宮内双眼鏡 Bj-100RBの使用レポート
この双眼鏡は淡く広がる星雲や星団の観望用の機材として、2003年に宮内光学から購入しました。
宮内光学工業株式会社は、天文ファンから高性能な双眼鏡を製造するメーカーとして認知度が高い企業です。 宮内光学が注目を集めたのは、接眼部が45度傾斜したBj-100iAを1990年ごろに販売して以来のことでしょう。 その後、宮内光学は、天体観測用の双眼鏡として、接眼部が90度傾斜したこのタイプの双眼鏡を発売開始しました。 (宮内の方に伺うと45度タイプは主に野鳥観察用だそうです)。
現在では、このBJ-100RBの対物レンズをフローライトに変えたBj-100RBFも登場しています。 この機種はレンズ材の在庫限りの限定販売だそうです(2003年現在)。
10センチの対物レンズ
この双眼鏡は対物レンズは10センチの3群4枚構成のセミアポクロマート仕様(全面マルチコート)と なっています。レンズの焦点距離は515mmで口径比は1:5.2です。標準では20倍のアイピースが付属しますが、 私の場合は社長のご好意で26倍のアイピースを付けていただきました。 20倍に比べて26倍の方が色収差や像の湾曲が少ないそうです(アイピースは交換可能です)。
実際に覗いた印象は、色消しレンズを使っていないので少し輝星に青ハロはつきますが、 それほど気になりません(ただ昼間、電線などを見るとやはり収差はわかります)。 星像も少し肥大傾向はありますが、シャープな望遠鏡と見比べないとわからないレベルだと思います。 視野周辺の星像の崩れはほとんどありません。 最周辺部で少し湾曲傾向がある程度です。 周辺減光は昼間の景色を見るとやや気になりますが、対象が暗い星空観望ではそれほど気になりませんでした。
覗いた時のコントラストは、とても高いものでした。 ぼんやりとした星雲もこの双眼鏡で見るとハッキリと見ることができました。 両眼による立体感と相まって、素晴らしい見え味です。これは特筆すべき点だと思います。
また、見かけの視野の印象ですが、私の場合は26倍の広視野アイピース(見掛け視界約64度)を使ってためもあり、 なかなか広くて快適です。宮内のこのモデルは「視界が窮屈な印象がある」と言われる方もいらっしゃいますが、標準仕様の20倍 アイピース(見掛け視界50度)を使っているからではないかな、と個人的に思っています。
もしこれからご購入されるのでしたら、26倍仕様がお勧めでしょう。 瞳径は20倍(5.0mm)使用時より小さくなり、相対的な明るさは若干下がってしまいますが、 星雲などの観望には、このくらいの瞳径(26倍で3.8mm)の方がコントラスト上がり、見やすいと思います。 ただアイレリーフは20倍アイピースの方が長いようです(26mmくらいあります)。 メガネをかけて観望される方は、できれば実機を覗いてみて、確認された方がよいと思います。 37倍の交換用アイピースもありますので、 球状星団などを主に観望する方にはこちらのタイプもお勧めだと思います。
双眼鏡の使い勝手
天体の導入ですが、私がフォークマウントに慣れていないためもあるのか手間取ります。 見かけ視野が広い方だといっても、実視野(約2.5度)では一般のファインダーの3分の1程度ですから、 暗い天体を導入する時は一苦労です。 ファインダーなどの導入支援装置をつけておかれた方がよいと思います。 ナビゲーターのようなものがあると最高でしょうね。
※純正の小型ファインダー(3×12mm)は見にくいのであまりよくないと思います。 これは避けられた方がよいと思います。
この双眼鏡の塗装は、三層焼き付け塗装をしていますので塗装膜がとても丈夫です。多少のことでは傷がつきません。 私の鏡筒も目立った傷もなくとても綺麗な状態です。
外観はシルバーメタリックの本体色と相まって、高級感あふれる双眼鏡です。 ただやはり重い(5kg強)のが難点です(10センチ双眼としては軽い方だそうですが)。 しっかり支えるには中判カメラが余裕で載る大型の三脚が必需品です。
また、専用フォークマウントも双眼鏡を快適に使用するためには必須だと思います。 他社のフォーク型経緯台などを流用してもよいと思いますが、前後のバランスが取れない場合があるようです。 また専用フォークマウントをあとで購入すると、取り付け用金具の本体取付が結構手間がかかりそうです。 同時購入したところ、本体にフォークマウント取付金具を取り付けて送ってくれました。
また、専用のトランクケースも発売されています。 私は購入してしまいましたが、このあたりは好みがわかれるところだと思います。 しっかりした作りだと思いますが「値段の割に・・・」と言えば、そんな気もするケースです。
全体の感想としては、コストパフォーマンスが高い製品だと思います。 最近いろいろなメーカーから大型双眼鏡が発売されていますが、その中でもお勧めの双眼鏡の一つだと思います。 もし最高の星像を求められる場合は、少し高くなりますが、フローライトタイプの双眼鏡を候補に入れてみてはいかがでしょう。
※このインプレッションは2003年頃記載しています。内容が古い部分もありますのでご了承ください
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