔵されたリピーターケーブルの方が、信号伝達の信頼性が高いので、 天体撮影用途には安心だと思います。
私が使用しているのは、バッファローのUSB2.0リピーターケーブルです。 ケーブルの色は黒と白が用意されていますので、夜でも目立ちやすい白を使っています。 長さは5mあるので、天体撮影の用途では十分な長さがあります。
もし5m以上の長さが必要な場合は、複数のリピーターケーブルを繋げることで、 最大20mまで延長することができます。
スターブックTEN用 RS232Cケーブル
ビクセンSXP赤道儀用のコントローラー「スターブックTEN」の接続ケーブルが断線してしまったので、 その代わりとして、右のRS232Cケーブルを購入しました。 純正の接続ケーブルよりも長いので、使い勝手が向上しました。 なお、赤道儀と接続するときには、別途購入したフェライトコアをケーブル両端に取り付けて使用しています。
スターブックTENは、単体で自動導入が可能なビクセン赤道儀用の多機能コントローラーです。 現在の星図が液晶画面に表示されるなど、使い勝手が優れているのですが、 接続ケーブルが断線しやすい問題があります。 ビクセンSXD赤道儀に使われていたスターブックでも断線が発生していました。
メーカーは純正ケーブル以外の使用を推奨していませんが、 ストレート結線のRS-232Cケーブルが代用できると聞き、購入したのが右上の製品です。 接続ケーブルの問題は、ユーザーの間で話題によく上りますので、 耐久性が高いケーブルに仕様変更していただきたいところです。
USBポータブル電源 ソニー CP-B20S
レンズの露よけヒーターの電源として使用している、USBポータブル電源 「ソニーCP-B20S」です。 USBポータブル電源は、スマートフォンの充電などによく使用されているモバイル電源です。
ソニー CP-B20Sは、USBポータブル電源としては、容量が12000mAhと大きいのが特徴で、 メーカーによれば、約1000回繰り返し使用可能とのことです。 ただ、容量が大きい分、本体も大きく、一般的なUSBポータブル電源の2倍以上の大きさがあります。 また、重さも約550gあり、手に持つとずっしり重さを感じます。 スマホを充電するという本来の目的に使用するなら、少々大げさなバッテリーかもしれません。
カメラレンズの夜露除けとして、横田さんの夜露防止ヒータータイプ6Mを使用していますが、 以前、使用していたパナソニックのUSBポータブル電源「QE-PL301(写真の黒い方)」では、夜が長い冬場は一晩持ちませんでした。 そこで新たに手に入れたのが、このソニー CP-B20S(白い方)です。 これなら冬場でも2晩連続で使用することができました。 右上写真で大きさを見比べていただくと、大きさの違いがよくわかると思います。
最近、ビクセンAP赤道儀のように、モバイルバッテリーで動く天体観測機器が市場に出てきました。 残念ながら、私が使用しているユニテックSWAT-200は、モバイルバッテリーには対応していませんが、 いずれはこうした赤道儀の電源としても使用したいと思います。 デジタル天体撮影では電源がネックになることも多いので、 容量が大きいモバイルバッテリーは大変便利で助かります。
Amazon製カメラバッグ
Amazon.co.jpにて販売されている Amazonベーシック デジタル一眼レフカメラ用バック」です。 ニュージーランドのテカポ湖に星空撮影旅行に行く際、新たに購入したカメラバッグです。
当初はいつものテンバ製カメラバッグで機材を持ち運ぶつもりでしたが、 オセアニア方面の飛行機は荷物制限が厳しく、バッグの寸法がぎりぎりの上、 必要な撮影機材を入れると、手荷物の制限重量をオーバーしてしまいました。 そこで、必要な機材が入る軽量バッグを探していたところ、 このAmazonでカメラバッグが販売されていることを知りました。
