ニコンD3レビュー
ニコンD3は、2007年秋に登場したニコン初のフルサイズデジタル一眼レフカメラです。APS-CサイズのニコンD300とほぼ同時の発売開始でした。 ニコンD3の撮像素子には35ミリフルサイズのCMOSセンサーが用いられています。このニコンのフルサイズ撮像素子は、ニコンFXフォーマットと 呼ばれるようになりました。
このニコンD3は、ニコン期待のフルサイズデジタル一眼レフカメラです。キヤノンEOS1DsやEOS5Dを羨ましく感じていたニコンユーザーも 多かったはずです。ニコンFマウントではフルサイズは難しいという声も聞こえていましたが、ニコンはD3でフルサイズ化を 成し遂げました。現在ではD3と同じ撮像素子を使ったニコンD700が登場して、写真ファンに高い人気を誇っています。
ニコンD3の概要
ニコンD3は2007年11月に発売されたカメラで、1,210万画素のニコンFXフォーマットの センサー(35ミリフルサイズCMOSセンサー)を持ったデジタル一眼レフカメラです。 ニコンデジタル一眼レフカメラで最上位に位置するカメラで、ニコンF5から続く大きな外観をしています。 ニコンD3の連射機能は高性能で、9秒/枚を誇り、UDMA対応のCFダブルスロットも備えています。 失敗できないプロ用のカメラといえるでしょう。
このニコンD3を使った星撮影で注目される点は、最高感度ISO6400を使えるということです。また、 増感設定すればISO25600というとんでも無い高感度を得られます。実用的にはノイズが発生して難しいかもしれませんが、 星が手持ちで写る感度です。ニコンD3は、新しい時代を感じさせてくれるデジタル一眼レフカメラです。
その他のニコンD3の特徴としては、51点測距のダイナミックAFエリア、92万ドット3インチの液晶モニター、 それに天体写真撮影にはありがたい2種類のライブビュー機能を備えています。
ニコンD3の価格
ニコンD3が発売された2007年11月末は、ニコンD3ボディの販売価格58万円前後でした。 それから1年ほど経った現在は、ニコンD3ボディ単体の価格は37万円前後まで下がってきています。 ニコンD700の現在の実売価格が23万円ほどですから、プラス15万円でニコン最高機種を買えることになります。
なお、このニコンD3と共にニコンAF-S24-70mmF2.8GEDとAF-S14-24mmF2.8GEDというレンズが発売開始されました。 どちらもニコンのナノコーティング技術を生かしたレンズで、大変人気があります。特にニコンAF-S14-24mmF2.8は キヤノンのデジタル一眼レフカメラに取り付けて使われている人もいるほど素晴らしい性能です。
ニコンD3の高感度ノイズ
ニコンD3の魅力はISO6400が使えることです。高感度ノイズはどのくらいなのでしょう。 下にISO1600〜ISO25600に設定して撮影したピクセル等倍画像を載せてみました。
まずはISO1600で撮影した画像です。階調も表現されていてノイズは目立ちません。
次にISO3200で撮影した画像です。ISO1600とそれほど変わらず若干暗部のノイズが増えた程度です。
ニコンD3の設定最高感度ISO6400で撮影した画像です。少しノイズが浮いたような感じになりますが、十分 撮影に使えそうです。
増感感度ISO12800で撮影した画像です。さすがにノイズが増えて色や階調の再現性が悪くなります。 しかし条件によっては撮影に使えそうです。
最高感度ISO25600で撮影した画像です。ここまで来ると画像全体にノイズが発生しています。 しかしこれでもコンパクトデジカメのISO1600よりは、ずっと綺麗な画像です。
やはり画素ピッチの大きなニコンD3は、高感度ノイズ面で素晴らしい性能を持っているようです。 もちろんよく見れば、ISO1600であって輝点ノイズもいくつか発生していますし、ノイズが全くないことはありません。 ただカラーノイズがあまり目立たないので、全体として綺麗にみえます。 ISO3200までなら十分実用になるでしょう。
ニコンD3の長時間ノイズ
ニコンD3の登場で天体写真が手軽に撮れる可能性がでてきました。ISO6400に設定すれば、F6程度の暗めの光学系を 使っても5分程度で撮影が完了します。そこでISO6400で5分露出のノイズ画像を撮影してみました。 なお、高感度ノイズ低減機能とノイズリダクション機能はオフで撮影しています。
画像全体をみるとそれほどノイズは目立ちませんが周りがほんのり赤くなっています。下にピクセル等倍画像を載せてみました。
こうしてみると輝点ノイズがポツポツ存在しています。しかしISO6400で5分露出の割には少ない方です。 高感度ノイズ低減機能を使えば、ノイズはぐっと減ってくるでしょう。もちろんノイズリダクション機能をオンにすれば、 露出時間は倍かかりますが、輝点ノイズを除去してくれます。またこの画像を撮影したときの外気温は24度です。 冬場の寒い環境ならぐっとノイズが減ってくるでしょう。
ニコンD3について
ニコン初のフルサイズデジタル一眼レフカメラ、ニコンD3。発売当初は大変人気で、年内に手に入れることが難しい デジカメでした。現在ではニコンD700も登場し人気は一段落しています。
ニコンD3は1210万画素という画素数で、高精細描写を求める人からは少々物足りなく感じるデジタル一眼レフです。 しかしフルサイズで1210万画素ということは、画素ピッチは約8.45μmとニコンD40よりも 大きくなります。ノイズが少ないデジカメとして知られるニコンD40やD50よりも画素ピッチが大きいのですから、 高感度ノイズや長時間ノイズ適正に優れているのも納得できます。
このニコンD3やニコンD300から、ニコンは画像処理エンジンにEXPEEDという名前を付けました。 画像処理も積極的に行われ、レンズの倍率の色収差は徹底的に除去されています。古いレンズを使って星を撮影しても 青ハロがほとんど目立たないほどです。ニコンD3は、優れた高感度ノイズ特性で一つの新しい流れを作った デジタル一眼レフカメラだと思います。普通の三脚で手軽に星撮影できる日も近いのではないでしょうか。
ニコンD3のスペック
名称 | ニコンD3 |
有効画素数 | 約1210万画素 |
撮像画面サイズ | ニコンFXフォーマット(36.0x23.9mm) |
記録メディア | CFカード |
連続撮影枚数 | 最高9コマ/秒 |
ファインダー視野率 | 100% |
ISO感度設定範囲 | ISO200〜6400 |
液晶モニター | 3.0型,約92万ドット |
ライブビュー機能 | あり |
重量 | 1,240グラム |