キヤノンEOS-1Ds MarkV
キヤノンEOS-1DsMarkIIIは、2,110万画素の35mmフルサイズCMOSセンサーを撮像素子に使った、キヤノンの フラッグシップモデルです。
2008年春現在、35mmフルサイズCCDが使われたデジタル一眼レフは、この他にもキヤノンEOS5D、ニコンD3などがありますが、 画素数が2,000万画素を超えるのはこのモデルだけです。今回、このデジタル一眼レフカメラをお使いのK.Mさんから撮影画像を いただきましたので、長時間ノイズ量などを検証してみました。
キヤノンEOS-1Ds MarkVの概要
キヤノンEOS-1DsMarkVは2007年の冬に発売されたカメラで、2110万画素のCMOSセンサーと、デュアル装備された撮像素子DIGICVが 大きな特徴のデジタル一眼レフカメラです。
EOS1シリーズから続くボディは、私のEOSKissDXがオモチャのように見えてしまうほどの大きさで、重さも1.2キロ以上あります。 撮影時のオプション機能も充実しており、こだわりのユーザーやプロも十分満足する製品に仕上がっているようです。しかし、最高級モデルの一眼レフデジカメなので価格は非常に高く、実売で80万円ほどもします。 しかし発売されてからの人気は上々のようで、発売当初は予約していてもなかなか手に入らなかったようです。
天体写真撮影にこのカメラを用いている人は非常に希で、誌面のレポートなどで僅かに星の写真を見かけるぐらいです。 これほど高価なカメラを、天体写真専用にフィルター改造して使おうという人は、さすがにいないでしょう。 高性能天体望遠鏡と天体写真用に改造したデジタル一眼レフカメラを、一式セットで買えてしまうほどの本体価格です。
キヤノンEOS-1Ds MarkVの長時間ノイズ特性
超弩級のこのデジタル一眼、長時間ノイズはどのくらいでしょう。 外気温約23度で感度をISO1600に設定し、露出時間600秒で撮影したダーク画像(ダークフレーム)全景を下に載せてみました。 この画像はカメラが保存したデータそのままの画像ですが、アンプノイズは全くわからず画面は真っ暗です。
※ノイズリダクション機能は使用しいません。 なお他のカメラとのノイズ量比較 はデジカメのノイズ比較ページをご覧になってください。
上の画像では小さくてわかりづらいので、上のノイズ画像の中央部ピクセル等倍部分を下に載せてみます。 こうしてピクセル等倍で見てもノイズはあまり目立ちません。
実際に写真を撮ったときには必ず画像処理で強調しますから、もう少しノイズが目立つ様になります。 そこで、このダークノイズを強調した画像(レベル補正で10倍に圧縮)の全景画像を下に載せました。 さすがに強調するとノイズが目立つようになりますが、それでも十分少ないと思います。
右側に僅かにアンプノイズのようなものが見えますが、フルサイズCCDですしほとんど気にならないでしょう。 もっと気温が低い条件下で撮れば、相当低ノイズのデジタルカメラだと感じました。
また、今回ノイズ画像を拝見して、このカメラの長時間ノイズは質がよいということを感じました。 具体的には、突発的な輝点ノイズや欠陥ピクセルがほとんど無く、ノイズが揃っているように思いました。 最高機種のカメラですから、CCDチップもセレクトされているのかもしれません。
キヤノンEOS-1Ds MarkVの高感度ノイズの検証
キヤノンEOS-1Ds MarkVのISO設定はISO100〜ISO1600で、拡張機能を使うとISO50とISO3200でも撮影可能です。 天体写真では長時間露光するのが前提となるため、撮影にはISO800がよく使われます。
しかし、低照度下でもなるべく速いシャッターを切りたい一般撮影のシーンでは、ISO1600やISO3200も使用されることがあります。 ここでは、そのような感度設定の写真を見ながら、キヤノンEOS-1DsMarkVの高感度ノイズを見てみましょう。
下の画像はISO3200、シャッター速度30秒、ノイズリダクションオフで撮影した写真の中央部ピクセル等倍画像です。
この画像を見たとき、高感度ノイズが思った以上に少ないことに驚きました。フルサイズCCDと言えども2110万画素の高画素カメラですから、 ピクセルサイズは相当小さいはずです。しかし、そんなことを感じさせない画像です。
この程度の荒れでしたら、元画像を生かした軽い画像処理で十分に滑らかになります。 明るいレンズと組み合わせれば、星景写真の新しい世界を切り開ける気がします。 もっと値段が安かったら、星撮影の用途に使ってみたいカメラです。
画像提供:K.Mさん