実売価格が3,000円前後と安いので、それほど期待していなかったのですが、 仕切り板やクッションもそこそこしっかりしていて、価格以上の満足感があります。 もちろんテンバやタムラックのカメラバッグと比べると、安っぽさはありますが、 その分軽量にできていますので、重量が気になる海外遠征では有利です。
右上の写真では、このAmazon製カメラバッグの中に、キヤノンEOS5DMarkIIデジタル一眼レフカメラ本体、 キヤノンEF200mmF2Lレンズ、キヤノンEF24mmF1.4LIIレンズ、キヤノンEF8-15mmF4Lフィッシュアイレンズ、 それにEF24-105mmF4Lズームレンズを入れています。 これでカメラバッグと合わせて6.8キロですから、 バッグ自体がどれだけ軽いかが、おわかりいただけると思います。
安価で軽量な実用的なカメラバッグを探している方には、お勧めできる商品だと思います。 なお、ニュージーランド航空の手荷物検査の様子は、 テカポ星空旅行記のページで触れていますので、そちらをご覧下さい。
未来舎 正弦波インバーター
株式会社未来舎が製造している、 サイン波インバーター「FI-S263A」です。 連続出力が260WのDC-ACインバーターで、冷却CCDカメラやパソコンの電気を供給しても十分な余裕がある機種です。
撮影機材をDC12Vバッテリーで動かしている際は、DC/DCコンバーターや昇圧回路を介して、 効率よく運用するように心がけていますが、AC100Vで動く機器も多いため、 DC/ACインバーターを1台持ち歩くようにしています。 商用電力と同じ正弦波を出力する機種なら、 パソコンや電子機器も安心して動かすことができるので、 以前から正弦波インバーター使っていました。 しかし、以前使用していた車用品メーカー製の正弦波インバーターは、 電圧が不安定になることがあり、電子機器にノイズが入ることがありました。 そこで、信頼性の高いこの機種に買い替えました。
メーカーによれば、このFI-S263Aは、商用電力よりも波形の歪みが少ない電気を発生するようです。 実際にオシロスコープで測ったことはありませんが、確かに電圧は安定していて、 このインバーターに交換して以来、トラブルはなくなりました。 本体は頑丈なボディで信頼性も高いのですが、電源レバーが出っ張っているため、 持ち運び時に折ってしまいそうで怖いのが残念です。
今回私は未来舎のインバーターを購入しましたが、 電菱やCOTEK社の正弦波インバーターも、信頼性が高いことで知られています。
メルテック ポータブル電源 SG-3500LED
カー用品のブランドとして知られているメルテック製のポータブルバッテリー「ポータブル電源SG-3500LED」です。 従来のシガーソケット電源に加えて、AC100VやUSB電源、 それに高輝度LEDライトとセルブースと機能が付いているので、一台あると便利なポータブル電源です。 カーバッテリーの代わりとして、天体撮影時の電源として導入した電源です。
天体撮影時は様々なデジタルデバイスを使用しますが、 このポータブル電源は、撮影で使用するノートパソコンと、赤道儀の電源として使用しています。 SG-3500LEDのバッテリー容量は約20Ahということですが、この用途なら冬場でも一晩持ちました。 しかし、その他の撮影機器にまで電気を供給すると、撮影の途中でバッテリーが上がってしまうので、 冷却デジカメなどの大電流を消費する機器へは、 大容量のディープサイクルバッテリーから別途電気を供給するようにしています。
天体撮影以外の用途ではあまり使用していませんが、 夏にドライブに出かける際に重宝するポータブルバッテリーです。 天体撮影用途としては、もう少しバッテリーの容量が大きければ、 より多くの機器に電気を供給できて使いやすかったと思います。 なお、重さは8キロほどですので、女性でも持ち運びできる重さだと思います。
キヤノンLP-E6対応 トラベルチャージャー
キヤノンEOS5DシリーズやEOS60Dに使用されている、LP-E6バッテリー用のトラベルチャージャーです。 遠征先ではAC100Vの商用電源が取れないことが多いので、 車のシガライターから充電できるバッテリーチャージャーを捜していました。 そんなときに見つけたのが、 この「キヤノンLP-E6対応 トラベルチャージャー」です。
