オリオン座 Orion
オリオン座ほど有名な星座はないでしょう。オリオン座は一等星が2つ、2等星が5つと明るい星をたくさん 持っている星座です。オリオン座は冬の星座の王者ですが、四季を通じてこれほど均整が取れ、雄大で 美しい星の配列の星座はないのではないでしょうか。
これほど美しく目立つ星座ですから、オリオン座は日本はもとより世界各地で親しまれています。 写真の題材としてもよく使われていて、南半球では逆さオリオン座という名前で天体写真ファンに親しまれています。
オリオン座はプトレマイオスの48星座の一つに上げられていて、古代からも巨人の姿として星座絵が描かれていたようです。 ギリシア詩人ホメロスも、背が高くて美しい狩人として吟遊詩の中で登場させています。 冬の夜、雄大に輝くオリオン座の姿が大きく自信に満ちた狩人を連想させたのでしょう。
ギリシア神話の中でのオリオン座
オリオン座は古代から親しまれてきた星座ですから、いろいろな神話が残っています。 その中でも大サソリに刺されて死に、天に昇ったという話は一番有名でしょう。 その話は以下のようなものでした。
オリオンは美しい狩人で、ギリシアのボイオティアというところに住んでいました。 オリオンはキオス島のオイノピオン王の娘メロペが好きになってしまいます。そこで求婚しますが、 娘をかわいがっていた王はオリオンを拒否させようと「この島の獣を退治すればメロペをお前にやる」 と言ってしまいます。
狩りが得意なオリオンは、いとも簡単にその仕事をやり遂げてしまいます。そこで約束を守るように王に迫るのですが、 王はオリオンを酒に酔わして眠らせた上、目をつぶしてしまいます。
盲目になったオリオンですが、神に祈ると「東の海岸に行って日の光を浴びなさい」という神託を得ます。 そこで、レムノス島まで出かけ、無事に光を取り戻します。この後、王の下へ復讐に出かけるのですが、 それは成し遂げられませんでした。
この後、オリオンは月の女神アルテミスと駆動を共にするようになります。日が経つにつれ、オリオンはこの 女神のことを好きになってしまうのです。 困り果てたアルテミスは、大地の神ガイアに頼みます。そうするとガイアは、恐ろしい毒を持ったサソリをオリオンに 差し向け、見事刺し殺してしまいます。
この様子を天界から見ていた大神ゼウスは、美しいオリオンを惜しんで天に上げます。これがオリオン座となって輝いています。
オリオン座の主な星
ベテルギウス
オリオン座の左上の星で、明るい赤色巨星です。名前の由来は「巨人の脇の下」というところから つけられました。変光星なので、明るさは0.3等星〜1.2等星へと変化しています。
リゲル
オリオン座を形作る右下の星で、明るさ約0.1等星の青白い星です。リゲルは「巨人の左足」という意味で、オリオンの 左足の部分で輝いています。オリオン座の中で最も明るく輝く星です。
オリオン大星雲
オリオン座三ツ星の下で輝く巨大な散光星雲です。 全天で最も明るい星雲の一つに数えられ、大変有名な星雲です。非常に明るいので、都会でも肉眼で観測することができます。 双眼鏡や望遠鏡で見ると、鳥が羽を広げたように見えてきて美しい星雲です。 星雲で肉眼でこれだけ観測できる天体は、非常に希なことです。 メシエ番号は42なので、M42の名前でも良く知られた星雲です。
馬頭星雲
三ツ星の一番左側の星のすぐ下で輝いている星雲です。 馬頭星雲は暗黒星雲なので本来は見ることができませんが、背景に明るい星雲があったので浮き上がって見えています。 宇宙の壮大な影絵とも言われる星雲で、写真に撮ると馬の形がよくわかります。
M78星雲
M78星雲は、オリオン座の三つ星のすぐ左上に存在 している散光星雲です。 M78星雲といえば、日本ではウルトラマンの故郷して有名です。 天文ファンなら、2004年の初めに新星雲が発見されたことで一気に注目された星雲として覚えているかもしれません。 天体望遠鏡や双眼鏡を使用すると、ボンヤリとした雲のように見えます。
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