ふたご座 Gemini
ふたご座は、冬を代表する星座の一つです。 冬の星座の中では一番最後に昇ってくる星座のため、2月中旬でも22時頃にならないと南中しない星座です。
ふたご座は南中すると頭上近くで輝くので、見つけやすい星座です。 白く輝くα星のカストルと、オレンジ色のβ星のポルックスが仲良く並んで輝いているのを見つければ、 その下に連なる並びを繋いでいきましょう。きっと、双子の姿を容易に想像することができると思います。 明るい星が多いので、夜空の明るい都会の夜空でも、比較的見つけやすい星座です。
ふたご座はプトレマイオスの48星座の中にも登場しています。 日本では、カストルとポルックスを対の星と見ていたようで、「兄弟星」や「夫婦星」と名づけられていました。 また、両者の星の色の違いから、ポルックスを「金星」、カストルを「銀星」と呼ぶこともありました。 ドイツでは、二つの星を「巨人の目」と呼んでいるそうです。 昔から、ふたご座のカストルとポルックスの輝きは、人々の関心を惹いていたのでしょうね。
ギリシア神話でのふたご座
ふたご座になった双子は、大神ゼウスとスパルタ国王妃レダの間に生まれた兄弟です。 兄のカストルは馬術の名手で、弟のポルックスは拳闘が得意でした。 ゼウスの血をより多く引き継いだポルックスは不死身でした。 二人はとても仲が良く、様々な冒険に出かけて武勇を轟かせました。
二人の活躍の中でも有名なのは、アルゴ船に乗って、コルキス国へ金色の羊の毛皮を取りにいくという冒険です。 旅の途中、船は嵐にあって難破しそうになりますが、カストルとポルックスの頭上に大きな星が一つずつ輝き、 嵐は収まります。 それ以来、二人は、船乗りから航海の守り神と慕われるようになりました。
その後、いとこのイーダスとリュンケウスとの間で、捕まえた牛の群れをめぐり、争いが起きてしまいます。 牛を取り戻そうとしたカストルとポルックスですが、イーダスに弓矢で射られ、カストルは死んでしまいます。 ポルックスは、二人と戦い、カストルの敵を討ちましたが、不死身のため、カストルと一緒に死ぬことができません。 そこでゼウスに、自分も死ねるように願い出ました。
哀れに思った大神ゼウスは、ポルックスの命をカストルと半分ずつ分け合うことにしました。 二人はその後、地上と冥界を一日おきに暮らすようになり、 友情の印として、双子の姿を星座にしたということです。
ふたご座の主な星
カストル
カストルは、ふたご座のα星で1.6等級の白い星です。 天体望遠鏡でカストルを覗くと、1.9等と2.9等の2つの星が並ぶ、二重星であることがわかります。 二つの星の離隔は約4秒と小さいので、気流の落ち着いた日に高倍率で確認したい対象です。 なお、この二つの星はそれぞれ連星で、その外側にも他の星が回っているという複雑な回転をしている恒星系です。
ポルックス
ポルックスは、ふたご座のβ星で1.1等級のオレンジ色の星です。 カストルよりもやや明るいので、夜空でもカストルの方が良く目立ちます。 通常は、星座内で一番明るい星がα星になるため、ふたご座はβ星の方が明るい珍しい例です。
双眼鏡や天体望遠鏡で見るふたご座
M35
M35は、大変美しい散開星団です。 M35は、スイスの天文学者シェゾーによって、1746年に発見された散開星団です。 メシエカタログで有名なメシエは、1764年にM35を観測しています。 その他にも、天王星を発見したイギリスの天文学者ウィリアム・ハーシェルもこのM35を観測しています。
M35の光度は5等級で、夜空の暗い場所で眺めると、肉眼でもぼんやりとその存在がわかります。 双眼鏡を使えば、微恒星が集まっている様子がよくわかり、美しい眺めです。 双眼鏡や天体望遠鏡の低倍率では、M35のすぐ右下で輝いているNGC2158星団も同一視野に入ってきます。 NGC2158は、集中度が高い散開星団ですので、M35と星の集まっている様子を見比べると興味深いです。
ふたご座流星群
ふたご座流星群は、夏のペルセウス流星群と並んで、夜空を代表する流星群です。 毎年12月中頃にピークを迎え、カストル付近から流星が流れます。 年によってばらつきはありますが、 月明かりがなく、夜空の暗い場所では、1時間に30個程度の流れ星を観察することができます。
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