さそり座 Scorpio

さそり座の写真 さそり座は夏の代表的な星座で、黄道十二星座の一つでもあります。 さそり座のα星アンタレスは一等星なので、都会の夜空でもよく目立ち、夏の頃になると南天の低いところで輝きます。 アンタレスから星をたどっていくと、星座の形が見事なS字カーブを描いているのがわかります。

さそり座の星の並びは古代の頃から知られていました。 星座誕生の地メソポタミア地方では、5000年以上も前にこの星の並びから蠍を想像していたようです。 また、南半球ではこの星の並びを釣り針に見立てていたところもあります。 いずれにせよ、さそり座のSカーブは世界中の人々から注目されていたと言えます。 もちろんプトレマイオスの48星座にも登場しています。

上記の通りさそり座は黄道十二星座の一つなので、星占いで使われる黄道十二宮にも天蝎宮として登場しています。 星占いの世界では、10月24日生まれから11月21日生まれの人がこの星座になります。


ギリシア神話でのさそり座

ギリシア神話でのさそり座は、オリオンを刺し殺す大サソリとして登場します。 勇者オリオンから求愛された女神アルテミスは、オリオンの目に余る行動に困ってしまいます。 そこで女神ガイアに相談して、大サソリを刺客としてオリオンへ送ります。

目の前に現れた大サソリに驚くオリオンは、脚で蠍を踏みつぶそうとします。 ところが大サソリは素早く動いて攻撃をかわし、その尻尾の毒針でオリオンを刺してしまいます。 さすがのオリオンも大サソリの猛毒にはかなわず、もがき苦しんだあげくに息絶えてしまいます。

この功績がたたえられ、女神ガイアによって大サソリは天に上げられ、さそり座として輝くようになりました。 さそりに刺されたオリオンも天に上げられましたが、オリオンは星座になっても大サソリが恐いので、 さそり座が昇ってくると西空から沈んでいきます。

他の物語では、勇者オリオンが「全世界に自分ほど強いものはいない」と豪語し神々をけなしたので、 女神ヘラが怒ってこの大サソリを送り、オリオンを刺し殺させたという話です。


さそり座の主な星

アンタレス

アンタレスはさそり座の赤い一等星で、「火星に対抗するもの」という意味があります。 さそり座は黄道十二星座なので、しばしば火星がこのアンタレスの近くで輝きます。 この時にアンタレスを見た古代人が、火星と並んでいる様子を見て名付けたのでしょう。

アンタレスは赤色巨星で、直径は太陽の約260倍もあります。 しかし表面温度は3000度前後と太陽の半分ほどで、このことからもアンタレスは星の一生をもうすぐ終える年老いた星であることがわかります。

アンタレスは二重星で、主星のアンタレスAのすぐ側で約5.5等のアンタレスBが輝いています。 この二重星の分離には口径の大きな天体望遠鏡と、落ち着いた気流の日が必要になります。

日本では、アンタレスは酒酔い星とも呼ばれていました。きっとその星の色からつけられたのでしょう。 また中国では、アンタレスの左右の星と合わせて「心宿三星」と呼んでいたようです。 星座と共に、さそり座を構成する星々も昔から注目されていたのがわかります。


双眼鏡や天体望遠鏡で見るさそり座

M4

M4はアンタレスのすぐ右隣にある球状星団で、6.4等星と明るいので目の良い人なら肉眼でも確認することが出来ます。 M4は見応えのある球状星団で、天体望遠鏡を使うと星々がばらけてきて大変見事な眺めです。

また、このM4とアンタレス付近には淡いがカラフルな星雲が広がっているので、天体写真の被写体として人気があります。

M6とM7

M6とM7は、さそりざの尻尾付近で輝く散開星団です。 明るいので肉眼でもぼんやりと見ることが出来ますが、南天に低いために南の視界がよいところで捜す必要があります。

双眼鏡を使うとM6とM7の両方を同じ視野に捉えることが出来、星団の形を見比べることが出来ます。 天の川の濃いところなので、天体写真に撮っても美しい星域です。

M80

M80はアンタレスの右上で輝く球状星団です。 星が集まった見事な星団ですが、近くにM4という立派な球状星団があるために忘れがちな星団です。 星の密集度が高いので、双眼鏡では恒星と見分けがつかないかもしれません。 望遠鏡で覗くと星がばらけてきて、球状星団であることがよくわかります。

ギャラリーのさそり座の写真