おとめ座 Virgo
おとめ座は、春から初夏にかけて南の空で輝く星座です。 おとめ座のα星は、真っ白く輝く一等星のスピカです。 スピカの持つ清純な輝きと相まって、美しい乙女の姿を連想させてくれる星座です。
おとめ座を形作る星々は、スピカの他は3等星が3つ、あとはそれ以下の暗い星ばかりです。 おとめ座は全天で2番目に大きな星座ですが、暗い星が多いため、 星を繋いで南の空に大きく広がる乙女の全景を連想するのは、容易なことではありません。 特に都会の明るい夜空では、スピカ以外は見えないかもしれません。
暗い星が多くて見づらいおとめ座ですが、黄道第六星座として、古くから重要な位置を担っています。 また、おとめ座銀河団をはじめとする、数多くの系外銀河が見渡せる星座としても注目されています。
ギリシア神話の中でのおとめ座
プトレマイオスの48星座にも登場しているおとめ座ですが、 星座のモデルとなった女神の正体については、農業の女神デメテルやペルセポネ、 正義の女神アストレアと、いろいろな説があります。 ここではアストレアの神話をご紹介します。
ギリシア神話の中で、おとめ座は、女神アストレアの姿として登場しています。 大神ゼウスと女神テミスの子アストレアは、正義の女神と言われています。
ギリシア神話で登場する金の時代には、人々は働かなくても自由に果物を取ったりして、 何の不自由もなく暮らすことができました。 しかし、時代が流れて銀の時代になると、四季の変化が生じ、 人間達は汗を流して自ら食物を作らなければならなくなりました。 それにつれ、人間界は戦争が絶えず起こり、地上は醜い争いの場となってしまいます。 神々は一人、また一人と天上界に去り、人間を見捨ててしまいます。
そんな中、女神アストレアは、人間の可能性を信じて地上に残ります。 人間達に根気強く正義を教えることで、世界を平和に戻そうと努力します。 しかし、人間達の争いはとどまるところを知らず、ますますひどくなります。 さすがの女神アストレアもその様に呆れ、人間界を見限って天上界に返ってしまいます。 その時の彼女の姿が、このおとめ座になったということです。
おとめ座の主な星
スピカ Spica
スピカという名前はラテン語で穀物の穂を意味し、 おとめ座の星座絵の中でも、女神が片手に持った麦の穂先として描かれています。 日本では真珠星の呼び名があり、真っ白で純白のスピカを想像するにふさわしい名前です。
双眼鏡や天体望遠鏡で見るおとめ座
おとめ座銀河団
おとめ座は、天の川銀河の方向から離れているので、遠い宇宙を見渡すことができる貴重な星座でもあります。 おとめ座の中には、非常に多くの系外銀河が輝いていて、おとめ座銀河団という局部銀河団を形成しています。 特にマルカリアンの銀河鎖という領域には、形がことなった銀河が集まっており、興味深い情景を作りだしています。
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ソンブレロ銀河 M104
M104銀河は、地球から遙か4,600万光年の彼方で輝いている直径14万光年もある大きな銀河です。 私たちの地球から見ると、ちょうど銀河面を横から眺める格好になるので、銀河を横に走る暗黒帯がよくわかります。 口径20センチ程度の大きな望遠鏡で見ると、この暗黒帯もボンヤリと見えてきて、 愛称になっているソンブレロの形がよくわかります。
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