キヤノン純正品には、CBC-E6というカーバッテリーチャージャーがありますが、 こちらは15,000円と高いので手が出ませんでした。 それに比べると、このバッテリーチャージャーは売価が1,000円前後と非常に安価です。
バッテリーチャージャー自体の大きさは、純正品と比べるとコンパクトで、 AC100〜240Vからの充電にも対応しています。 造り自体は純正品と比べると少々安っぽいですが、LP-E6バッテリーを問題なく充電してくれています。 遠征用に安くて使い易いDC12V対応のバッテリーチャージャーを捜しているなら、試してみてもよいのではないでしょうか。
USBシリアルコンバーター
自動導入機能の付いたタカハシ赤道儀やモータードライブFS2とパソコンを繋ぐためには、パソコンにRS-232C端子が必要です。 しかし、RS-232Cを標準搭載したノートパソコンは、今時なかなかありません。 そこでUSB端子からRS-232Cへと変換するシリアルコンバーターを介して、USB端子の付いたパソコンと赤道儀を繋ぐ必要があります。
しかし、USBシリアルコンバーターには機器との相性があるようで、最初に購入した製品では通信エラーのために パソコンから赤道儀を認識することができませんでした。何度つなぎ直しても上手くいかず、パソコンからの自動導入を諦めて しばらくは手動で天体を導入していました。
その後、ネットで幾つか探した後に購入したのが、右上写真の ラトックシステム社のUSBシリアルコンバーター「REX-USB60F」です。 ネットのレビューで高評価だったのと、MacOSXにも対応しているということで、少し高価でしたが購入に踏み切りました。 このUSBコンバーターの使用結果は良好で、パソコン上のアプリケーション(TheSkyやステラナビゲーター)から赤道儀を認識してくれて、 自動導入できるようになりました。Windows7上でも問題なく接続できています。 でもRS-232C接続はもう古いので、望遠鏡メーカーの方でUSBやLANケーブルによる接続に変えて欲しいですね。
マルチカーチャージャー
DC12Vからノートパソコン用電源に昇圧する電源アダプターです。 車のシガレット電源から、ノートPC用電源を取り出すのに便利なので購入したものです。 最近はディープサイクルバッテリーに繋いで、撮影中のパソコンに電源を供給するのに重宝しています。 AC100Vを発生させるインバーターを使用するのと比べて、効率がよいので助かっています。
似たような製品で「クルマ DE チャージャー」というのがありますが、こちらの方が少し安かったのでこちらを 選びました。中身はほとんど同じだと思います。 Amazonのページを見てみると、80W級のマルチカーアダプターが、2000円前後で売られているようです。
ところでこの製品を使うためには、付属するプラグがパソコンのソケットに適合しなければなりません。 プラグの種類は8種類用意されていて、プラグの寸法は以下の通りとなっています。
外径(mm) | 内径(mm) | 備考 |
6.0 | 1.0 | ソニーVAIOシリーズ、富士通 |
6.3 | 3.0 | |
5.5 | 2.5 | 台湾メーカーなど |
5.5 | 2.1 | |
5.5 | 1.7 | Acer Aspire One 722 |
4.8 | 1.7 | |
4.0 | 1.7 | |
3.5 | 1.35 |
本機の入力電圧は、DC11〜14Vまで。出力電圧は、DC15/16/18/19/20/22/24Vを可変できるようになっています。 (15〜20Vまではmax4A、22Vと24Vは3Aまで)。 実際に使ってみると、設定した電圧よりも少し高く出力されるようです。 そのため、私のノートパソコン(Acer Aspire One 722)の定格電圧は19Vですが、18Vにして使用しています。 手ごろな価格の割に、なかなか便利な電圧変換器だと思います。
