おおぐま座 Ursa Major
おおぐま座は北極星の周りを回る大きな星座で、 広く知られている北斗七星を含むことで有名な星座です。 北天を回るので長い間見ることができる星座ですが、20時に星座が南中するのは4月から5月頃となり、 春を代表する星座の一つに数えられています。
おおぐま座は、大変目立つ北斗七星があるので、古くから多くの民族に注目されてきました。 北斗七星は北極星を指し示す重要な指標として用いられ、 また、季節を計る大きな時計としても利用されていました。
現在のおおぐま座の形になったのは、古代ギリシア時代のことです。 ホメロスやヘシオドスの吟遊詩にも、大熊の名前で記載されています。 しかし一方では、この星座を大きな車と見る向きもありました。 中国でも「帝車」と呼ばれ、どちらかというと古代では車と例える方が多かったようです。
ギリシア神話の中でのおおぐま座
ギリシア神話の中では、女神アルテミスのニンフ、カリストとして登場しています。 カリストは活発な娘で、野山で狩りをするのが好きな女性でした。
カリストの姿を天上から見つけた大神ゼウスは、いつもながらの欲望を燃やし、 自らアルテミスの姿に化けてカリストに近づきます。 そしてカリストを自分のものにし、美しい男の子をカリストは授かります。 しかし、ゼウスの妻ヘラは、ゼウスの子を産んだカリストを憎み、カリストを大熊に変えてしまいます。
それから十数年が流れ、カリストの子アルカスは、狩りの名手になります。 ある日、アルカスは森に行き大きな熊と出会います。 アルカスはその大熊が自分の母だとは知らず、これは大きな獲物と思って槍を打ち込みます。 その槍が打ち込まれるかどうかの瞬間、大神ゼウスはアルカスもまた熊に変え、天上に上げて星座にしました。 こうしてできたのが、おおぐま座とこぐま座ということです。
ところで、嫉妬深い女神ヘラは、恋敵が星座として天上にあるのさえ癪に障りました。 そこでヘラは、大洋神オケアノスに頼んで、この二つの星座が地平線に沈んで休むことがないようにしました。 そのため、おおぐま座とこぐま座は、地平線から下へは沈まず、絶えず夜空に輝くことになりました。
おおぐま座の主な星
ドゥべー
おおぐま座のα星で2等星。大熊の背という意味の星です。
ミザール
おおぐま座のζ星で、北斗七星の柄の部分から2番目に見える星です。 ミザールには、アルコルという星がくっついていて、肉眼で分離することができる二重星として有名です。 古代ではこの星を視力検査として使っていたと言われています。 天体望遠鏡で見ると、この他にも伴星が見えてきて、ミザールは多重星であることがわかります。
ミラク
おおぐま座のβ星で2等星。大熊の腰という意味の星で「メラク」とも呼ばれます。
双眼鏡や天体望遠鏡で見るおおぐま座
M81とM82
M81とM82は、系外銀河がたくさん存在するおおぐま座の中でも、最も有名な系外銀河のコンビです。 形が異なった銀河が同じ視野内に見える様子は興味深く、見ごたえがあります。 双眼鏡でもその姿を確認することが出来ます。
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M97
フクロウ星雲の愛称がある惑星状星雲です。 ミラクの近くで輝いているので位置はわかりやすいですが、淡いので、 口径の大きな天体望遠鏡でなければ見るのは難しい天体です。。 写真に撮ると、丸い星雲の中に二つの暗黒帯があって、ふくろうの顔のように見えてきます。
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M101
M101銀河は、おおぐま座の柄の部分で輝く系外銀河です。 大きな渦巻き銀河ですが淡いので、ぼんやりしていてわかりづらい天体です。 双眼鏡でもその位置は確認できますが、渦巻きの様子まではわかららず、白いぼんやりした雲のように見えます。 写真に撮るとクルリと巻いた腕が美しい銀河です。
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