いっかくじゅう座 Monoceros
いっかくじゅう座はオリオン座の東にある星座で、面積は大変広く大きい星座なのですが、 明るい星が星座内に存在しないため、夜空の明るい都会では、星を見ることすらできない星座です。
いっかくじゅう座は、近代になって88星座に加えられた星座で、星座を定めた学者には諸説がある星座です。
一番明るい星でも4等星と暗いので、夜空の暗いところでも、 いっかくじゅう座の全景をつかむのは容易なことではありません。 まして微光星の群れから、一角獣の姿を連想するのはほとんど不可能です。 星の形を見て古代人が考え出した星座と言うよりも、 この位置に星座がなかったために制定された星座、という方が正しい気がします。
一角獣にまつわる伝説
いっかくじゅう座のモデルとなった一角獣は空想上の生き物です。 一角獣は姿は馬のような形をしていて、額に長い一本の角が突き出しています。 この一角獣の血を飲むと不老不死になれるとか、 角ので作った杯で酒を飲むと、どんな病も治ってしまうという言い伝えがありました。
また、中世の頃には、一角獣は足が速くて凶暴なため、なかなか捕まえることができない動物とも言われていました。 しかし、一角獣は処女には好んで近づいてくるため、処女をおとりとして捕まえてしまうという伝説もありました。 そのことからか、中世の美術品には、一角獣を描いた絵画が沢山あります。
いっかくじゅう座の主な星
いっかくじゅう座は暗い星だけで構成された星座なので、肉眼で観望して楽しい恒星はあまりありません。 しかし、有名な星雲が幾つか星座の中で輝いています。
その代表的なものが「バラ星雲」です。 星雲の形が宇宙に咲いた薔薇のように見えることから、この愛称があります。
また、ばら星雲の北西にはコーン星雲も輝いています。 こちらも大変大きな星雲ですが、淡いため肉眼では全く見ることができません。 複雑な構造をした宇宙のガス星雲です。
双眼鏡や天体望遠鏡で見るいっかくじゅう座
いっかくじゅう座には、バラ星雲をはじめとして、大きな星雲がたくさんあるのですが、 どれも肉眼で見ることができません。 これは、人間の眼で見ることができる波長(可視光線)では輝いていないためです。
星雲は諦めて、星団を双眼鏡で観望してみましょう。 いっかくじゅう座にはM50という散開星団が存在しています。 小さな星団ですが、口径5センチくらいの双眼鏡で見ると、星が集まった様子がわかります。 天体望遠鏡を使用すれば、まばらに集まった星の様子がわかるでしょう。
ばら星雲自体は見えませんが、星雲の中心で輝く散開星団NGC2244を観望してみましょう。 NGC2244を双眼鏡で見ると、6つの星が「日」の字型に並んでいるのがわかります。 極めて条件の良い星空なら、薄くガスのように広がるばら星雲も確認することができます。 夏に高原などに行ったら、ばら星雲が見えるかどうか確認してみましょう。
星座写真ギャラリーのいっかくじゅう座の写真へ
宇宙写真ギャラリーのバラ星雲の写真へ