こぐま座 Ursa Minor
こぐま座は、現在北極星のポラリスがあることでよく知られている北天で輝く星座です。 こぐま座の星座の形は、おおぐま座の北斗七星とよく似ており、7つの星が並んで出来ています。 北極星のポラリスとβ星のコカブ以外は暗い星ばかりなので、都会の空ではこぐま座の全体像を知ることは難しく、 北天にポラリスとコカブだけがぽつんと寂しく輝いています。
こぐま座は、プトレマイオスの48星座の中にも登場している星座です。 星座の書籍によれば、紀元前600年頃からギリシアの星座の中に登場していたようです。 ギリシア神話の中では、おおぐま座とのペアで語られることが多い星座です。
こぐま座は天の北極に近いので、一年中観測することができます。 それでも見やすい時期はあって、β星が21時頃南中する晩春から初夏の頃が一番全体像を見やすいでしょう。
ギリシア神話でのこぐま座
こぐま座は、おおぐま座になったカリストの子供、アルカスの姿としてギリシア神話では登場します。
女神の次女として仕えていたカリストは快活な女性で、その姿を見た大神ゼウスはなんとか手に入れようと模索します。 ある時、女神アルテミスに化けたゼウスは、あっという間にカリストを自分のものとし、そしてその子供アルカスを生ませます。 それを知ったゼウスの妻ヘラは怒り狂い、カリストを熊へと変えてしまいます。
ゼウスの妻ヘラの怒りを買って大熊に変えられたカリストは、自分とゼウスの子供アルカスに森の中で出会います。 狩りの名手となっていたアルカスは、それが自分の実の母とは知らず、その熊めがけて槍を射ようとします。 それを見ていた大神ゼウスは、アルカスもまた熊へと変え、二人を天上に上げて星座とします。
天上に2匹の熊として上げられても、ヘラの怒りは収まらず、どちらの星座も天の北極を回る星座とされました。 おおぐま座とこぐま座は、地平線に沈むことを許されず、いつまでも回り続けているのはこのためということです。
こぐま座の主な星
こぐま座のポラリスほど有名な星はないでしょう。 誰でも知っていると言っても過言ではない星です。
ポラリス(Polaris) 北極星
こぐま座α星の固有名はポラリスです。 北極星は、その時に北極を示す星が選ばれるので、ポラリスと北極星という呼び方の意味は厳密的には違います。 しかし、私たちが生きている間は、ポラリスが北極星ですので、ポラリスを北極星と呼んでも差し支えないでしょう。
ポラリスは2等星の黄色く輝く星です。 ポラリスは見た目にはそれほど明るい星ではないのですが、実際には太陽の数千倍明るく輝く星です。 またポラリスは三重連星として知られており、主星のポラリスAの側には、ポラリスBとポラリスAbという小さな星を従えています。
コカブ(Kochab)
コカブはこぐま座のβ星で、2等星の明るさで輝いています。 紀元前1500年頃には、この星が天の北極近くにいて、その頃はコカブが北極星と呼ばれていたと言われています。
双眼鏡や天体望遠鏡で見るこぐま座
ポラリス
天体望遠鏡を使って、北極星であるポラリスを観望してみましょう。 黄色い色が美しい星で、望遠鏡を使えばポラリスBという連星の一つも見えてくるはずです。
NGC3172
明るさ14等の暗い渦巻銀河です。 天の北極に一番近いNGC天体として知られていて、天体望遠鏡を使って撮影するとぼんやりとその姿を映し出すことが出来ます。
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