NJPバンドアダプター
NJP赤道儀のヘッド部分(鏡筒取り付け部分)は、真ん中が出っ張った構造をしています。そのため、自作のプレートなどを 取り付けるときには、この部分にドーナツプレートを挟み込んだりと工夫が必要です。 プレートに丸い穴を開けてもよいのですが、大きな穴って簡単には開けられません。
そこで協栄産業大阪店さんに図を持ち込んで、右のバンドアダプターを作ってもらいました。 このアダプターは、NJPのヘッドにパカッと被せてM10ネジで取り付けます。 固定用M10ネジは沈み込むので、アルミヘッド部分は真っ平らになる構造です。 私の使っているプレートには、タカハシEM200用の穴が開いているので、EM200互換のネジを切ってもらいました。
以前スターベースで同じ名前のアダプターが販売されていましたが、あちらはヘッド面積が狭いので、プレートがぐ らつきそうで少々不安でした。これはNJPのヘッド面積をそのまま生かせるので、見た目にも安定感が あります。ちなみにこのバンドアダプターのお値段は1万円でした。
Zippo製ハンディーウォーマー
このZIPPOハンディーウォーマーは、 昔懐かしい白金懐炉(ハクキンカイロ)のZippo版です。 ハクキンカイロとは、直接オイルを燃やすのではなく、気化したオイルがプラチナの触媒作用で 酸化発熱する化学カイロのことです。直接オイルを燃やすわけでないので、二酸化炭素も発生せず、 とてもクリーンなカイロです。
よく市販されている使い捨てカイロは、手軽さと安さが魅力ですが、寒い場所で使っていると 冷えて固まって発熱量が下がってしまいます。その点この白金カイロなら、発熱量も使い捨てカイロ の数倍はありそうです。また、一度オイルを入れれば24時間使えるのも魅力です。
使用にあたっては、使う前にオイルを入れる、プラチナをライターで数秒あぶる必要があるなど、少し手間が かかりますが、一度使うと手放せません。何度でも使えますし、それにちょっとオシャレな のが魅力です。私の一押し防寒グッズです。
赤色ヘッドライト
天体観測をするときには、手元を照らすライトが必要になります。その場合は手で持つハンドライトよりも、 頭に巻くヘッドライトの方が手が自由になって便利です。
ただ市販されているヘッドライトのほとんどは、白色の高輝度LEDが使われています。 白色のLEDで照らすと、せっかく暗順応(暗闇に慣れた)した眼が元に戻ってしまい、また星が見えるまで時間がかかって しまいます。こうしたことを防ぐため、天体観測の世界では、なるべく赤色の電球ライトを使うよう推奨しています。
市販のヘッドライトを赤色光に変えるには、赤色のフィルムを買ってきて、ライトに被せるのが一番簡単な手法ですが、 この方法だと、ヘッドライトの光量が、思った以上に暗くなってしまうことがあります。 そこで私は、ヘッドライトを分解して、白色LEDを赤色LEDに交換して使っています。
LED交換には半田付けの作業と、電子回路の簡単な知識が必要ですが、それさえわかれば、 どなたにでもできる簡単な交換作業です。 白色LEDと赤色LEDは電圧(順方向降下電圧)が異なるので、交換後は電池を一本減らせるのもメリットです。 赤色LEDに交換すると若干ですが省エネになります。
北極星指示盤
赤道儀を天の北極に正確に向けようと思うと、北極星がどちらの方向にどれだけずれているかを正確に 調べなければなりません。最近は日付と時間を合わせれば、導入位置を示してくれる極軸望遠鏡が増えましたが、 それでも中には時角計算が必要なモデルもあります。そうしたときに役立つのが 右の北極星指示盤です。
この指示盤はミザール製で、日付と時刻を合わせるとどの方向に北極星が来ているかが、周りの円盤上に 表示されます。コンパクトで便利なので、NJPやP2赤道儀を使うときにはいつも携行しています。 値段も300円程度と安い便利グッズです。
桐灰カイロ
夜間の天体観測ではレンズやミラーに付く夜露が大敵です。夜露はレンズを少し暖めると防ぐことができます。 そのため、低温下でも強い桐灰カイロが天体観測の夜露よけに長い間用いられてきました。
