へび座 Serpens

へび座の写真 へび座は、夏の南天で輝く星座です。 へび座は、頭部と尾部の二つに分かれた珍しい星座です。

もともとは、へび座とへびつかい座は一つの星座でしたが、プトレマイオスが分けてしまいました。 へび座は二つに分かれているため、頭部と尾部で南中時刻が2回あることになります。

へび座を構成する星は暗いため、夜空の明るい都会では、蛇の姿を想像することは難しいでしょう。 夜空の暗い場所に出かければ、大きな将棋の駒のような形をしたへびつかい座と共に、 蛇が東西に伸びる様子を見つけることができます。

ところで、現在では蛇というと、恐ろしいイメージがありますが、古代ギリシア時代の頃は、 へびは医療のシンボルとして見られていました。 へびつかい座として描かれているのは、医者のアスクレピオスですから、 ここに蛇が描かれたのも当然だったのでしょう。


ギリシア神話でのへび座

へび座とへびつかい座は元々一つの星座だったため、へび座だけのギリシア神話はありません。 へびつかい座となった、医師アスクレピオスの象徴として、一緒に描かれたのがこの蛇と考えるのが適当でしょう。

へびつかい座のモデル、アスクレピオスは、太陽の神アポロンの息子で、賢者ケイロンの下で医学を学んだ医師です。 彼は研究や技を磨き、ついに死人まで生き返らせるようになりました。

これに困ったのが冥界の王プルトーです。 プルトーはゼウスに頼んだところ、ゼウスはアスクレピオスを殺して、夜空に上げて星座にしたということです。


へび座の主な星

ウヌクアルハイ

ウヌクアルハイは、へび座のα星で2.6等級の星です。 へび座の頭部にありますが、それほど明るい星でないため、夜空の明るい都会では確認することは難しいでしょう。


双眼鏡や天体望遠鏡で見るへび座

M5

M5は、へび座の頭部で輝く球状星団です。 M5は全天の中でも見ごたえがする大きな球状星団で、 北天一美しいといわれるヘラクレス座のM13にも勝るとも劣らない天体です。

6等級のため肉眼では見るのは難しいですが、双眼鏡を使用するとボンヤリとした小さな丸いボールのように見えます。 天体望遠鏡を使うと、周囲の星々が分離されてきますが、星の集中率が高いため、 中心部まで星に分解しようと思うと、口径の大きな天体望遠鏡が必要になります。

M13に比べて南天低いため、見逃しやすい球状星団ですが、夏になったら忘れずに観望したい天体です。

M16

M16は「イーグル星雲」や「わし星雲」と呼ばれている天体です。 散開星団と散光星雲が重なり合った天体です。 ちなみに、M16という番号は散開星団に付けられていますが、 M16と言えば両方を指すと考えるのが一般的です。

M16を双眼鏡で観察すると、散開星団の星々がボンヤリとした雲の中で輝いているように見えます。 口径が大きな望遠鏡で観察すると、散開星団が分離され、うっすらとしたガスのようなものが確認できます。 写真に撮ると、赤い星雲の広がりが写し出され、愛称どおりに鷲が翼を広げたように写ります。

わし星雲は、星が活発に生成されている場所として注目されています。 ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた写真では、生まれつつある星が写し出され、話題を呼びました。 星誕生の現場ということを考えながら観望すると、より興味が深まるのではないでしょうか。

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