うみへび座 Hydra

うみへび座は、春が見頃の星座で、全天で一番長く大きな星座です。 星座の大きさが100度以上もあるため、うみへびの頭部が南中してから尻尾の先が南中するまで、 実に6時間程度のズレが発生します。

うみへび座の長い星々の連なりは、夜空に横たわる巨大な「うみへび」を想像させてくれます。 しかし大変長く大きいため、全景を観察しようと思えば、南方向が開けた星空の綺麗な場所まで出かけなければなりません。

うみへび座の歴史は古く、バビロニアの星図の中にも蛇の形が描かれています。 プトレマイオスの48星座の中でも登場し、極めて大きな星座にもかかわらず 昔から分割されずに「うみへび」として描かれていたことになります。


ギリシア神話の中でのうみへび座

うみへび座の写真 このうみへび座は、ギリシア神話の中ではヒュドラとして登場しています。 このヒュドラは、ギリシア・アルゴス地方のレルネの沼に住む怪物で、 九つの首を持つ大きな水蛇でした。

あるとき、ヘラクレスがこの沼地に住むヒドラの退治を依頼されます。 ヘラクレスは、ミュケナイ王エウリュステウスから、12の難業を言い渡されますが、 その一つがこのヒュドラ退治でした。

ヒュドラは、頭を切り落としても新たな角が生えてくる恐ろしい怪物でした。 さすがの怪力ヘラクレスもこれには閉口してしまいますが、 首を切ったら直ぐに松明であぶって焼くことで、ヒュドラを退治することができました。

このヘラクレスを苦しめたヒュドラが天に上げられて、うみへび座になったということです。


うみへび座の主な星

アルファルド

うみへび座のα星がこのアルファルドです。 「孤独な星」という意味を持つ星で、この周りには明るい星がないので、2等星でもよく目立つ星です。 トヨタ自動車の車種にアルファードという車がありますが、 英語の綴り「Alphard」は同じです。 このうみへび座のアルファルドから命名したのでしょうか。

M83銀河

うみへび座を有名にしている理由の一つとして、この美しいM83銀河が存在していることがあげられます。 南の回転花火銀河と呼ばれるM83銀河は、見事な均整を保った渦巻き銀河で、 双眼鏡で覗いても、ぼんやりとその形がわかるほど明るく美しい天体です。

星座写真ギャラリーのうみへび座の写真

宇宙写真ギャラリーのM83銀河の写真