以前は薬局で手軽に購入できた桐灰カイロですが、最近はなかなか手に入りにくくなりました。 そこで購入して使っているのが、右のポケットハンドウォーマーと書かれた桐灰カイロです。 燃焼棒とカイロ本体が別売りされていますので、最初は二つとも買っておきましょう。 カイロ本体は何度でも使えますので、燃焼棒さえ買い足せばOKです。
なお、燃焼棒は一箱に12本入って500円程度でした。1本で7〜8時間保温効果が続きますので、 一晩で一本と考えればよいでしょう。燃焼棒に点火するのに少しコツがいりますが、電源が得づらい海外遠征時 などには便利な桐灰カイロです。
ディープサイクルバッテリー
ディープサイクルバッテリーは、元々釣りボート用の電源として開発されたバッテリーですが、 現在では、電動カートや電動車椅子、その他電気装置などにも使用されています。
ディープサイクルとは、充電器で充電してから放電して、バッテリーが空になるまで使用することを指し、 こうした用途に適したバッテリーが、ディープサイクルバッテリーというわけです。
昔、天文ショップの誠報社が取り扱っていた影響もあると思いますが、 天体撮影用の電源としては、デルコ製のボイジャーバッテリーがよく使用されています。
デルコのMFシリーズは、釣りボート用のバッテリーで、バッテリー容量は80Ah〜125Ahのものがラインナップされています。 私は105AhのボイジャーバッテリーM27MFをずっと使用していましたが、 2015年に少し軽くて小型のM24MFに買い替えました。
天体撮影をはじめてから、この写真のバッテリーで通算5台目となり、 約3〜5年ごとに買い換えていることになります。 ちなみにM27MFバッテリーは重さが25キロもあります。 大容量とハードな使用に耐えるのが魅力のディープサイクルバッテリーですが、 この腰を悪くしそうな重さがネックです。
冷却CCDカメラやデジカメで撮影の際には、 このボイジャーバッテリーと普通のホームセンターなどで売られているカーバッテリーを持参しています。 冬場は外気温が低い上に夜が長くなるため、 1台のボイジャーバッテリーからデジカメに加えて電子機器、赤道儀やパソコンにも電気を供給すると、 撮影の途中で電圧低下が発生し、機器が動かなくなってしまいます。 それを避けるため、冬場はボイジャーバッテリー2台を分けて使用しています。
ボイジャー製のディープサイクルバッテリーの充電用として、ボイジャー専用充電器が用意されています。 一般のバッテリーチャージャーでも充電可能ですが、満充電にならないようです。 この充電器が1万数千円程度と高いので、購入には少し躊躇してしまうかもしれません。 バッテリーの耐用年数と価格と重量、それにバッテリー廃棄の際の環境問題を考慮に入れると、 インバーター型発電機の方が軽く、長い目で見るとコストパフォーマンスの点でも優れているかもしれません。
また、ボイジャーの他にも少し容量が少なくなりますが、 シーキングのディープサイクルバッテリーも一部で人気があります。 こちらは重さが18キロほどと軽く、持ちやすくなっています。 最近体力も衰えてきたので、次回はこのシーキングのバッテリーを試してみようと考えています。
DC-DCコンバーター
機器によって必要な電圧が異なるので、ディープサイクルバッテリーから一度DC-DCコンバーターを介して電源供給 を行っています。DC-DCコンバーターには、スイッチングレギュレーターと呼ばれる スイッチング式のDCコンバーターチップを2台使った、秋月電子通商のキットを使っています。
※現在このキットは販売が終了し、新しいタイプのものが発売されているようです。 秋月電子通商のWebサイトで、可変スイッチング定電圧キットの名前で探してみると見つかると思います。
オートガイドリレーボックス
オートガイダーと赤道儀を接続するために自作したリレーボックスです。SBIG純正リレーボックスは、リレー回路に電磁リレーを 使っているようですが、私はフォトカプラーを使用して作成しました。ガイド信号をよりクィックに赤道儀に伝えたかったためです。 赤道儀への信号がどの方向に送られているのか分かるように、LED照明も取り付けました。
