しし座 Leo
しし座は、百獣の王ライオンを形取った星座で、春に見頃を迎えます。 春の星座の中でも、いち早く上ってくるので、東空から昇ってくるしし座を見ると、 冬の終わりが近いことを感じます。
しし座は、春の星座の中でも形が整った美しい星座
しし座の中で目を引くのは、α星のレグルスでしょう。 レグルスの明るさは、1.4等級ですので、それほど明るい一等星ではありませんが、 明るい星の少ない、春の星空では良く目立ちます。 レグルスとその北の星々を結んで出来る「ししの大がま」と呼ばれる星の並びにも注目してみましょう。
レグルスの次に目立つのが、ライオンの尻尾で輝くデネボラです。 デネボラは、2.1等星ですが、春の大三角を形作る星にも選ばれています。 このレグルスとデネボラの周囲で輝く星を繋いでいけば、しし座の形がわかってくると思います。
しし座は、プトレマイオスの48星座に登場しています。 また、黄道十二星座の5番目の星座として、星占いの世界でもよく知られている星座です。 紀元前の頃からこの星の並びはライオンと見られていたようで、 古代エジプトやギリシアの資料にもその姿が描かれています。
ギリシア神話でのしし座
しし座になったライオンは、ギリシア神話の中では、ネメアの森に住む人食いライオンとして登場しています。 このライオンは固い鱗に覆われているため、矢も通さず、村民から恐れられていました。
そんな時、ミュケナイ王エレクトリュオンから、 12の難業を命じられたヘラクレスが、ネメアの森にライオン退治に現れます。
ヘラクレスは棍棒でライオンを殺そうと企みますが、ライオンは、ヘラクレスの棍棒では死にません。 そこで、ヘラクレスはライオンに馬乗りになって、その怪力で首を絞めて殺してしまいます。
この後、ヘラクレスはライオンの皮を剥いで、王が居る宮殿に持ち帰ります。 この様子を天から見ていた大神ゼウスは、ヘラクレスの偉業をたたえて、 ライオンを天に上げてしし座にしたということです。
しし座の主な星
レグルス
レグルスは白く輝くしし座のα星で、古代バビロニアの頃から「王の星」と呼ばれてきました。 明るさは1.4等級なので、一等星の中では明るい方ではありませんが、都会の夜空でも容易に確認できます。
このレグルスのすぐ北側には、UGC5470(LEO1)という番号が付けられた系外銀河が輝いています。 このLEO1は天体望遠鏡を使えば確認できるほどの明るさなのですが、 レグルスの強烈な光がすぐ近くにあるため、実際に見るのは難しい天体です。
「?」マークの逆の形をした、ししの大がまが目印
デネボラ
デネボラはしし座のβ星で、尻尾の部分で輝いています。 明るさ2等級の白い恒星で、おとめ座のスピカとうしかい座のアルクトゥルスと合わせて、 春の大三角を形作っています。
ししの大がま
しし座の頭部を良く見ると、5〜6個の星が疑問符の「?」を裏返しにしたような形に並んでいることに気づきます。 この形が、ヨーロッパで草刈に使用する鎌によく似ているということで、昔から「ししの大がま」と呼ばれています。
双眼鏡や天体望遠鏡で見るしし座
しし座のトリオ銀河
しし座の後ろ足の付け根には、しし座銀河群が輝いています。 形の異なった三つの系外銀河が寄り添っている様子は興味深く、春の天体観望で人気がある対象の一つです。
しし座の三銀河。それぞれ形が異なっていて面白い銀河群
それぞれの銀河には、M65銀河、M66銀河、NGC3628銀河という番号が付けられています。 双眼鏡でも確認できますが、天体望遠鏡を使った方が、よりわかりやすいでしょう。 なお、NGC3628は他の二つの銀河に比べると暗いため、夜空の透明度が悪いととたんに見えづらくなってしまいます。
しし座のM95、M96、M105銀河
しし座のお腹の辺りに輝いているのが、M95とM96、それにM105銀河です。 M105銀河は少し離れていますが、M95とM96は近くで輝いているため、天体望遠鏡の同一視野内で観望できます。 どちらも似た形をしていますが、大口径望遠鏡で観察すると、中心部の明るさや形が若干異なっているのがわかります。
しし座流星群
しし座と言えば、2001年に大出現した、しし座流星群が思い出されます。 この時、2001年11月18日から11月19日未明にかけては、一時間に3000個程度の流れ星が夜空を流れ、 天文ファンや星空ファンが熱狂しました。
しし座流星群は、33年ごとに大出現を見せると言われており、 1833年には、アメリカで人々が泣き叫んだほどの大出現があったと記録されています。
今後も大出現が期待されていますが、母彗星テンペル・タット彗星との軌道がずれてきており、 今までのような大出現は難しいとの説もあります。
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