うしかい座 Bootes
うしかい座は、晩春の頃から初夏の頃に見頃を迎える星座で、 一等星アルクトゥルスのオレンジ色の鋭い輝きが目立ちます。
うしかい座の歴史は古く、古い星座絵には、隣のおおぐま座の熊を追う姿が描かれています。 プトレマイオスの48星座の中にも選ばれており、広く知られた星座の一つです。
ギリシア神話の中でのうしかい座
ギリシア神話の中で、このうしかい座になった牛飼いの男が語られることはなく、 この牛飼いが誰なのか、と言うことがしばしば議論に上げられます。 大熊(おおぐま座)を追い払うための牛飼いだという説もありますが、 結局、誰の姿が描かれているのかははっきりしません。
一説によれば、このうしかい座のモデルは、天を担ぐアトラスの姿だということです。 アトラスはタイタン族の一人で、ゼウスに戦いで敗れて以来、天を担ぐことになります。 タイタン族のアトラスといえど、天を担ぐ仕事は大変だったようで、 メデューサ退治に出かけるペルセウスに、メデューサの首を見せて自分を石にして欲しいと頼みます。
見事メデューサを倒したペルセウスは、その帰り道にアトラスに首を見せて彼を石へと変えます。 こうして石に変わったアトラスは、天を担ぐ苦痛から解放されました。 その姿を見た大神ゼウスが、天に上げて星座にしたと言うことです。
いずれにせよ、星座自体は、明るいアルクトゥルスを中心にしっかりした形をしていて、 わかりやすい星座です。 春の星空には明るい星が少ないため、この星の輝きは一段と目立つでしょう。
うしかい座の主な星
アルクトゥルス
アルクトゥルスはマイナス0.04等星の非常に明るい星で、全天で3番目に明るい星です。 日本からよく見える星の中では、シリウスに次いで明るい大変目立つ星です。
このアルクトゥルスという星の呼び名は、ギリシャ語のアルクトウルス(Arktouros)に 由来しています。アルクトウルスは「熊を追うもの」の意味ですから、星座絵ずばりの意味ですね。
天文ファンの間では、アルクトゥルスの呼び名についてしばしば議論になります。 人によっては「アークトゥルス」や、「アルクトゥールス」と呼んだりと、呼び方にばらつきがあります。 外国語を日本語のカタカナに直すのですから当然起こりうることですが、 ある程度は統一して欲しいところです。
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