かに座 Cancer
かに座は、ふたご座のとしし座の間にある小さな星座です。 かに座を形作っている星は、4等星が4つに加えてそれよりも暗い星ですから、それほど目立ちません。 しかし、黄道上に位置しているため、黄道第4星座として古くから重視されてきました。
かに座の歴史は古く、およそ五千年前のバビロニア王国時代の書物にも蟹の姿で登場しています。 プトレマイオスの星座の一つにももちろん数えられています。
ところで、かに座の英語名はCancerで、いわゆる病気の癌の学名と同じ名前です。 これは乳がんの形がかにの甲羅に似ていることから、そういわれているそうです。ドイツ語でも「Krebs」とかに座は表され、 こちらもドイツ語名の癌と同じだそうです。
ギリシア神話の中でのかに座
ギリシア神話の中では、この蟹は勇士ヘラクレスが巨大な怪獣ヒドラを退治しているとき、ヘラクレスを嫌う女神ヘーラが 送った大きな化け蟹と伝えられています。残念ながら蟹がヘラクレスの脚を挟もうとすると、怪力ヘラクレスにあっさりと 踏みつぶされてしまいます。この姿を哀れんだ女神が、天に上げて星座にしたと言うことです。
かに座の主な星
アクベンス
かに座のα星がアクベンスです。4等星の星で都会ではみることができません。 アクベンスとは「爪」という意味のようです。
プレセペ星団 M44
かに座を有名にしているもう一つの理由は、このプレセペ星団の存在です。 かに座の甲羅の中央に位置している、まばらに星が集まった散開星団です。
プレセペ星団を肉眼で見ると、ぼぉっとした雲のように見えることから、古代では何かの雲と考えられていたようです。 中国では、死人から出る光とも考えられていて、どちらかというと不気味な雰囲気で捉えられていました。 霊魂の通り道とも言われてきたようです。
確かに星空の綺麗なところで、かに座の甲羅部分を見上げると、ぼんやりとした光芒に気がつきます。 古代の人がいろいろな説を唱えていたのも納得できるプレセペ星団です。
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