元々はビクセン赤道儀にSBIG製オートガイダーを取り付けるために作成したリレーボックスです。 現在の赤道儀には、基本的にリレーボックスは必要ありませんので今では使用しなくなりました。 オートガイドの修正信号は、6極6芯モジュラージャックの直結ケーブルで繋いでいます。 ※この機器の製作にはK.O氏の多大なるご協力がありました。ありがとうございます。
インバーター発電機
冬の寒い時期になると、バッテリーは電圧降下が激しくなります。105Ahの大容量を持つディープサイクルバッテリーも 例にもれず、夏場だと一晩使用できたものが5時間ほどで電圧低下に陥ってしまいます。 また、寒い冬の方が夜が長く、撮影時間が長くなるのもバッテリーには辛いところです。 デジタル機材の消費電力も増えている昨今、冬場はインバーター型発電機を使用する機会が増えました。
ホンダ製とヤマハ製のポータブルなインバーター型発電機が写真撮影やキャンプによく使われています。 その理由としては、低騒音でコンパクトであることが大きな理由だと思われます。 どちらもインバーター整流回路を内蔵しているので、自宅のコンセントと同質の正弦波交流電流を 供給してくれます。これなら、パソコンや精密機械を駆動させるときにも安心です。
私が使用しているのは、ヤマハのEF900iSというモデルです。 同じく写真撮影によく使われているホンダのEU9iと比べると、連続運転時間が長いのが大きなメリットです。 冬の長い夜でも途中給油の必要がなく、大変助かっています。 ただ騒音については、ホンダEU9iの方が若干音が小さい気がしています。 スペック値ではヤマハEF900iSの方が騒音デシベル値が低いのですが、音質の違いによるものかもしれません。
約900Wという大容量の交流電源を発生できるのがメリットの発電機ですが、 やはり騒音という点では悩ましいものがあります。 使用にあたっては、周りの方々や状況に注意し、電力もできるだけ何人かでシェアするように努めています。 春にはバッテリーに切り替え、オイル交換などの発電機のメンテナンスも怠らないようにしています。
無停電電源装置 UPS
高性能のインバーター発電機といえども、メンテナンスを怠ると撮影中に急に止まってしまうことがあります。 バッテリーが内蔵されているノートパソコンやデジタル一眼レフカメラの場合は、 電源供給が止まったとしてもしばらくの間は撮影を継続できますが、 冷却CCDカメラの場合には全機能が急停止してしまいます。 こうした突然の電源エラーは、カメラにも負担がかかると思われるので、 カメラの電源直前には無停電電源装置UPSを入れています。
このUPSは、APC製の家庭用の安価なモデルです。これでも数分間は冷却CCDカメラを駆動できるので、シャットダウンに 要する時間を十分得ることができます。もちろんUPSが動かないのがベストですが、機器を守るために使っています。 この無停電電源装置は、護摩壇山天文同好会のT氏のアドバイスによるものです。
AC-DCコンバーター
赤道儀の駆動電圧は直流12V前後なので、交流100Vから直流電圧に変換しなければなりません。 そこで、アマチュア無線の電源用としてよく使われているアルインコ製AC-DCコンバーターを使用しています。
私の使っているモデルは、アルインコのDM-310MVというモデルで、AC100Vの入力電圧からDC1〜15Vを出力できます。 最大出力は10Aと余裕があり、出力端子もシガーライターソケットに、ネジ式ターミナル、プッシュ式ターミナルと多岐な 方法が選べるのでこのインバーターを選びました。アマチュア無線用としてよく使われているので、ノイズ面での信頼性も 高いのではないかと思っています。 このコンバーターを買うまでは、自宅での撮影でもバッテリーを使用していましたが、これの導入により家庭用電源を 使えるようになって便利になりました。